【阪神】森下翔太CS男の本領発揮V打「チカさんが三盗してくれて、すごく楽になりました」

0

2025年10月16日 00:00  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

阪神対DeNA DeNAに勝利し、お立ち台で笑顔を見せる阪神森下(左)と小野寺(撮影・藤尾明華)

<セ・CSファイナルステージ:阪神2−0DeNA>◇第1戦◇15日◇甲子園



阪神森下翔太外野手(25)が“短期決戦の鬼”ぶりを発揮して初戦快勝に導いた。


「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第1戦のDeNA戦(甲子園)で、0−0で迎えた6回に先発東から先制決勝タイムリー。過去2年のCSで打率3割8分9厘、23年の日本シリーズでも新人記録の7打点をマークした勝負強さをここ一番でさく裂させた。藤川阪神が1勝のアドバンテージを含めて2勝0敗とし、日本シリーズ進出に大きく前進した。


   ◇   ◇   ◇


火の出るような打球が二遊間を一瞬で抜けていった。一塁に走り出した森下は何度もこぶしを握り、声にならない声を上げた。


「チカさんが三盗してくれて、すごく楽になりました。犠牲フライでOKの気持ちでいけました。苦しいゲームでもワンチャンスをものにできれば、タイガースの投手陣だったら勝ち切れる自信があるので」


14勝で最多勝を分け合った阪神村上とDeNA東の意地のぶつかり合い。これぞCSファイナル初戦という緊迫感。0−0の6回。1死二塁の好機で打席が回ってきた。その初球、近本が完璧な三盗を決めた。相手内野陣が前進守備に変わった。「強引にならずにいけた」。東との今季対戦打率も5割ジャストの好相性。背番号1は冷静だった。


生粋の野球小僧は25歳になり、チームを勝たせる仕事を突き詰めるようになった。打撃と同様にこだわるのが守備の指標。ひそかなライバルは、東海大相模時代にしのぎを削った横浜高出身の同学年、日本ハム万波だ。NPB随一の爆肩で知られるが森下も今季、スローイング数値が飛躍的に改善した。正確さ、抑止力などは万波に匹敵する12球団トップ級。右翼手として防いだ失点は数知れない。


バットに比べて語られることは少ないが、走塁&守備でも有機的に動く。この日は好判断の三塁進塁や、三本間の挟殺で粘って走者を三塁に進める好走塁があった。6回の打席のように、状況に応じてやるべき仕事を胸に刻んでいる。


短期決戦の鬼だ。23年の日本シリーズでは新人記録の7打点をマーク。昨年まで2年間のCS通算打率3割8分9厘もすごかったが、この日の2安打で4割2分9厘まで上げた。「自分の打席、守備、走塁にいかに自信を持って試合に臨めるか。絶対に不安を持ちながらやりたくなかった。勝利だけを一番においていた」。ここ一番の集中力は準備のたまものだ。


昨年はCSファースト第2戦で先制ソロを放ったが、DeNAに2連敗して敗退した。同じ甲子園で悔しさを晴らすつもりでいる。アドバンテージの1勝を含めて2勝0敗とし、2年ぶり日本シリーズまであと2勝と前進した。「アドバンテージを生かせるのは今日勝つことだった。この勢いのままやっていきたい」。9月7日の史上最速優勝から38日、2日のシーズン最終戦から13日。心配されたブランクもなんの。背番号1の会心の一撃で、王者阪神が走り出した。【柏原誠】

    ニュース設定