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※画像生成にAIを利用しています 付き合ったり結婚したりした相手、自分の子どもや親といった家族などのことになると、つい「わかっているつもり」で接してしまうことはないだろうか。今回はそんな思い込みから失敗し、今でもしこりが残っているという水島悟志(仮名・40代後半)の話を紹介したい。
◆「貯金が勝手に…」“妻の異変”に気づいた瞬間
悟志さんは20代前半で妻A子さん(42歳)と結婚。すぐに子どもができ夫婦ともに仕事と子育ての両立に追われた時期もあったが、それなりに楽しく過ごせていると思っていた。ところが、子どもたちが高校生になった頃、妻の様子がどうもおかしいと感じるようになる。
「最初は異常に身だしなみに気を使うようになって、そのうちコソコソと落ち着きがなくなったので、まずは不倫を疑いました。それでこっそり調べると、いままで2人で貯めてきた預金が減っているうえ、ここ最近は月々の貯金ができていないことが判明したんです」
そこでますます怪しいと思った水島さんは、ロックを掛けていない妻A子さんのパソコンを覗き見。調べてみると、妻がハマっていたのは自分以外の男性ではなく、自身の芸能活動だったことが判明する。そのときに思い出したのは妻と出会った頃のこと。
「その頃A子はよく『アイドルに憧れている』『チャンスがあればアイドルになりたかった』と話していましたが、執着や強い後悔も感じなかったので軽く聞き流していました。でも妻の中には、ずっと『アイドルになりたかった』という思いが燻っていたようです」
◆芸能事務所に合格も…様々な支払いが続く
明細からお金を振り込んだ先が芸能事務所だということ、そして妻のクローゼットから普段は着ないような服やレシートも出てきて確信に変わった水島さん。妻を問い詰めたところ、スマホに表示された広告の芸能事務所にちょっとした出来心で応募してみたところ合格したという。
「ただその事務所、PRの写真を撮るのに5,000円。レッスン料に月々1万円など、少額ではあるものの事あるごとにお金がかかるシステムになっていたんです。ほかにもマネジメント料や広報にかかった費用、PR用写真の撮り直しなど名目はさまざまでした」
◆“鼻で笑った一言”の代償
計算してみると年間で60万円近くが消えていたほか、月々8万円の貯金するはずのお金も使い込んでいたことが判明。採用がモデル枠ということにも疑問を抱いた水島さんは、妻に「お金だけ騙し取られているのでは?」と問い詰めるも、険悪な雰囲気になってしまったようだ。
「記憶にはないのですが私は昔、妻が『アイドルになりたかった』と話したときに鼻で笑ってしまったようなのです。それで妻は相当傷ついたようで、こっそり芸能事務所と契約を交わしてしまったのだと泣いて怒りはじめ、逆に責めたてられました」
◆怪しい芸能事務所に問い合わせた結果
そこで妻には内緒で水島さんが芸能事務所を語る会社に電話してみたところ、詐欺とは認めないもののしどろもどろで回答できないことも多く、どうも怪しい。何かあれば証拠を探して訴えると言って電話を切ったところ、しばらくして妻が契約解除となったのだとか。
「怪しいという気持ちは今も拭えませんが、証拠も確証もありません。ただ、貯金や月々貯金するはずだったお金がなくなってしまったこと、そして妻はどこのメディアにも登場することなく契約を解除されたということだけが現実として残りました」
水島さんは「芸能事務所よりも、A子から相談がなかったことや勝手に貯金などを使い込んでいたことがショックでした」と話す。気持ちが通じ合っていると感じる相手や同じ屋根の下で暮らす家族や夫婦も、お互いに知らないことはあるものだと肝に銘じておきたいものだ。
<TEXT/夏川夏実>
【夏川夏実】
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Xアカウント:@natukawanatumi5