
千葉・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2025」。本会場で大きな話題を呼んだのが、都市型オープンワールドRPG『無限大ANANTA』です。この作品は、2023年に「Project Mugen(仮)」として制作発表され、2024年末に正式タイトルが『無限大ANANTA』に決定していました。
【秋アニメ 2025】10月放送開始の新作アニメ一覧(放送日&配信情報&声優・スタッフ&あらすじ)
2025年9月23日に公開されたプロモーションムービーでは、まるでアニメーションを見ているかのような映像とキャラクターが目を引き、期待は大きく高まるなかでの「東京ゲームショウ2025」。会場では、プロモーションムービーを大型ビジョンで映し出すと共に実機試遊もあり、いよいよその姿をファンの前に示しました。まるで現実世界を歩くようなリアリティある映像美と引き込まれるストーリー、個性的なキャラクターたちは来場者を驚かせていました。
本稿では、『無限大ANANTA』のプロデューサー・ Ash さんにインタビューを実施。日本のいくつものアニメーションからも影響を受けたことや作品の制作についてお話をうかがいました。
もう一つの“世界”で現実では体験できない時間を味わう!

――『無限大ANANTA』のテーマや世界観はどのように考えてこられたのでしょうか?
|
|
Ash プレイヤーの皆様に想像のつかない世界観、現実世界ではありえない世界を作ろうと思っています。現実では出来ない体験をたくさん楽しめる世界を目指すうえで、遊んでくださるみなさまが「こんなことをしてみたい」とか「あんなことができたらいいな」という想いで世界を描いています。
――PVを拝見して、キャラクターたちの表情や動きがアニメを見ているようでした。キャラクターデザイン・等身、ファッションなど制作していく中でどんなことを意識されていましたか?
Ash “生きている都市を作る”ことを目指していて、街で人々が生き生きとしている姿や現実世界では想像の出来ない形にしていくことを目指して作ってきました。アニメーションについてもアニメや映画に近づけることを目的に作っていた形でした。

――映画に近づけようと思い至ったきっかけはありましたか?
Ash 子供の頃からアニメや映画が好きだったのですが、そうしたアニメや映画が好きな人でも楽しめるオープンワールドを作ってみたいという気持ちがありました。その想いの全てを込めて作ったのが『無限大ANANTA』です。本作でもいろいろなアニメからアイディアをもらい、自分たちのゲームで現実的に、アニメーションでありながらもリアルな世界にできたらいいなと考えて、取り入れています。そのために最も力を入れたのは、どうしたらこの都市がもっと現実的に見えるか。ゲームの中の世界というだけではなくリアルに感じられるような、リアリティを持った体験をプレイヤーに与えられるかという部分に力を入れました。
|
|

――非常に描写が細やかで、本当に現実の街中にいるような感覚になりますが、ロケハンなどされたのでしょうか。
Ash いろいろなところに行きました。多くのライブハウスやクラブをはじめ、行ったことのない施設にもたくさん足を運んで、そこで実体験をして取り入れていきました。あともうひとつこだわった部分としては車のデザインです。本当にその車メーカーで働いていたエンジニアさんからの意見もうかがって、どのように設計したらいいのかと話を聞いて作って行きました。

――ライブハウスやライブシーンも非常に現実的でした。音楽はこの世界の表現ツールとしてどんな役割を果たしていますか?
Ash 主に重視しているのは、ゲームだけではなく音楽も含めてすべての要素がリミックスされている文化として、プレイヤーのみなさんにお届けできればいいなと思っています。たとえばライブハウスでの音楽だけではなく、車に乗ればラジオをつけられますし、そこには様々な番組や音楽も準備しています。ほかにも店内に入れば、それぞれの店で音楽が流れているというようにこだわって作っているので、プレイヤーそれぞれが自身の体験が出来るようになっています。
多面的な魅力で生き生きと動くキャラクターを作る

――この世界でプレイヤーが出会う登場キャラクターたちは、どういう人物像として設計されたのでしょう?
|
|
Ash 独特のキャラクターを作り上げていくためにさまざまな性格や、プレイヤーに覚えてもらえるような独自の性格や特徴を織り交ぜて、それぞれが特徴的になるように作っていきました。キャラの性格も、たとえば普段は警察官だったとしても仕事をしている状況と、仕事を離れたときにはどんな人なのか、その2つの表情でバランスを取るようにしています。
――「推しキャラ」を見つけたくなる仕掛けなどはありますか?
Ash まずは外見です。それから性格、そして職業。特徴がある性格や外見からそのキャラクター独自のものを引きだすことを意識しました。それによってユーザーに何かしらかの印象を与えられることが重要だと考えています。とにかくつまらない人にならないようにする。それからギャップ感を出すことも意識しました。想像もつかないようなギャップがありつつも人間らしさを失わず生き生きとしている、ありのままの人を目指しました。二次元性を守りつつも現実味を忘れないようにしました。

