写真 あなたは社内恋愛をした場合、公表する派ですか? それとも秘密にする派ですか?
今回はそんな社内恋愛エピソードをご紹介しましょう。
◆内緒の社内恋愛を楽しんでいた
桜井真由香さん(仮名・29歳/会社員)と袴田浩史さん(仮名・30歳)はお付き合いを始めて2ヶ月になる社内恋愛カップルです。
「とにかくバレたら噂になったりして面倒だからと、誰にも言わずに……でもそんな状況をドキドキしながら味わっていたんですよね」
社内ではポーカーフェイスで、会社付近では2人で会わないように気をつけながら、万全の状態で内緒の恋を楽しんでいたそう。
◆プレゼンの大画面で、交際相手までバレてしまう
「ですがある日、プレゼンの準備をしているときにプロジェクターに自分のスマホをミラーリングしたまま操作を始めたら、そこにLINEの通知がポンッと現れて……みんなに見られてしまったんです」
しかもそれは浩史さんからの『さっきの全体会議、目が合った瞬間笑いそうになってたでしょ? 今日もうち来るよね? 早くくっつきたい〜』といういちゃいちゃした文面でした。
「なんで通知をオフにしておかなかったんだ! とめちゃくちゃ後悔しましたが、時すでに遅しで……その場にいた同僚たちも一瞬フリーズ。その後ひとしきりニヤニヤしてから、何事もなかったかのようにプレゼンがスタートしました。顔から火が出そうなほど恥ずかしかったですね」
表示名の「はかまだ」と文面から、真由香さんと浩史さんが付き合っていることがバレてしまい、噂は瞬く間に社内に広がっていったそう。
◆突然、後輩女性に呼び出されて
「すぐ浩史に『ごめん、ミスっちゃった』とLINEしましたが返信はなくて。きっとせっかく隠していた秘密がバレしまい動揺しているんだと思いました」
とてもきまりが悪く、クスクス笑われたりと屈辱感を味わうことになってしまった真由香さんでしたが……。
「でも別に悪いことをしているわけではないし『これからは堂々と付き合っていると公言できるぞ』という喜びもあったんですよ。ですがまさかこんなことになるなんて」
さて真由香さんに何が起こったのでしょう?
◆彼氏の「まさかの裏切り」に怒りしかない
「急に同じ部署の後輩・彩芽さん(仮名・26歳)に話があると呼び出されたんです。それで『先輩、浩史さんと付き合ってるって本当ですか? 私、2週間前から浩史さんと付き合ってるんですけど』と言って、浜辺で顔を寄せ合い笑う浩史と彩芽さんの写真を見せられて。『はぁ? 何なのアイツ!』とはらわたが煮え繰り返る思いでした」
話を聞くと、浩史さんはフリーだと嘘をついて彩芽さんに近づき、真由香さんのことも彼女のことも騙しながら二股をかけていたことが分かりました。
「だからあんなに『絶対に社内の人たちにはバレないようにしよう』と念を押してきたのかと、ムカムカしました。彩芽さんにも同じように、バレないようにとしつこく言っていたそうで……さらに怒り度が爆上がりでしたね」
◆その晩、浩史さん宅に2人で乗り込む
真由香さんは彩芽さんと相談をして、その晩浩史さん宅に2人で乗り込みました。
「合鍵で部屋に入りリビングのドアを蹴って開けると、浩史は私と彩芽さんを交互に見てソファーから転げ落ちてビックリしていて」
そして真由香さんと彩芽さんで「これはいったいどういうことなのか説明してよ!」と責め立てたそう。
「浩史はしばらく脂汗をかきながら黙っていましたが、何の言い訳も思いつかなかったのか『本当にすみませんでした』と結局は二股を認め土下座して謝っていましたね」
◆最低男の悪口をつまみにお酒が進んだ
そしてその後、浩史さんの部屋にたくさん置いてあった真由香さんの私物を運び出すのを、彩芽さんにも手伝ってもらいました。
「浩史は虚ろな目で私たちが荷造りをするのを見ていました。で、彩芽さんとはそのまま、私の部屋で飲み明かしたんですよね」
浩史さんの悪口をつまみにお酒が進んだ2人は大いに盛り上がり、憂さ晴らしをしたそう。
「彩芽さんがいてくれたおかげで助かったなと感謝しました。今回の件で絆が生まれた私たちは、めちゃくちゃ仲良くなったんですよ(笑)」
それ以来真由香さんは、浩史さんとは口をきいておらず、社内ですれ違う度に毎回睨みつけているそうです。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop