
イスラム組織「ハマス」に拘束されていた、生存している人質20人が解放されました。「これは中東の新しい歴史的な夜明けだ」トランプ大統領は自身が主導した和平計画の成果を誇示しましたが、「ガザの非武装化」や「統治」など高いハードルが待ち受けています。
ハマス 生存の人質“全員解放”も…戦闘終結には高いハードルガザ地区の人々が見守る中、建物から出てきたのは国際赤十字の車両です。乗っていたのは、イスラム組織「ハマス」に拘束された人質とみられます。
そして、赤十字の車両はイスラエル側へ。
13日、ハマスに拘束されていた人質48人のうち、生存している20人が解放されました。その後、人質は家族らと対面しました。
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今回の解放は、アメリカが提示したガザをめぐる和平計画の「第1段階」の合意に基づいたものです。
イスラエル・テルアビブの広場にかけつけた人々は、人質の解放を受け、歓喜に包まれました。
ハマスは今後、拘束中に死亡した人質の遺体も返還することになっています。これが実行されれば、合意にのっとり人質48人すべての解放が完了することになります。
ハマスがイスラエルを奇襲したのは、2023年10月7日。約1200人が死亡し、250人あまりが拉致されました。
これまで2度の解放を経て、最後の人質48人が残っていました。
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一方のイスラエルも、拘束しているパレスチナ人約2000人を釈放する予定です。
今後は、和平計画の「第2段階」に向けた交渉が始まる予定ですが、「ガザの非武装化」や「統治」など、ハードルの高い課題が待ち受けています。
「中東の歴史的な夜明け」トランプ大統領が人質解放の成果を誇示藤森祥平キャスター:
一方、アメリカのトランプ大統領はイスラエルを訪問し、議会で演説しました。現地からの報告です。
ワシントン支局 涌井文晶 記者:
人質解放を祝う人たちが集まる、イスラエルのテルアビブです。
トランプ氏は議会で演説し、自らが主導した「和平計画」により人質の解放が実現したと成果を誇りました。
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アメリカ トランプ大統領
「これから真に素晴らしくなるこの地域の国々とイスラエルの間で、偉大な調和と和解が始まる。これは中東の新しい歴史的な夜明けだ。人質は帰ってきた」
トランプ氏はさらに、「ガザは非武装化される」などと和平計画の進展を訴えました。
今後はイスラエル軍のガザからの撤退も大きな焦点となりますが、トランプ氏はネタニヤフ首相に対して「世界全体を打ち負かすことはできない」と述べ、停戦を破ることのないよう、くぎを刺しています。
一方、ネタニヤフ氏も圧力を意識してか、「トランプ氏の指導力により人々が考えていたより早く平和が訪れる」などと繰り返し称賛したうえで、「私はこの平和にコミットする」と述べました。
トランプ氏は現在、エジプトに移動していて、イギリスのスターマー首相、フランスのマクロン大統領ら20か国以上の首脳らとガザの和平を協議する会議に臨む予定です。
トランプ氏からはすでに達成感も漂っていますが、ガザの非武装化など恒久的な和平に向けてはまだ入り口に立ったばかりで、各国は移り気なトランプ氏の関心をつなぎとめようと働きかけるものとみられます。