芸能プロダクション(以下、芸能プロ)の倒産が高水準で推移している。東京商工リサーチ(東京都千代田区)によると、9月30日までの倒産は16件だった。前年同期(20件)に比べ減少したが、過去10年間で最多だった2024年に次ぐ過去2番目の件数となった。
タレントなどのマネジメントを手がける芸能プロは、かつてはテレビ局の豊富な製作費を背景に成長した。しかし、YouTubeなどの普及にともない、タレントが事務所に頼らずに活動できる範囲が広がったほか、テレビ局の製作費も減少傾向が続いている。
コロナ禍とメディア環境の変化で従来の手法が機能しづらくなり、契約タレントの離脱が、大手事務所にも苦境をもたらすケースがある。
倒産原因の1位は「販売不振」(12件)で、2位は「他社倒産の余波」(2件)。倒産した16件すべてが清算型の「破産」で、再建型の会社更生、民事再生はなかった。
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資本金別では「100万〜500万円未満」(9件)が最も多く、以下「1000万〜5000万円未満」(3件)、「100万円未満」(2件)と続いた。負債額別では「1000万〜5000万円未満」(12件)が多く、「5000万〜1億円未満」「1億円以上」(いずれも2件)という結果に。
地区別で見ると「関東」(13件)で最も多く、なかでも「東京」が10件と突出。「中部」「近畿」「九州」はそれぞれ1件だった。
7月に破産開始決定を受けたMプロダクション(旧商号:イエローキャブ、東京都新宿区)は、グラビアアイドルが契約する事務所として知名度が高かったが、業績不振が続き、事業継続を断念した。
芸能プロとタレントの力関係にも変化が広がっている。9月には、公正取引委員会が芸能人と芸能事務所の契約の適正化に向けた指針を公表。独立を妨害する行為には厳正に対処する姿勢を示した。
東京商工リサーチは「芸能プロは風向きが変わる中、時流に即した柔軟な運営への転換を避けられなくなっている」とコメントした。
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調査は、2025年9月までに発生した全国の倒産のうち、芸能プロダクションを対象に集計・分析した。
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