【調査】夫婦間の「モラハラ」の線引きはどこから? 性別や年齢で認識が異なるという結果に

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2025年10月15日 12:10  マイナビニュース

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既婚者コミュニティを運営するレゾンデートルでは、9月18日~25日にかけ、インターネットを通じて「夫婦間モラハラの実態」に関するアンケート調査を実施した。対象は20〜59歳の男女9,378人(10歳刻みで男女各1,250人、ただし男性20代のみ628人)。



「モラハラ」という言葉は、正式にはモラルハラスメントといい、言葉や態度によって相手の心をじわじわと傷つける“見えない暴力”の一種だ。身体的暴力とは異なり、証拠が残りにくいため、被害者自身が気づきにくく、また周囲からも発見されにくいという特徴がある。日本では2000年代以降に「モラハラ」という略称が広がり、近年では離婚相談や家庭裁判所の現場で使われることも増えた。法務省の協議離婚に関する実態調査によれば、離婚理由として「性格の不一致」「精神的な暴力」が上位に挙げられており、モラハラは現代の夫婦関係を揺るがす深刻なリスクになっている。



妻は夫からモラハラを受けていると感じているが、夫は妻にモラハラしているとは思っていない…。逆もしかりだ。なぜ、このような相違が生まれるかと言えば、人によってモラハラに対する認識が異なるからだろう。そこで今回、「認識」に焦点を当てて調査をした。


今回の調査で最も多くの人が「モラハラ」と認識したのは「物を壊して脅す」で、実に 81% が「完全にそう思う」「ややそう思う」と回答した。続いて「大声で怒鳴する/威嚇する」(79%)、「侮辱する/人格を否定する」(79%)が高く、いずれも約8割がモラハラに当たると考えている。これらは典型的な精神的暴力として、社会的に明確にハラスメントと認識されていることが分かる。



一方で、「無視する/会話を拒否する」は 66%とやや低めで、3人に1人はモラハラとまでは考えていないことが明らかになった。



これらの結果から、「脅す」「怒鳴る」「侮辱」といった強い攻撃性のある行為は高確率でモラハラとみなされる一方、「外出や交友を制限する」「スマホやSNSをチェックする」「行動や予定を逐一報告させる/管理する」といった、いわゆる「束縛系」の行為、調査前はもう少し評価が分かれると予想した「家事や育児を一方的に押し付ける」「生活費を制限する」「小さなミスや行動を責める」などの生活や日常における行為も7割以上の人が「モラハラ」と比較的高確率でモラハラと認識していることが分かる。


男女合わせた全体集計では「物を壊して脅す」「大声で怒鳴る/威嚇する」「侮辱する/人格を否定する」などの強い攻撃性のある行為だけでなく、行動の制限や日常的なことがらも高い割合でモラハラと認識されていることが判明したが、男女別に見るとさらに鮮明な違いが浮かび上がる。



女性はすべての項目で男性よりも高い割合で「モラハラだと思う」と回答した。たとえば「生活費を制限する」は男性61%に対し女性は80%、「小さなミスや行動を責める」は男性62%に対し女性78%と、20ポイント近い差が出ている。家事や育児をめぐる行為や経済的な支配は、特に女性側が敏感に反応していることが分かる。



一方で、男性は全体的に女性より低い水準ではあるものの、「物を壊して脅す」「侮辱する/人格を否定する」「大声で怒鳴る/威嚇する」など攻撃性の強い行為は7割を超えてモラハラと認識しており、男女で一致する部分も見られた。



この結果から、「強い攻撃性のある行為」は男女ともにモラハラとみなす一方、日常的に起こりうる家事•経済•生活習慣に関する行為は、女性の方がより厳しく線引きしている ことが明らかになった。



モラハラに対する男女の認識の違いは、調査前の予想を超えるほど大きなものだった。この認識の差が夫婦間の軋轢を生み出しているケースが多いかもしれない。

年齢層ごとの比較からは、世代ごとに異なる「モラハラ感度」が浮き彫りになった。



まず、20代では「スマホやSNSをチェックする」をモラハラと認識する割合が 63% にとどまったが、30代で70%、40代で74%、50代で77%と、年代が上がるごとに上昇した。プライバシーの共有や個人の自由を重視する若い世代は「多少のチェックは仕方ない」と受け止める人もいる一方、中高年世代ほど強くモラハラと感じていることが分かる。



また、「生活費を制限する」「外出や交友を制限する」といった経済的•社会的自由に関わる行為も、20代では6割台にとどまるのに対し、50代では75〜78%まで上昇。年齢が高い層ほど“生活の自由を奪う行為”を深刻にとらえる傾向が見られた。



一方で、「侮辱する/人格を否定する」「大声で怒鳴る*威嚇する」「物を壊して脅す」といった攻撃的な行為は、すべての年代で7割を超えてモラハラ認定されており、特に50代では8割以上に達した。これは世代を超えて共通する「典型的モラハラ行為」として強く認識されていることを示している。



この結果から、若い世代はプライバシーへの制約を受け入れがちだが、上の世代ほど自由や尊厳を奪う行為に敏感になる という傾向が読み取れる。世代によって「何をモラハラと感じるか」が異なる点は、夫婦間の価値観のズレを生む要因のひとつといえるだろう。



40代、50代の方が「モラハラ感度」が高いという結果は予想外だったが、実体験や周囲の見聞からそれぞれの行為の深刻さを認識している、配偶者に対する忌避感が強いなどが理由かもしれない。


世帯年収別に比較すると、全体的に大きな差はないものの、いくつかの特徴的な傾向が見られた。



まず、低所得層(〜399万円)ではモラハラ認識が相対的に低く、「無視する/会話を拒否する」は 63%、「生活費を制限する」「家事や育児を一方的に押し付ける」もいずれも 70%前後 にとどまった。経済的に厳しい状況にある家庭ほど、生活の中での制約や負担を「仕方がない」と受け入れてしまいやすいことが影響しているのかもしれない。



一方で、世帯年収が高くなるにつれて、モラハラと認識する割合はおおむね上昇する傾向が確認された。例えば「スマホやSNSをチェックする」は 400〜799万円層で 72%、800〜1,199万円層では 75% に達している。生活基盤が安定し、個人の自由やプライバシーを尊重する意識が強まりやすいことが背景にあると考えられる。



しかし、1,200万円以上の層では逆に割合がわずかに低下した。たとえば「スマホやSNSをチェックする」は 70% と、中高所得層より数ポイント下がっている。これは、むしろ「一定以上の収入を得ることで経済的な余裕が増し、多少の干渉を受けても深刻なモラハラとは感じにくくなる」可能性が考えられる。



ただし、「物を壊して脅す」「大声で怒鳴る/威嚇する」「侮辱する/人格を否定する」といった攻撃的な行為は、年収にかかわらず 75〜81% がモラハラと認識しており、普遍的に「越えてはならない行為」として強く認識されていることが分かった。(岡渚)

このニュースに関するつぶやき

  • スマホのチェックってそんなにするの?したことない、私(;^_^A男性が女性よりモラハラだと感じないのは女性が敏感なのか男性がモラハラを日常的にしているからモラハラだと気がつかないのかどちら?
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