水戸地裁=水戸市 茨城県の日立市役所広場と東海村役場庁舎に2023年12月、車で突入して人をはね、殺害しようとしたなどとして、殺人未遂などの罪に問われた無職益子泰被告(55)の裁判員裁判の初公判が20日、水戸地裁(有賀貞博裁判長)であった。被告は「(人を)殺傷しようと考えたことはない」と述べ、起訴内容の一部を否認した。
冒頭陳述で検察側は、日頃から金銭を無心していた母にクレジットカードの利用を止められた被告が「自分の思い通りにならず、母らに思い知らせようとした」と指摘。事件の直前直後は適切に運転していたことから「完全責任能力があった」と述べた。
弁護側は、日立市役所広場の机に車で衝突した際に意識障害を起こしており、「人に危害を及ぼす意図も認識もなかった」と反論。統合失調症などの影響で判断能力は著しく失われていたとして「心神喪失または心神耗弱の状態にあった」と主張した。