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5日深夜に東急田園都市線梶が谷駅(川崎市高津区)で起きた列車同士の衝突、脱線事故。翌6日も一部区間で運転再開の見通しが立たず、夕方以降も通勤や通学の鉄道利用者が「帰宅困難者」となって長距離の歩行を余儀なくされるなど、影響が続いた。
事故は5日午後11時過ぎに発生。駅構内に入ろうとした普通列車(10両編成)が、停車中の回送列車(同)に接触し、一部の車両が脱線した。
この普通列車に乗っていた女子大学生(21)は「寝ていたが『ドン!』という体が前に出るような大きな衝撃があり、目が覚めた」と振り返る。「降りないでください」とアナウンスが流れ、1時間以上車内にとどまった後、ようやくホームに降りたという。取材に「怖かった。今後もこの路線を利用するので不安」と語った。
翌6日、早朝から梶が谷駅前には多くの通勤・通学の人たちの姿があった。改札前では駅員が「運転再開のめどは立っていません」と呼びかける声が響いた。近くに住む警備員の男性(73)は「駅に来てから(運行が)止まっているのに気がついた。仕事に行かないといけないのに……」と困惑していた。専門学生の女性(19)は「学校に間に合わない」と焦った様子だった。
夕刻に帰宅ラッシュを迎えても、運転は再開しない。梶が谷駅の隣にある溝の口駅周辺では、バスを待つ人が長蛇の列を作った。東京都世田谷区の自宅へ帰宅途中だった保育士の女性(32)は「普段は電車で10分で着くのに、バスを乗り継いで1時間以上かかりそう」とため息をついた。
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近くの多摩川にかかる路線沿いの「二子橋」は、徒歩で行き来する人であふれた。付近を散歩していた50代男性は「普段はこの橋を歩いて渡る人はあまりいない。こんなに人がいるのは多くの人が帰宅困難になった東日本大震災の時以来だ」と驚いていた。
事故を巡っては、運輸安全委員会が現場で原因調査などを進めている。東急電鉄は調査のめどがつき次第、列車の撤去作業を進めるという。【宮本麻由、清水夏妃】
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