日本放送協会(NHK)が10月1日に開始した新たなインターネットサービス「NHK ONE」。もともと「NHKプラス」を利用していた筆者は移行をすぐに終え、NHKのテレビ番組の見逃し配信やニュース記事の閲覧など、NHK ONEのあらゆるサービスの恩恵を受けている。
NHK ONEは、総合テレビやEテレ、ラジオ番組の同時配信をはじめ、1週間の見逃し・聴き逃し配信、ニュース記事や動画、気象・災害情報、番組情報などを集約したサービスだ。従来は複数に分かれていたサービスを一本化し、利便性を高める狙いがある。
●あることに気が付いてしまった
サービス開始と移行を完了してから1週間以上、NHK ONEを利用しているうちに、あることに気が付いてしまった。
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それは、月額の支払いを停止する方法が面倒なことだ。NHKでは、NHK ONEを「インターネットのサービス」と紹介しているが、「ネット系のサブスクリプションサービス」とは表現していない。ただ、動画配信ができて月額料金が発生する点でいえば、「Amazon Prime Video」や「Netflix」などと変わらない。
いったんはサービスを契約しても、「思っていた内容とは違った」などの理由で、支払いやサービスの利用をやめたくなることはよくあるはずだ。
例えば、Prime Videoなら「サブスクリプションをキャンセルする」方法が用意されており、アカウントの情報は残したまま支払いを一時的に停止することができる。具体的には、サイトの管理画面からキャンセルしたいサブスクリプションを探し、「登録解除」を選択して確定するだけで手続きが完了する。
Netflixでも同様に支払いを一時的に停止することが可能で、「メンバーシップの管理ページ」へアクセスしたあと、「キャンセル」をクリックし、最後に「キャンセル手続きの完了」を選択すればよい。同社のサービスページでは、「アカウントからログアウトする、あるいはNetflixアプリを削除するだけでは、アカウントをキャンセルすることはできない」と明記されている。
一方、NHK ONEはどうなのだろうか。このサービスを最大限に活用するためには受信契約の締結が必須であり、支払いの停止も受信契約が密接に関係してくるのだ。
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NHK ONEのサービスページでは、「すでに受信契約を締結されている場合は、NHK ONEアカウントを削除しても、受信契約は解約されません。解約の手続きは別途必要となります」と案内している。つまり、アカウントを削除しただけでは支払いが継続される仕組みのため、解約しづらいのだ。
●受信料の支払いをやめるにはどうすればいい?
では、受信契約を結んでいる人が解約するにはどうすればいいのだろうか。NHKによれば、「受信契約を締結している住居に誰も居住しなくなる場合や、廃棄・故障などにより、受信契約の対象となるテレビ等の受信機がすべてなくなった場合」に、受信契約は解約の対象となるそうだ。
受信契約の解約にあたっては、所定の届出書をNHKに提出する必要がある。手続きを希望する場合、まず「NHKふれあいセンター」に連絡するよう呼びかけており、届出内容をもとに、受信契約の対象となるテレビ等の受信機がないことや、NHKの配信を視聴または閲覧していないこと(同一世帯の人を含む)を確認した上で解約を受け付けている。
解約手続きの大まかな流れは、まず公式サイトの「NHK受信料の窓口」から必要事項を入力して解約を申し込む。次に、NHKで契約状況が確認された後、自宅や転居先に「確認書」が郵送される。最後に、その確認書に署名・捺印のうえNHKに返送し、内容が確認された時点でようやく解約手続きが完了となる。
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●サービス利用前に何に気を付けるべきか
このように、Prime VideoやNetflixのようにサイト上で数回クリックするだけで支払いを停止できる仕組みとは異なり、NHK ONEにはそうした概念が存在しない。
近年、音楽や映像配信サービスなどで「サブスク」という言葉を頻繁に聞くようになった。NHK ONEではサブスクという言葉は用いていないものの、月々一定額を支払ってサービスを利用できる点は事実だ。簡単に始められて、手軽にやめられる──そんなサブスクリプションサービスの常識を持つ人こそ、NHK ONEの思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれない。
これは音楽や映像の配信サービスに限った話ではないが、月額料金が生じるサービスを検討する際は、申し込む前に公式サイトなどで利用規約や解約方法をよく確認することが重要だ。支払いを停止する方法はサービスによって大きく異なり、「どれも同じだろう」と安易に考えないようにしたい。
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