――そんな『無限大ANANTA』のストーリー制作についてはどういった部分に最も力を入れましたか?
Ash 現実の世界では仕事をしながらストレスを感じることもあると思うのですが、ゲームではミッションとして仕事をこなしていくので、リラックスして遊んでいただけるようにストーリーを作っていきました。PVにもありますが、ある日タフィーが仕事に来たら会社が倒産しているところからはじまって、「次の仕事はどうしよう」という流れで幕を開けるストーリーです。そこからプレイヤーはいろいろな事件や様々な体験をしていきます。物語を進めていくと仲間と出会い、彼らと共に歩んでいきます。その冒険の中で楽しいことや危険なことなどの体験を通して、楽しみを見つけてくれたら嬉しいです。

――メインストーリー、ミッション以外にも楽しめるミニコンテンツはあるのでしょうか?
Ash メインのミッション以外にもサブのクエストのほかにもキャラクターごとのミッションもあります。それぞれに職業も違うので、やることも違いますし、いろいろと楽しめると思います。たとえばタフィーがバイトとして配達もしますが、その荷物にもいろいろなものがありますし、警察官もキャラクターならNPCが事故を起こしたり、財布を盗んだりするのを目撃して動くことになったり、ライブハウスでライブを観たり、ジムでトレーニングをしたり。ビルの間を飛んでいくことも出来ますし、いろいろな場所に好きに出かけられる。想像のつかない自由度の高い生活を、キャラになりきって楽しむことも出来る、楽しみ方の幅の広いゲームです。
ゲームだけれど、躍動感あるアニメーションで描く自分だけの物語を

――開発のスタートから完成までどれくらいの時間を掛け、どれくらいの開発スタッフで取り組まれたのでしょうか。
Ash 開発に関しては2〜3年くらいです。都市を作るとなると人から建物までかなりのデータ量になるので、積み重ねが大切でした。常に「いかに楽しんでもらうか」を考えていましたね。たとえばバスケットコートを描いたら、「プレイヤーがここに来たらバスケをやりたくなるな」と考えて、それならどうしたら楽しめるかを考えて作っていきました。ゲームの中で暮らす数十万人の人々を描き“世界”を作る作業でしたから、開発スタッフの人数としては700〜800人近い人数でした。

――先ほど映画やアニメに近づけたかったというお話もありましたが、ご自身が影響を受けたアニメ作品はありますか?また、今回のゲーム作りに影響した部分はありますか?
Ash アクションでいうとジャッキー・チェンの映画ですね。もちろん日本のアニメも好きです。「SLAM DUNK」で初めて日本のアニメを好きになってから、「呪術廻戦」に「チェーンソーマン」などに影響を受けましたし、それらの作品は『無限大ANANTA』を作る際にも力になりました。アイディアのほとんどがそうした作品からインスピレーションをもらいましたから。たとえば「チェーンソーマン」なら残酷なシーンも多い作品ですが、キャラクターたちにフォーカスした時の場の雰囲気を和らげるようなギャップも取り入れて物語を作りたいと考えていました。
――将来的に、アニメ化など別メディアへの展開も考えているのでしょうか?
Ash 気持ちはあります。アニメ化できたら光栄です。

――映像からゲームに入ってくる人もいるかと思います。そういった人たちにどのように楽しんでもらいたいですか?
Ash ゲームの難易度としてはそれほど高くないので、アクションや車の運転のボタン操作についてもプレイヤーにストレスを与えないように複雑にしないように作っていますので、誰にでも自由度高く遊んでもらいたいです。
――では最後に読者へメッセージをお願いします。
Ash この度はこのような機会をありがとうございます。みなさまに期待をいただいていますが、私自身も『無限大ANANTA』に期待をかけています。現実とは違った世界をお届けするために引き続き努力していきますので、楽しみに待っていてください。
『ダンダダン』第2期OPテーマ「革命道中」はいかにして制作されたのかをアイナ・ジ・エンドに聞く【インタビュー】
石田彰―猗窩座と狛治を演じることで生まれる“落差”を感じてほしい『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』インタビュー
【アニメ化してほしい作家たち】ラノベで本格ミステリ「不死探偵・冷堂紅葉」零雫先生は“自分が読みたいものを形に”
- アニメ!アニメ!
- アニメ!アニメ! 関連ニュース