
ロジクールが9月18日、10種類の新型ゲーミングデバイスをゲーミングブランド「Logicool G」から発表した。
今回、新製品のうち10月9日に発売されたワイヤレスマウス「PRO X SUPERLIGHT 2c」と、薄型有線キーボード「G515 Rapid TKL」(いずれも実売価格2万5000円前後)を1週間ほど試す機会を得た。その所感をまとめる。
●ベースモデルの性能を維持してコンパクト化した「PRO X SUPERLIGHT 2c」
PRO X SUPERLIGHT 2cは、Logicool Gブランドのフラグシップゲーミングマウス「PRO X SUPERLIGHT 2」の小型版だ(2cの「c」はコンパクトを意味する)。「HERO2センサー」や「LIGHTFORCEスイッチ」といった主要なハードウェアは維持しつつ、サイズや重量のみ削減したことが特徴だ。カラーはブラック/ホワイト/ピンクの3色から選べる。
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本体はサイドボタンを除けば左右対称のシンプルな形状で、大きなくびれがない。横から見ると中央よりやや後ろが最も背が高くなり、後端近くまで高さが変わらないのが特徴だ。丸みを帯びた後部のふくらみが手のひらの収まりを良くしている。
サイズは約61.2(幅)×118.4(奥行き)×38.6(高さ)mmで、ベースモデルのPRO X SUPERLIGHT 2の約63.5(幅)×125(奥行き)×40(高さ)mmから一回り小さくなった。重量も、約60gから約51gへと軽量化されている。ベースモデルを「やや大きいなぁ」と感じていたユーザーにはフィットしやすいだろう。
表面はさらりとしたコーティングで、一定のグリップ感がある。さらにホールド感を求めるなら付属のグリップテープを貼るとよい。
クリックスイッチには、ロジクール独自の光学式「LIGHTFORCEスイッチ」を採用している。公式サイトでは「メカニカル(スイッチ)のようなフィーリング」としているが、押してみると光学スイッチらしい硬質なクリック感に近い。「誤クリックを防ぎやすい」と取るか「硬すぎる」と感じるかは、人によって評価が分かれそうだ。
サイドボタンは、自然に指が届く箇所に設けられている。感触はややふにゃっとしており、戻りがやや長い。ここも、好みが分かれそうである。
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スクロールホイールは、軽い操作感ながらノッチ感が適度にあるため、1単位のスクロールも正確に行える。
ロジクール独自の移動センサー「HERO2センサー」は、本体中央に配置されている。マウスを握った際に、ちょうど親指と小指の間に自然に収まる位置なので、動かした際の違和感もない。
底面にはマグネット式のカバーを備えており、押し下げて外すとUSBドングルを収納できるスペースが現れる。このカバーは通常タイプとマウスソール一体型の2種類が用意されており、好みに応じて付け替えできる。
付属のUSB Standard-A to Type-Cケーブルは長さ約1.8mで、デスクトップPCの背面に接続する際もある程度の余裕がある。USBドングルはUSB Standard-A接続で、付属のアダプターエクステンションとUSBケーブルを併用することで、マウス本体とドングルの距離を近づけて安定した通信を確保できる。
細かい調整は「G HUB」から
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PRO X SUPERLIGHT 2cの細かい設定は、Logicool Gブランド製品の共通アプリ「Logi G HUB」で行える。
移動センサーの読み取り解像度は100〜4万4000dpiの範囲で細かく調整できる。マウスが接地面から離れたことを検知する距離(リフトオフディスタンス)は「低」「中」「高」の3段階で切り替え可能だ。
ポーリングレートは最大8000Hzで、高めに設定することで入力遅延を最小限に抑えられる。ただし、レートはPCへの負荷は大きくなるため、システム性能やプレイするゲームに応じて最適な設定を探すことをお勧めする。
LIGHTFORCEスイッチのモード切り替え(オプティカルモード/ハイブリッドモード)も、G HUBから行える。オプティカルモードは遅延を最小化できる一方で、消費電力が大きくなる。ハイブリッドモードはわずかに遅延が発生するものの消費電力を抑えられるので、長時間の利用に向く。
競技系のFPS(1人称視点シューティング)ゲームなど、マウスの応答速度を最優先すべき場合はオプティカルモードが適している。利用シーンに応じて切り替えるとよいだろう。
G HUBでは、複数の設定プロファイルを保存してゲームごとに切り替える機能も備える。プロファイルはアップロードしたり共有したりすることも可能で、プロゲーマーや他のユーザーが公開している設定を取り入れることができる。
PRO X SUPERLIGHT 2cは、ベースモデルの基本性能をそのままに、小型化と軽量化を行った派生モデルだ。HERO2センサーや最大8000Hz対応のポーリングレートなど、フラグシップモデルとしての仕様をしっかりと維持できている。
