ベンフィカではCLベスト8&リーグ制覇 シュミット氏がJリーグに指導者の知見還元「ワクワクしている」

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2025年10月15日 20:12  サッカーキング

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来日中のロジャ−・シュミット氏
 Jリーグが10月から立ち上げた『海外指導者招聘プロジェクト』。そのグローバルフットボールアドバイザーに就任したロジャー・シュミット氏が、15日に都内でメディアブリーフィングに出席した。

 このプロジェクトはアカデミー世代の現場指導や指導者、スポーツダイレクター(SD)向けのセミナーとなっており、ザルツブルク、レヴァークーゼン、北京国安、PSV、ベンフィカと監督経験を積んできたシュミット氏に、「JリーグやJクラブへの知見共有を通じて、世界トップのフットボール水準の考え方や指導方法等を浸透させることを目的」としている。58歳のシュミット氏はザルツブルクとベンフィカでリーグ制覇、レヴァークーゼンで2度のチャンピオンズリーグベスト16、ベンフィカでチャンピオンズリーグベスト8を経験。PSV時代に堂安律も指導している。

 シュミット氏は「このプロジェクトの一員としてやれるうれしさ、これまでの経験をどう落とし込んでいけるかにワクワクしている。先日からプロジェクトはスタートしているが、すでにいい感覚がある。これからの発展も楽しみ」と意気込みを語ると、今回の参加理由については「ベンフィカでの監督業を(2024年に)終え、いろいろとオファーがあったけど、家族とも話して、時間を作る決断をしていた。長い間、指導者をしていたので、十分にやってきた気持ちはありつつ、サッカーに関わりたい気持ちは常にあった。他のクラブからのオファーも悩む中で話をもらい、このプロジェクトの話を聞き、いい印象、感触があった。自分の経験を生かし、日本文化に触れることも楽しみ。ブラジル戦では多くの選手が活躍したように、ポテンシャルを秘めている。楽しみで仕方がない」と、監督業に戻る意思は「まったくないよ」と断言しつつ、新たなチャレンジに取り組む意欲に燃えているようだ。

 アドバイザー契約は9カ月間となり、タイミングに合わせて来日して指導者・SD向けプログラムや世代別Jリーグ選抜の欧州遠征、国内合宿の指導プログラムを指導する側に向けて行っていく予定。今回の来日でも前述の通り、14日の『キリンチャレンジカップ2025』ブラジル代表戦での、日本代表の逆転勝利を視察で見届けたほか、ガンバ大阪ユースとサガン鳥栖U−18の高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグも視察したようで、「ポテンシャルのある素晴らしい選手が集まっていた」と評価。自身が率いたザルツブルクやPSV、ベンフィカでの経験を踏まえ、「特にベンフィカで求められたのは、若い選手を常に発掘し、育成し、2年間育て、そして他クラブへ売却していく。そういう部分が求められていたし、Jリーグでもそういったことも伸ばしていきたいし、できる部分だと思っている」と、若い才能をどのように花開かせていくかが大切だと説いた。

 自身は指導者としてラルフ・ラングニック氏に師事。SD経験はないものの、ラングニック氏がSDを務めていた時代のザルツブルクで指揮官を務めている。「特に大事なのは…」とクラブを作り上げていく側の立場として重要なことについて「クラブのカルチャーを作れるかということ」と挙げ、「ポジティブな落とし込みが重要になる。チームが求める選手を連れてくる、メンバーを構築することも大事。若い選手、海外の選手、経験がある選手、どういうバランスでチームを作るのか。日本のSDが他の国と違うことはない。役割は同じ。一つのカルチャーを作るということ」と、クラブの根幹を曲げず、太くしていく意思が重要と話す。

 日本は選手が数多く海外で活躍する状況となったが、指導者やSDのような重要な役職に就く人材はまだまだ少ない。シュミット氏は「あくまでも個人の決断」と海外挑戦について前置きした上で、自身の経験として「約10年、海外で指導者をしてきた。異なるカルチャーやリーグへの興味があり、指導者としてどれだけの経験を積めるのかを求めてきた。それはSD含め、誰かが決めるのではなく、自分で決めるしかない。(自分の経験としては)外で学ぶことはすごく良いこと。外で見る、経験することが大事だと思う」と、まずは海外に出てチャレンジをしたい、経験をしたいという気持ちをどれだけ強く持つことができるかをポイントとして挙げている。

 シュミット氏は週末のJリーグも視察予定。年内は11月のU-18 Jリーグ選抜 欧州遠征指導プログラム、12月のU-16 Jリーグ選抜 国内合宿指導プログラムにそれぞれ参加する予定になっている。

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