建設が止まった中国のビル=20日、北京市 【北京時事】20日に発表された中国の7〜9月期国内総生産(GDP)は前年同期比4.8%増と、伸び率は前期から0.4ポイント低下した。対米貿易摩擦や不動産不況が景気の足かせとなり、10〜12月期は一層鈍化するとの観測も浮上している。危機感を強める習近平指導部は、同日に開幕した共産党の重要会議「第20期中央委員会第4回総会(4中総会)」で、経済成長を続けるための対策を練る見通しだ。
「新たな発展理念で成長をけん引する」。国営新華社通信は9月下旬に配信した記事で、4中総会で討議する次期5カ年計画についてこう強調。従来の成長重視の路線とは一段と距離を置き、一定の鈍化を受け入れる可能性を示唆した。
中国では、2021年に表面化した不動産開発大手、中国恒大集団の経営危機をきっかけに不動産バブルが崩壊。不動産は家計の主要な資産のため、マイナスの影響が全方位に波及した。
9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%低下と、2カ月連続のマイナス。デフレ懸念が社会を覆う中、市民は消費を手控える姿勢を強めるばかりだ。
国際通貨基金(IMF)は25年の成長率を4.8%、26年を4.2%と予想。人口減の加速を背景に、市場では30年の成長率が4%以下に落ち込むとの見方も広がる。
北京の金融業界関係者は「今の焦点はどこまで成長を伸ばせるかではなく、どこまで減速を食い止められるかだ」と指摘。国家統計局は今回、GDP発表に合わせて通常実施している記者会見を見送った。このため、「経済の実態は想定以上に悪い」(市場関係者)といった声さえ上がる。