ボタンのクリック感やサイドボタン/ホイールの感触はやや独自性があるため、フィーリングは好みが分かれそうではある。ただ、PRO X SUPERLIGHT 2を手にした際に「いいんだけど、ちょっと大きいんだよな……」と思っていた人には福音といえる製品であることも間違いない。
ベースモデルと同等の性能を維持しつつもサイズ感を見直した本機は、手の小さいゲーマーや、軽快な操作を求める競技志向のユーザーにとって、待望の選択肢といえる。
●薄型でもラピッドトリガー対応の「G515 Rapid TKL」
G515 RAPID TKLは、Logicool Gのロープロファイルキーボードとして初めて「ラピッドトリガー」に対応したことが特徴だ。薄型ながら高速な入力応答と、豊富なカスタマイズ機能も備えており、競技的なゲームプレイにも適した設計となっている。今回はホワイトモデルをレビューするが、ブラックモデルも用意されている。
製品名からも分かる通り、本機はテンキーレス仕様で、日本で販売されるモデルは日本語配列となる。本体サイズは約354.75(幅)×146(奥行き)×22(厚さ)mmで、重量は約800gだ。ゲーミングキーボードとしては薄めのロープロファイル設計で、パームレストを用意しなくても手首にかかる負担は少なく、長時間の使用でも疲れにくい。
キーのストロークは約2.5mmで、押下圧は35±7gとなっている。ゲーミングキーボードとしてはやや軽めの設定だが、確かなタイプ感を確保している。内部には吸音性の高い多層フォームを組み込んであり、タイプ音は静かで耳障りになることもない。純粋にタイピングする用途にも向いている。
先述の通り、本機はLogicool Gブランドのロープロファイルキーボード初となるラピッドトリガー対応を果たしている。ラピッドトリガーを有効にすると、キーを押したり離したりする動作が即座に入力として反映され、ゲーム中の方向転換/動作停止をミリ秒単位で行えるため、FPSゲームはもちろん、TPS(3人称視点シューティング)ゲームといった競技要素の強いゲームで大きな効果を発揮する。
キーキャップは、耐久性の高いPBT(ポリブチレンテレフタレート)素材を採用し、WASDキーは他のキーとは異なるツートーン配色とすることで視認性を高めている。「LIGHTSYNC RGBライト」による発光も対応しており、G HUBを使って発光パターンをカスタマイズできる。
細かい調整は「G HUB」から
PRO X SUPERLIGHT 2cと同様に、G515 RAPID TKLもG HU」で細かい設定を行える。
キーのアクチュエーションポイントは0.1〜2.5mm、ラピッドトリガーは0.1〜1.5mmの範囲内で調整可能だ。両者をかなり浅い設定にすると、キーに“触れた”レベルで入力できるので、競技要素の強いゲームにおいてスムーズな操作を期待できる。
本機では「キープライオリティー」設定も可能だ。この機能は「SOCD(同反対方向入力)」に関する設定、もう少し平たくいうとキーの“同時押し”をどように処理するかを設定するために存在する。設定は以下の5種類から選べる。
・より深く押したキーを優先して入力
・後から押した方を優先して入力
・常に「D」を優先して入力
・に「A」を優先して入力
・初期設定(同時押しは停止)
左右移動や前後移動に限らず任意のキーで利用可能で、ゲームごとに異なる設定を保存できる。
また、アクチュエーションポイント(押し込み幅を検知する機能)を応用して、キーを押し込む深さに応じて異なる動作を割り当てられる「マルチポイントアクション」という機能も利用可能だ。これにより、1つのキーで2つのアクションを利用可能だ。例えば、Wキーを浅く押すと「歩く」、深くすと「走る」といった使い分けができる。
G515 RAPID TKLは、ロープロファイル設計ながらタイプ感/静音性ともに優れている。日常のタイピングからゲーミングまで、幅広く使えるキーボードだ。ラピッドトリガーやキープライオリティーといった機能により、高速な操作が求められるゲームタイトルでも、実力を発揮しやすい。
ロープロファイルゆえにパームレストなしでも快適に使えるため、省スペース環境や長時間の作業用途にも適している。軽快な操作性と豊富な機能を兼ね備えた、汎用(はんよう)性の高いテンキーレスキーボードといえる。
●快適なPCゲーミング環境の構築に適したマウスとキーボードだった
PRO X SUPERLIGHT 2cとG515 RAPID TKLはいずれも、ベースモデルの強みを継承しつつ改良を加え、より幅広いユーザーに対応できるよう進化している。
PRO X SUPERLIGHT 2cはサイズと重量を見直すことで日本人を含む手の小さいプレイヤーにも扱いやすくなり、G515 RAPID TKLは薄型設計にラピッドトリガーやキープライオリティーといった機能を盛り込み、ハイレベルなプレイ環境でも安心して使える仕上がりとなっている。
いずれも快適さと高性能を兼ね備えた、Logicool Gらしい完成度を持つ製品だ。
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