トラックボールが便利!【デジタルギアを連れてワーケーションしよう!・9】 9月25〜27日の3日間、山梨県北杜市内にある三つのコワーキングスペースを会場に「八ヶ岳ワーケーションDays」が開催されました。八ヶ岳エリアで日常的に働く人、首都圏や全国から集まったリモートワーカーなど、約30人が参加。秋色に染まりつつある八ヶ岳で、多彩な交流が生まれました。
その他の画像はこちら●テーマは「観光地ではなく働き暮らす場としての八ヶ岳」
今回の企画テーマは「観光地ではなく働き暮らす場としての八ヶ岳」。旅行気分の延長ではなく、“働く”ことを軸に据えた、あくまで仕事中心のワーケーションです。昼間は、それぞれがしっかり仕事を進め、合間にオプションのミニイベントに参加するスタイル。夜は懇親会や地域の人気店での食事会もあり、地元の味覚や人とのつながりを楽しむ時間となりました。
中でも盛り上がったのは、2日目の「BBQ&LT会」。囲炉裏を囲んで味わう八ヶ岳のジビエに、山梨の地酒やワインを合わせ、参加者のショートプレゼン(LT)を聴く。非日常の空気と知的な刺激が融合し、八ヶ岳ワーケーションDaysならではの名物イベントとなりました。
●ワーケーションは今でも生きているのか?
初日には「昼まで討論会!八ヶ岳ワーケーションの可能性」と題したオンラインセミナーを開催。三つの会場からの同時中継で、施設運営者を交えた議論が展開されました。
ご存じの通り「ワーケーション」という言葉は2020年前後のバズワード。しかし近年は耳にする機会が減っています。背景には、当初ワーケーションが「官製ムーブメント」として観光業の需要創出に利用された経緯があります。コロナ禍で冷え込んだ観光業を救うため、半ば無理やり導入された側面が強かったのです。
その後、観光はインバウンドを中心に急回復し、平日でも外国人旅行者で賑わうほどに。観光業にとって、もはや無理にワーケーションを誘致する必然性は薄れています。その結果、全国には利用者がほとんどいない“空回り”したワーケーション施設が点在。使われなくなった保養所を改装した合宿施設や、ホテルの一角に設けられたコワーキングルームなどが地域の住民にすら利用されず、閑散としているのが実情です。
一方、今でもワーケーション先として人気を保っている地域には共通点があります。それは「地元の住民が日常的に使うコワーキングスペースが根付いている」ことです。外部からの来訪者にとって非日常であるワーケーションも、地域の日常に支えられてこそ意味を持つのです。
●「ハレとケ」から考えるワーケーション
ここで「ハレとケ」という日本の言葉を思い出します。ハレは祭りや祝いごとといった「非日常」、ケは「日常」を指します。日常があるからこそ特別な日が輝く、という考え方です。
ワーケーションは非日常(ハレ)です。普段のオフィスや自宅から離れ、自然豊かな環境で働くことは非日常の体験となります。受け入れる地域側にとっても、遠方から新しい人が訪れ、交流が生まれるのはハレの出来事でしょう。
では、その土台となる日常(ケ)とは何か。それは地域の事業者やフリーランスが普段からコワーキングスペースを使いこなしている姿です。地域の暮らしの中にコワーキングが息づいていることが、ワーケーション成功の前提条件なのです。
●「仕事・学びのサードプレイス」としての価値
今やPCを使うのはエンジニアやデザイナーだけではありません。観光業や宿泊業、飲食店経営者、整体やヨガのインストラクターまで、さまざまな業種がデジタルを活用しています。そうした人たちが気軽に立ち寄れる地域のコワーキングスペースがあるかどうかは重要です。
コワーキングスペースは、家庭や職場に次ぐ「サードプレイス」の一つです。居酒屋やスポーツクラブが「趣味や交流のサードプレイス」なら、コワーキングスペースは「仕事・学びのサードプレイス」。自宅でも職場でもない第三の場所で、同じ目的を持つ人と出会い、気軽に交流できる。そんな場があるからこそ、地域に暮らす人々の働き方も豊かになります。
そして地域にしっかりとした日常(ケ)があるからこそ、遠方から訪れる人にとっての非日常(ハレ)が輝きを増します。八ヶ岳でのワーケーションはそんな姿を目指しています。
●トラックボールならどこでも快適な操作性
今回はちょっと概念的なお話しになっちゃいましたね。でも、この連載の目的はワーケーションに便利なデジタルギアの紹介。ちゃんとお役立ちアイテムを紹介していきますよ。
今回紹介するのはトラックボールです。僕は以前ノートPCのタッチパッドで操作をしていたんですが、フリーランスになってPC操作が増えたときにだんだん肘が痛くなってきちゃって……
このままだと腱鞘炎になっちゃうかも、と思ってトラックボールを買いました。僕が選んだのはLogicoolの「MX Ergo」というもの。人差し指で使うホイールにちょっとしたショートカットを割り当てることもできます。Chromeのタブ移動なども指先だけでできるのも便利です。
●ワーケーション環境でもトラックボールは便利
実際に今回ワーケーション来訪客の中にもトラックボール利用者がいました。短時間の作業ならタッチパッドでもいいのですが、マルチタスクで仕事を進めるときはあちこちの画面を見ることもありますよね。
ワーケーションでは大型モニターがない環境も多いもの。小さい画面に複数のウィンドウが重なってしまうこともあります。
そこで外付けマウスを利用する人が多いのですが、ワーケーションだと机の環境が普段と異なります。一枚板や木製のテーブルで水平でなかったり、マウスを操作するスペースが十分に取れなかったり。
マウスだと机の環境が変わると、いつもの操作感が変わってしまうんです。大した問題でもないように感じるかもしれませんが、これが長時間仕事を続けているとだんだんストレスになるんです。
その点トラックボールなら環境が変わってもいつもの操作性のまま。マウス一辺倒だった人にも、ぜひ一度試していただきたいですね。(TMR・玉利裕重)
玉利裕重(たまさん)
八ヶ岳南麓のひとり法人(合同会社TMR)代表。外資系IT企業からのんびり田舎暮らしへ。小淵沢で小さなコワーキングスペース「ヤツクルベース」の開業準備中です。「田舎でのんびり起業」を目指すビジネスコミュニティ「ヤツビジ」も運営中。お問合せ・ご相談はこちらのメールへどうぞ( contact@tmr-llc.jp )