<セ・CSファイナルステージ:阪神2−0DeNA>◇第1戦◇15日◇甲子園
じっと戦況を見つめていた阪神藤川球児監督(45)が、感情を爆発させた。「タイガースらしく全員でやると。そこに尽きる」。自身が起用した選手が、初戦の快勝発進を呼ぶ“ラッキーボーイ”になった。
6回に森下の適時打で1点を先制し、なおも2死一、三塁。打席に立ったのは、途中出場の小野寺暖外野手(27)だ。カウント3−1からDeNA東の130キロチェンジアップに食らいついた。右前に弾む2点目の適時打で、相手エースをKO。「僕らしい、汚い間に落ちるヒットだと思います」。一塁上で両手を上げて喜ぶ姿に、指揮官もベンチからの指さしで応えた。
CS初采配で初勝利。迷わずふるった積極采配が的中した。「6番左翼」に抜てきしたのは高卒4年目、捕手登録ながら外野を守る中川勇斗(21)だった。今年初めて1軍のグラウンドに立ったばかりの若虎を、臆せず大舞台に送り込んだ。背番号68も期待に応え、2回の第1打席は相手失策を誘って出塁。そして先頭で迎えた5回、CS初安打となる右前打を放った。
ここで代走に送ったのが小野寺だった。さらに、5回無失点の先発村上にも代打ヘルナンデスを送るなど、早々に勝負を仕掛けた。この回は得点にならなかったが、回った次の好機で小野寺がピタリとはまった。
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今季シーズン19試合出場で打点0だった小野寺にとって、これが25年の初適時打。「ポストシーズンはどういう出番がくるか分からないので、代走も守備も代打も、すべて準備して試合に入っていました」。待っていたチャンスを必死にものにし、お立ち台で宣言した。「1年間、シーズン男にはなれなかったんで、シリーズ男になります!」。森下や近本、佐藤輝らの主力だけではない。起用即、次々に活躍する選手たちが頼もしい。
指揮官は「チーム全員の力というか、ファンの方を含めてすごくタイガースらしいゲームになった」とうなずいた。タテジマの全員が戦力。総力戦で取った先手に大きな価値がある。【磯綾乃】
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