<ソフトバンク10−2オリックス>◇3日◇みずほペイペイドーム
ソフトバンク牧原大成内野手(32)が初の首位打者を確実にした。みずほペイペイドームでのレギュラーシーズン最終戦に「3番二塁」で出場。マルチ安打で1位の打率を3割4厘に上げて2位の同僚柳町らを引き離し、3打席立って年間の規定打席も初めてクリアした。プロ15年目の初戴冠で、育成出身選手が打撃主要3部門のタイトルを獲得すれば史上初になる。リーグ連覇に貢献した遅咲きの苦労人が、14安打10得点の本拠地快勝締めにも一役買い、超満員の鷹党を喜ばせた。
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目指してきた長年の念願が成就した。5回1死一、二塁の第3打席だった。コツン。牧原大が横に寝かせたバットにボールを当てると、一塁へ全力疾走。セフティーバントで、執念の二塁内野安打をもぎ取った。この日3打席目で、プロ15年目で初となる年間の規定打席をクリア。初回はオリックス佐藤から左前打を放ち、3打数2安打で打率を3割4厘に上げ、首位打者のタイトルに当確をともした。「今まではチームのためにだったんですけど…。優勝してからはチームに申し訳ないですけど、自分のことで精いっぱいでした」。チームの勝利を最優先に考え続ける男が、思わず本音をもらした。
チーム内バトルを制した。試合前時点で牧原大が打率3割1厘で、柳町が2割9分3厘。2番柳町はこの日5打数1安打で、2割9分2厘に下降した。レギュラーシーズン1試合を残し、1分2厘の差をつけた。本拠地最終戦のセレモニーで小久保監督も「今日まで(首位打者を)争った柳町と牧原。今日で勝負あったと思います。牧原おめでとう!」と両雄の大健闘をねぎらった。スタンドのファンからは拍手が送られ、牧原大は帽子を取って頭を下げた。レギュラーシーズン最終戦の5日ロッテ戦(ZOZOマリン)は欠場することが決まった。「まずは規定打席に乗って、打率3割を切らなくてホッとしています」と堂々の成績でフェニッシュした。
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苦節15年だ。10年に熊本・城北から育成ドラフト5位で入団。育成出身選手が打撃3部門の主要タイトルを獲得すれば史上初となる。育成出身での規定打席&3割到達も初めてで、背番号8が新たな歴史を刻むことになる。「育成選手の目標になってほしいと思ってやっていた」と胸を張った。さらに同期には千賀(現メッツ)、甲斐(現巨人)の2人がいた。ともに育成選手からはい上がってきた同志でもある。牧原大は「やっぱ千賀、(甲斐)拓也に追いつけた。拓也も打撃タイトルを取ったことがないと思うので。目立つのは(千賀、甲斐の)2人だったので。胸を張って同期で一緒にやってきたって言える」と喜びをかみしめた。
夏場から一気に加速した。8月は出場24試合で打率3割8分5厘、3本塁打、18打点で初の月間MVPを受賞。初球からスイングを仕掛ける超積極打法で安打を量産してきた。選んだ四球は7個だけ。過去に1桁四球で首位打者を獲得した選手もいない。打って塁に出ることを身上に、リーグ2連覇に大きく貢献した。
チームは15日からCSファイナルステージに臨む。CS突破、その先の日本一へ。パ王者のリーディングヒッターが短期決戦でも快音を響かせる。【佐藤究】
▽ソフトバンク栗原(6回に球団9499号の8号満塁弾)「打ったのは真っすぐです。しっかりと自分のスイングができたと思います。満塁の好機で結果を出すことができてよかったです」
▽ソフトバンク柳田(約6カ月ぶりの3号ソロは球団9501号)「打ったのは真っすぐ。しっかりと自分のバッティングができたと思います。久しぶりにホームランを打つことができてよかった。とにかくCSに向けて頑張っていきます」
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