
※写真はイメージです
◆相次ぐリチウムイオン電池の発火事故
繰り返し充電でき、モバイルバッテリーなど多くの身近な製品に利用されている「リチウムイオン電池」が発火する事故が多発しています。消費者庁は10月2日、リチウムイオン電池が発火するなどした事故が2020年度〜2024年度で、合わせておよそ2,350件あったとみられると明らかにしました。
吉田:塚越さん、まずは消費者庁の推計について詳しく教えてください。
塚越:リチウムイオン電池は、私たちの身近にあるたくさんの製品に使われています。代表的なものはスマホです。
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◆「モバイルバッテリー」の扱いに注意!
吉田:このところ、モバイルバッテリーが発火する事故が相次いで起きている印象ありますよね?
塚越:そうなんです。モバイルバッテリーの事故は去年123件の報告があり、2020年と比べると2.6倍になっています。
例えば9月25日には、東京都杉並区のマンションで火災が発生して、男女6人が軽症を負いました。住人によると、スマホをモバイルバッテリーにつないで充電して寝ていて、音がしたので起きて見てみたら、バッテリーから火が上がっていた、ということです。これは誰でも被害に遭う可能性がありますよね。
また、今年7月にはJR山手線の車内で、スマホを充電していたモバイルバッテリーが発火して、山手線が大幅に遅延した事故もありました。このバッテリーは中国製で、2023年6月にリコールが開始されていたということです。
こうしたリチウムイオン電池の発火原因はいくつかありますが、1つあげられるのが、外部からの強い衝撃や圧力です。異常発熱が起きて発火するケースがあります。もう1つの原因としてあげられるのが「高温」です。あまりに熱くなると、電池の発熱を制御できなくなることもあるということです。強い衝撃と、バッテリー本体が異様に熱くなっている場合には注意が必要です。
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もう1つ、とても大切なことがあります。モバイルバッテリーや加熱式タバコのデバイスなどをゴミ収集車に入れてしまって、その後、収集車内やゴミ処理場で火災が起きるケースが増えています。事故になると、復旧までに1年以上かかり、費用も数十億円になることもあります。リチウムイオン電池は、分別回収でリサイクルするのが基本です。
これは私たちの全員の生活に関わりますよね。場合によってはゴミ処理ができなくなってしまいます。リチウムイオン電池を使った製品を捨てる際には、絶対に自治体のルールを守ってください。
◆「PSEマークを確認」「あまりに安価な製品は避ける」など対策を
ユージ:このリチウムイオン電池の事故が相次いでいるのは、どんな背景があると思いますか?
塚越:先ほど話した理由に加えて、モバイルバッテリーを使う製品が増えたことや、粗悪品による問題も課題です。
読売新聞によると、モバイルバッテリーは2018年に法律で規制対象となり、安全基準を満たしたものに貼られる「PSEマーク」というものがないと、販売禁止になっています。しかし、実際は、中国製の一部などで基準を満たしてないのに「PSEマーク」をつけて販売しているものや、国内の消費者が海外から直接輸入した粗悪品が出回っている可能性もあるということです。
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ユージ:リチウムイオン電池の事故が相次いでいること、塚越さんは、どうご覧になっていますか?
塚越:「PSEマーク」は偽装もあります。そうなると、私たちが見分けるのはちょっと難しいですよね。ですから、国が規制をかけるのも大事です。
一方で、私たちの心がけも大事です。モバイルバッテリーは高温や衝撃に弱いので、それに気をつけるのは当然のこと。あとは、あまりに安い製品には気をつけましょう。危険な可能性があります。あとは、手持ちのモバイルバッテリーの「PSEマーク」を確認してください。不安な場合は、リコールの対象になっていないかどうかを調べてみてください。
このリチウムイオン電池、スマホやパソコン以外にも加熱式タバコのデバイスやワイヤレスイヤホン、携帯扇風機やスマートウォッチ、コードレス掃除機など、いろいろな製品に使われています。身近に本当にたくさんあるので、火傷などの事故につながらないように、ちょっとチェックしてみてください。こうした危険があると、頭のなかに置いておくのは重要かなと思います。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
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