限定公開( 3 )
同じ英語でも、アメリカとイギリスでは意味や使い方が異なることがあります。アメリカ人観光客の男性は、ロンドンで思わぬ勘違いから危うく犯罪者になるところだった体験を自身のインスタグラムでシェアしました。
アメリカ・ロサンゼルス在住のニック・トテダさん(25)は、イギリス人の恋人アンソニー・クッションさんを訪ねるため、ロンドンを訪れました。
宿泊先は、ロンドン市内の中心部にあるAirbnbのマンション。物件情報には「1階(first floor)、右側の部屋」と記されていました。
鍵を手にしたニックさんは、案内どおり「1階」の右側のドアを開けようとしましたが、鍵がうまく回らず、開けるのに苦労したといいます。そこで部屋のオーナーにメッセージを送ると、「そのドアは古いから開けにくいんだ。強く引っ張ってみて」との返信。
|
|
指示に従って思いきりドアを引くと、ついに開いた──と思ったその瞬間、部屋の中には見知らぬ女性が立っていました。
驚いた女性は「何をしているの⁉ ここは私の家よ」と困惑した様子。スーツケースを手にしたニックさんは「ここが僕のAirbnbなんです!」と必死に説明しました。
しかし女性は冷静に、「イギリスではfirst floor(ファーストフロア)は階段を上った階のこと。あなたが探しているのは、ground floor(グラウンドフロア)の上よ」と教えてくれたのです。そこでようやく、ニックさんは自分の勘違いに気づきました。
イギリスでは、ground floorが地上階、first floorがその上の階。一方、アメリカではfirst floor=地上階を意味します。つまりニックさんは、誤って地上階(ground floor)のドアを開けようとしてしまったのです。
一人暮らしの女性の部屋に、見知らぬ男性が鍵をこじ開けて入ってこようとした──。状況次第では不法侵入や通報騒ぎになってもおかしくありません。
|
|
幸いにもその女性は理解ある人で、ニックさんがすぐに誤解に気づいて立ち去ると、警察を呼ぶことなく見逃してくれたといいます。
この話を聞いた恋人のアンソニーさんは、「ちゃんと謝りに行ったほうがいい」と助言しましたが、ニックさんは「もう一度訪ねたら、かえって怖がらせてしまうかもしれないから」と控えたそうです。
後日、ニックさんはこの出来事を自身のInstagramに投稿。
「今はわかったけど、イギリスでは地上階の上がfirst floorなんだね。というか、イギリス英語のせいで逮捕されかけた!(苦笑)」
とユーモアを交えて振り返りました。
|
|
投稿は瞬く間に拡散され、コメント欄には各国ユーザーからの反応が殺到しました。
「イギリスでは昔からground floorとfirst floorって決まってるのよ!」
「フランスも同じ。階段を上がったところがfirst floor!」
「アルゼンチンもイギリス式。ヨーロッパではそれが普通だよ」
「アメリカのほうが合理的だと思うけどな」
「ground=地上、floor=階。単純な理屈だけど混乱するよね」
「エストニアもアメリカ式だよ! だから僕も混乱した(笑)」
階の呼び方をめぐる国際的な議論まで巻き起こるなか、「私も同じ勘違いをしたことがある」と共感する声も寄せられました。
イギリスとアメリカでは、同じ英語でも多くの違いがあります。
たとえば、biscuitとcookie、liftとelevator、rubbishとtrashのように、日常的な言葉でも異なる単語が使われます。また、colour/colorのようにスペルの違いも。
今回の階の勘違いは、イギリス英語とアメリカ英語の典型的な例である以上に、異文化を知る面白さを教えてくれる出来事でもあったといえるでしょう。異なる英語、異なる文化。そのズレが時にトラブルを呼び、そしてSNSを介して世界中に笑いを引き起こす。ニックさんの“first floor事件”は、そんな小さな国際ドラマだったのかもしれません。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。