エンブロイダリー(c)netkeiba【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る秋華賞
【Pick Up】エンブロイダリー:1着
3代母ビワハイジは、マンハッタンカフェのいとこにあたり、ドイツ血統にルーツを持つ名血です。現役時代にエアグルーヴを破って阪神3歳牝馬S(現在の阪神JF)を制覇しました。繁殖牝馬としても素晴らしく、年度代表馬ブエナビスタ、阪神JFの勝ち馬ジョワドヴィーヴル、重賞3勝馬アドマイヤオーラなど6頭の重賞勝ち馬を産んでいます。
2014年4月にサングレアルがフローラSを勝ってから、この牝系の重賞勝ちは10年以上途絶えていましたが、今年に入ってサングレアルの息子メルキオルが船橋のブルーバードC(JpnIII・ダ1800m)を、そしてエンブロイダリーが桜花賞、秋華賞、クイーンCを制覇しました。
父アドマイヤマーズはダイワメジャーの息子で、現役時代に香港マイル、NHKマイルC、朝日杯FSを勝った名マイラー。初年度産駒からエンブロイダリー、テレサ(ローズS2着)、ナムラクララ(キーンランドC4着)、ルージュラナキラ(現OP)を、2年目の産駒からアルバンヌ(サフラン賞)を出しており成功しています。
エンブロイダリーと同じ「アドマイヤマーズ×クロフネ」の組み合わせは、出走7頭中4頭が勝ち上がっています。アドマイヤマーズはクロフネの父フレンチデピュティと相性良好です。
◆血統で振り返る富士S
【Pick Up】ガイアフォース:1着
キタサンブラック産駒はJRA全10場の芝コースのなかで東京コースの連対率が最も優れており、1400mから2500mまでまんべんなく好成績を挙げています。東京芝1600mの重賞勝ちはラヴェルのアルテミスS以来2勝目。
ガイアフォースは2歳9月の小倉新馬戦(芝1800m)でドウデュース(日本ダービー)の2着となり、3歳7月の国東特別(1勝クラス)では小倉芝2000mで1分56秒8というコースレコードを樹立しました。スピード能力が高い一方、あまり小細工はきかないタイプで、スピードの持続力に秀でています。それゆえにワンターンのマイル戦が合っており、春の安田記念ではジャンタルマンタルの2着と健闘しています。このとき同斤量だったジャンタルマンタルに対し、今回は2kg軽い斤量で出ることができたので、この斤量差が明暗を分けた形です。
母の父がクロフネで、自身はサンデーサイレンス3×4、という配合構成は、秋華賞を勝ったエンブロイダリーと同じです。