
プロ野球は、日本一を決めるポストシーズン真っ最中。今年もそのプロの世界に憧れ、挑む選手たちが、10月23日に行われるドラフト会議に臨む。明るいキャラクターとユーティリティーなプレースタイルで活躍した元日本ハムの杉谷拳士氏(34)が、独自の目線で選ぶ、今年のドラフト候補「イチオシ選手」5人を一人ずつ紹介する。(第1回/5回)
【写真を見る】【ドラフト】杉谷拳士氏のイチオシ「身体はメジャークラス」“スイッチモンスター”仙台大・平川蓮
現役引退後、プロアマ問わず、多くの選手に取材を行う杉谷氏。「高校・大学・社会人・独立リーグと、野球の幅が広がってきている中で、『どこからでもプロに行くチャンスがあるんだ』っていうことを、この記事を通じて、皆さんに知っていただければ」と語る杉谷氏の熱い気持ちから今回の企画が生まれた。「特に高校生はいろいろな取材で見てきたので、高校生をたくさんピックアップしたいですけど、『ドラフト1位、2位の選手以外にも、まだまだ今年のドラストには隠れた逸材がいるんだよ』っていうのを皆さんにお届けしたい」と語る。
早速1人目について聞くと、イチ押しポイントを「北海道出身!」と即答。杉谷氏が14年間、プロ生活を送った北海道出身の仙台大・平川蓮(21)を挙げた。
平川は身長187cm、体重91kgの恵まれた体格を持つ走攻守揃った外野手。杉谷氏が「スイッチヒッター、日本人離れした体格。まるで杉谷拳士を見ているようだ」と語るように、特筆すべきは、右投げ両打ちのいわゆる「スイッチヒッター」であることだ。
自身もスイッチヒッターの杉谷氏は、平川を「北海道出身(札幌国際情報高から仙台大)の選手だからずっと見てきた」という。特徴は「右打席でも左打席でも長打を打てる」こと。「今までこういったスイッチヒッターは出てこなかった。どういう育成をしたら、この選手が伸びていくのかといった点に期待したい」と、両打席で本塁打が打てる長距離ヒッターとしての素質を評価した。
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選手としてのタイプを聞くと、「ブルージェイズのアンソニー・サンタンデアー(外野手)。イメージつかないかー、でも身体はメジャークラスよ。これくらいスケールの大きい打者になってほしい」と杉谷氏。スイッチヒッターとして昨年、ヤンキースのアーロン・ジャッジ、ドジャースの大谷翔平に次ぐMLB全体3位の44本塁打を放ったサンタンデアーの名前を挙げた。
将来的に、「目指すべきは右では岡本和真(29・巨人)、左は糸井嘉男さん(元阪神ほか)みたいなそんな選手になってほしい。それくらいスケールの大きい選手になってほしい」と稀代の長距離バッターの名前を挙げ、走攻守揃う平川に対し、中でも打者として、長距離砲としての期待を寄せる。
杉谷氏は平川が侍ジャパン大学代表として出場した今年の第45回日米大学野球選手権大会を観戦。平川は計5試合で16打数6安打で、両打席で安打を放った。しかし、この大会で杉谷氏が注目したのは「(守備の際に)果敢にフェンス際に飛び込んでいて、勇気あるプレー、ガッツあるプレーをしていた。ガッツがある選手はチームに勢いをもたらす。存在で、チームを引っ張ってくれる」とそのプレースタイルも「イチオシポイント」として高評価した。
プロ野球ファンが期待する即戦力としての評価については、「大卒なので1年目から出場しないとダメ。1年目からしっかり試合に出て、2年目からはしっかり長打を打たなきゃいけない。3年目にはしっかりレギュラーに固定される、そんな活躍をしてほしい」と語り、1年目から結果を出すような活躍を求めた。
最後に杉谷氏に平川の肩書きを聞いてみると「それはオレ決められないでしょ、恥ずかしいよ」としつつも、しばらく考えた後、出た言葉は「スイッチモンスター」。“スイッチヒッター”と恵まれた身体や身体能力を表現する“モンスター”を合わせたそうだ。
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北海道が生んだ“スイッチモンスター”仙台大・平川蓮。プロの扉は開くのか、どの球団が獲得するのか、運命のドラフト会議は10月23日に行われる。
■平川蓮(ひらかわ れん)
2004年3月31日生まれ、21歳。187cm・91kg 右投両打、外野手。北海道・札幌国際情報高時代は3年夏、南北海道大会4強。仙台大に進み、仙台六大学リーグでは、24年春、25年春にベストナイン。25年日米大学野球選手権にて日本代表初選出。父・敦さんは北海道・北海高監督として甲子園春夏12度出場。