ロッテ・種市篤暉[撮影=岩下雄太] ロッテの種市篤暉は、力強いストレートに落差の大きいフォークを軸に三振の山を築き、8・9月は12球団トップの82奪三振を記録するなど、圧倒的な投球をオールスター明け見せている。
前回登板の9月27日の日本ハム戦では、自己最多の1試合15奪三振。初回からストレートは唸りをあげ、三振を積み重ねた。0−0の初回一死走者なしで五十幡亮汰を空振り三振に仕留めた1ボール2ストライクから4球目の外角154キロストレート、0−0の2回先頭の郡司裕也を空振り三振に仕留めた1ボール2ストライクから投じた5球目の外角155キロストレート、0−2の5回先頭の進藤勇也を2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角148キロストレートは素晴らしかった。
ストレートで空振りを奪えている要因について「メカニックを変えたことが一番かなと思います」と話し、左打者の外角のストレート、右打者のインコースに佐藤都志也捕手の構えたミットにストレートがバシバシ決まったが、「ボールが叩けていた感覚がありましたね」とのことだった。
ストレートは7月21日の取材で「ストレートが一番イマイチ」と話していたが、「データというか投げ方、アングルを変えたのでそこが良いのかなと思います」と、力強さを取り戻した。
ストレートを立て直すために「一人でメカニックのことを考えてやれていたのが一番かなと。個別を長くしました。全体練習を早めに上がって、30分、1時間考える時間を作るようにしました」と、考える時間を増やした。若手時代から変わらず向上心があり、変化を怖れず、自身で考え課題をひとつひとつクリアにしてきた。ここがゴールではなく、さらに向上するためにより良いものを求めていくだろう。
ストレートも良いが、フォークもストライクゾーンからボールゾーンによく落ちる。ただ本人は「ちょっと前の方が良かったのかなと思います。ソフトバンク戦の2つとか、エスコンで投げた試合とかも良かったと思います」とポツリ。
ここ最近目立つのは、カウント3ボール2ストライクから落差の大きいフォークで三振を奪えていること。9月11日のソフトバンク戦、1−0の2回先頭の栗原陵矢を3ボール2ストライクから四球が許されない中、11球目の142キロストライクゾーンからボールゾーンに落ちる142キロフォークで空振り三振に仕留めれば、9月27日の日本ハム戦、0−2の3回一死一、三塁で水野達稀を3ボール2ストライクから7球目のフォークで空振り三振に打ち取っている。
3ボール2ストライクからフォークを選択するというのは、空振りを取れる自信があるからだろうかーー。
「そうですね、腕を振った中じゃないと、エスコンの(本塁打を打たれた)レイエス選手の時みたいになってしまうので、(カウント)32からでも腕を振ることを意識しています」。
気になるのは、9月18日の楽天戦、7−0の6回無死一塁で村林一輝を2ボール0ストライクから3球目にストライクゾーンの137キロフォークで三併に仕留めるなど、フォークで内野ゴロを打たせるケースがあること。そこについては「打たせるというか、軌道が浮かなくなったのが一番良くなったのかなと思います」と、ゴロを打たせたいと思って投げているわけではないようだ。
夏場以降の安定感は頼もしい限り。「体のコンディションも良くなったのもありますし、メカニックも良くなったのが一番かなと思います」。種市の投球をもっと見たいが、Bクラスがすでに確定しており、残念ながら今季の種市の投球を見るのも今日が最後になりそうだ。「あと1試合しかないので、勝てるように。勝ちを持って来れる可能性が高くなるようなピッチングをしたいと思います」。今日もマリーンズファンをとにかくワクワクさせてくれ。
取材・文=岩下雄太