ブラジル戦を振り返り、今後の方針にも言及した森保監督 [写真]=金田慎平
日本代表を率いる森保一監督が、3−2で逆転勝利を収めたブラジル代表戦を振り返った。
日本代表は14日、キリンチャレンジカップ2025でブラジル代表と対戦。26分にパウロ・エンリケ、32分にガブリエウ・マルティネッリに得点を許し、苦しい展開に立たされる。しかし、後半に相手のミスを突いた南野拓実が1点を返すと、62分に中村敬斗が同点ゴールを記録。さらに71分には上田綺世がCKからヘディングシュートを決め切り、3−2の逆転に成功。試合終盤はブラジルの攻撃を跳ね返し続け、勝利を収めた。
森保監督は試合後の記者会見で「前半の厳しい戦いから、切れずに続けてくれた」と選手たちの集中力を評価。「ハーフタイムには建設的にどのように修正したらいいかということを冷静にコミュニケーションを取ってくれたし、コーチ陣が選手たちに、より明確に役割を伝えてくれたことが試合をひっくり返せたことにつながった」とハーフタイム中の出来事を振り返り、「チーム一丸となって、タフに粘り強く、最後まで戦い抜くことを選手がやってくれた」と逆転に成功した選手たちに称賛の言葉を述べている。
これまでブラジルとの対戦成績は2分11敗と、勝利をしたことのない相手に初勝利を挙げた日本代表。森保監督は「親善試合とはいえ、ブラジルに勝つということは簡単なことではない」とコメント。「素晴らしい選手たちが日本のために戦うという姿勢を見せてくれたことで、手放しで選手たちには喜んでもらいたい」と話しつつも、「おそらくこれからの対戦相手は厳しく臨んでくると思う。警戒も含めて、前進していかなければいけないかない」と、気を引き締めて戦う姿勢を示している。
また、2点のビハインドを負って迎えた後半はハイプレスが機能したことで逆転に成功した。森保監督は「前半も実は後半のようにプレッシャーをかけたいと思っており、トレーニング、ミーティングから準備していた」と明かすと、「私自身の伝え方が、良くなかったところがあるのかな」と反省点を口に。さらに「最初に行こうとした中で、ブラジルの圧を選手は感じて少し構えてしまった。そこはチームの全体の経験値を高め、自信を持って試合に挑められるように選手の背中を押してあげたい」と修正点を述べた。
ハーフタイム中の具体的な指示については「ブロックを作ることが目的ではなく、ブロックを作っていいポジションから相手にプレッシャーをかけるを明確にした」とし、「曖昧にチャレンジとカバーをするのではなく、誰が誰に行く、誰がどこに行くというのを前半から後半にかけて修正した」と説明している。
続けて、森保監督は強豪国ブラジルに勝利した中でも今後の課題についても言及。「チームのコンセプトとして、より高いレベルで試合に勝っていくためには、失点を減らさないといけない」と10月シリーズではパラグアイ代表戦、ブラジル代表戦でともに2失点を喫したことに触れつつ、「いい守備からいい攻撃にということは、忘れてはいけないこと」と話した。
「今日は選手たちの頑張りの力で試合をひっくり返すことができた。これはなかなかできる展開ではないので、勝利の喜びに浸るだけではなく、反省すべきところもある。勝つ可能性を上げていくために、できれば無失点で、自分たちが得点を奪いにいくことを目指していかなければいけない」
ワールドカップ本番まで8カ月を切り、本大会のメンバー発表までの残り4試合となる。今後の方針については「チームを固めていくことはやらなければならないが、同時に経験の浅い選手を試していくことも難しいバランスですが、やる必要がある」とコメント。現在は主力選手を中心にケガ人が続出している日本代表だが、「選手が変わっても、過去の活動が生かせるようにコンセプトを共有し、積み上げていきたい。固めていくべき部分もあるが、常にその時のベストメンバーでチーム編成をして、選手たちの成長具合と競争を見て、最後に最強のチームを作りたい」と締めくくった。
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