商談のできるベテランと新人の差「実は取引先に嫌われているかもしれない敬語」とは

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2025年10月15日 17:10  マイナビニュース

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「最近の若手社員が何を考えているのか、さっぱりわからない」――これは、長年上司世代が抱える共通の悩みかもしれません。しかし、社会環境が大きく変化する現代において、Z世代と呼ばれる新入社員の持つ価値観や行動は、これからのビジネスを加速させる大きな「強み」になり得ると考えます。



自身の業務に加え、新入社員の育成を担う管理職や先輩社員は、これまでの「当たり前」を押し付けるだけでは、彼らのポテンシャルを引き出すことはできません。新入社員が育った環境を理解し、その特性を活かしたコミュニケーションと育成方法を探っていくことが不可欠です。



本連載では、新入社員の特性を理解し、AIや音声解析といった最新技術も活用しながら、彼らが生き生きと活躍できる環境をどう創るか、そのヒントをお届けします。



これまでの記事ではZ世代の特徴や教育におけるAI活用の可能性を紹介してきました。今回は、営業の「商談」に焦点を当て、AIを活用した新入社員の育成方法をご紹介します。


なぜ、あなたの「頑張れ」は新入社員に響かないのか?



学生時代をコロナ禍で過ごしたZ世代は、対面コミュニケーションの経験不足から、対面の自己表現や大人数での発言に苦手意識を持つ人も少なくありません。



また、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視し、効率性を求めるZ世代には、「もっとお客様に寄り添った話し方をしましょう」といった感覚的なアドバイスではなく、客観的なデータに基づいたフィードバックが効果的です。

「感覚」ではなく「数字」で成長実感が持てるスキルアップ方法



新入社員の商談スキル向上には、音声解析AIの活用が有効です。発話速度、沈黙、フィラー(あのー、えーとなど間を埋める言葉)などをスコア化できます。これは、カラオケの採点画面をイメージするとわかりやすいでしょう。音程や抑揚の数値を見て「次はここを意識しよう」と改善点を見つけ、上達を実感した経験を持つ人もいるのではないでしょうか。


商談の場合、以下のような項目を数値化し、改善点を明確にすることができます。


話すスピード:1分あたりの文字数(早口すぎる/ゆっくりすぎる)

発話比率:自分の発話が会話全体の何%か(話しすぎ/聞きすぎ)

フィラー率:1分間に何回出たか

特定単語の多用:「すみません」など、無意識に繰り返す言葉がないか


このデータにより、「営業成績がよい先輩社員の数値」と比較したり、「商談成功率が高い数値」を目標に設定したりすることができます。



SNSの「いいね」のように客観的な評価に慣れている新入社員にとって、音声解析AIのスコアは、自分を客観視し、努力が可視化される指標となります。苦手意識を持つ社員こそ、数字で成長実感が持てると自己肯定感の向上にもつながります。

育成側も知っておきたい「言葉のTPO」



新入社員の育成において、一見丁寧な言葉でも、使うタイミングで逆効果になる場合があります。

丁寧さが裏目に? 反射的な「ありがとう」に要注意



感謝を伝える「ありがとうございます」も、使い方を間違えると相手に適切に伝わらないことがあります。


NG例:お客様が課題を打ち明けてくれた直後に、反射的に「ありがとうございます」と返す。

問題点:相手の話を理解せず感謝だけを述べると、話の流れを止め、ぎこちない印象を与えます。


まずは、「そうなんですね」といった共感を示す相槌を打ち、一呼吸置きましょう。そして、「そんなに大切なことを、お話しくださりありがとうございます」のように、何に対して感謝しているかを明確に伝えましょう。お客様の信頼を高め、効果的にヒアリングを進めることができます。

「承知しました」で会話終了? 会話を止めないための相槌



敬語として丁寧な「承知しました」「かしこまりました」も、連発すると会話の流れに区切りを作り、お客様をイライラさせる原因になります。


NG例: お客様の質問や指摘に対し、「承知しました」と反射的に返し、次の言葉に詰まって不自然な沈黙が生まれる。

問題点: 会話のボールを自分が持っている状態で沈黙すると、お客様に安心感を与えにくくなってしまいます。


会話の途中では「そうですよね」と共感を示しつつ、次の質問や情報提供に進む方がスムーズです。



このような「話し方のクセ」も音声解析AIで把握できます。自身の商談を録音し、どのような場面で不自然な相槌を打っているか確認します。次に先輩の商談を確認し、先輩が代わりにどんな相槌や質問を挟んでいるかを分析し、真似てみることも効果的です。

「沈黙が怖い」を克服するには



新入社員は「ちゃんと話さなきゃ」というプレッシャーから、無意識に「あのー、えーと」といった「フィラー」が多くなることがあります。しかし、意図しないフィラーの多用は、お客様に自信のない印象を与えてしまうことがあります。



フィラーの削減には、音声解析で自分のフィラー回数を把握した上で、無理に話そうとせず、意識的に数秒間の「間(ま)」を取るトレーニングが有効です。意図的な沈黙は「考えている」姿勢を伝え、かえって落ち着いたプロフェッショナルな印象を与えます。自分の会話を録音し、フィラーがどのシチュエーションで多いかを分析することで、「この説明部分で言葉に詰まっている」など具体的な改善点が見えてきます。



顧客対応において、第一印象を左右するのは話す内容だけではありません。話すスピードや間の取り方といった「話し方」も、相手に与える印象に大きく影響します。



育成の現場では、つい改善点を指摘しがちですが、音声解析AIはポジティブな育成を可能にします。まずは「よい点」を褒め、その後に客観的なデータを基に話し方のクセを自覚してもらいます。そして「今週はフィラーを減らす」といった具体的な目標を持って取り組むことで、新入社員は他者ではなく、過去の自分と比べて成長を実感できます。このようなデータに基づいたセルフコーチングは新入社員の自信を育み、自律的な成長に繋がります。



中村 有輝士 なかむら ゆきのり BPOコールセンターに10年間勤務。オペレーター、スーパーバイザー、マネージャー、営業など一通りの業務を経験。その後、外資の証券会社で、日本にある営業部門とシンガポールにあるカスタマー部門をマネジメント。2020年7月よりRevCommに参画し、カスタマーサクセスのマネージャーを経て、コールセンター向けプロダクト「MiiTel Call Centerプロダクトマーケティングマネージャーを担当。福岡県在住。 この著者の記事一覧はこちら(中村 有輝士)

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