バッテリーレスのポータブルゲーミングPC「GPD WIN 5」の実機を見てきた “3つの世界初”に価値はある?

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2025年10月21日 12:21  ITmedia PC USER

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12月27日に日本でも発売する「GPD WIN 5」

 天空が中国GPD TechnologyのポータブルゲーミングPC「GPD WIN 5」の販売を12月27日に始める。価格は26万8000円からで、既に予約受け付けも開始している。報道陣向けに発表会が行われたので、その模様をお届けしよう。


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●バッテリー外付けの“ポータブル”ゲーミングPC


 GPD WIN 5は“3つの世界初を搭載したポータブルゲーミングPC”をうたった製品だ。1つはポータブルゲーミングPCとして初めてプロセッサにAMD Ryzen AI Max+ 395を搭載したこと、2つ目は着脱式バッテリーを採用したこと、3つ目は拡張スロットにMini SSDを搭載したことだという。


 1つ目の特徴であるRyzen AI Max+ 395は、NVIDIA RTX 4060モデルに匹敵するゲーミング性能、そしてトータルで最大126TOPSのAI処理性能を内包している。


 天空ではRyzen AI Max+ 395(内蔵グラフィックスはAMD Radeon 8060S)を搭載した2製品(64GB/SSD 4TB、メモリ32GB/SSD 2TB)の他、AMD Ryzen AI Max 385(内蔵グラフィックスはAMD Radeon 8050S)を搭載した1製品(32GB/SSD 1TB)を取り扱う。


 価格は順に36万8000円、30万8000円、26万8000円だ。ちなみに先行予約で5000円引きになるキャンペーンも実施する。


 GPD WIN 5では、高性能な安定動作を行うために、電源は180W ACアダプターを採用している。なお、接続時は最大85WのTDPで稼働する。


 GPD WIN 5の最大の特徴でもあり、2つ目の世界初としてうたっているのは、バッテリーを内蔵していないという構造だ。これにより電源に接続したまま長時間に渡り高負荷なゲームなどをプレイをしても、バッテリーの発熱や膨張、劣化心配をしなくても済むというメリットが生まれる。


 天空の山田拓郎社長は「実際、ユーザーの多くがポータブルゲーミングPCを電源に接続したまま利用している。そのため、内蔵バッテリーへの不安を抱いているという話を聞いている」と述べ、外付けバッテリーの採用が理にかなっていることを説明した。


 バッテリーを内蔵していないGPD WIN 5を持ち運んでプレイする際には、着脱式バッテリーを取り付ける仕組みだ。


 着脱式バッテリーの容量は80Whで、GPD独自の「FlexPower」技術を採用することで外付けバッテリーでも安定的な給電を実現しているという。なお、バッテリーで電力供給している間のTDPは最大28Wだ。


 バッテリーからの電源供給方法は、カセットのようにバッテリーを取り付ける一体型モードと、専用ケーブルを使った有線モードの2つが用意されている。有線モードでは約350gのバッテリーをポケットやカバンなどに入れることで、本体は軽い状態で遊ぶといった使い方が行える。


 3つ目の世界初は、Mini SSDスロットを搭載したことだ。Mini SSDとは、中国Biwin(バイウィン)が開発したカード型SSDで、サイズは約15(幅)×17(奥行き)×1.4(高さ)mmと、microSDメモリーカードよりわずかに大きい。


 インタフェースはPCI Express 4.0で、読み込み/書き出し速度は最大毎秒1600MBと高速だ。中国メーカーのポータブルPCで徐々に採用が進んでいるという。


 その他のインタフェースは、microSDメモリーカードスロット、180W DCポート、USB PD(Power Delivery、最大100W)、USB4、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2 Standard-A、3.5mmヘッドセットジャックとなっている。


 ディスプレイは1920×1080ピクセル解像度で、リフレッシュレートは最大120Hz、最大輝度は500ニトで、ネイティブランドスケープの7型LTPS液晶パネルを採用している。


 高い処理性能を支えるために、新しい冷却アーキテクチャ「Frost Wind」を採用している。熱伝導率の高いナノレベルのヒートパイプを4本、チタンアルミニウム合金ブレード製のPCグレードターボファンも採用している。


 ジョイスティックは静電容量式でピクセル単位の照準精度を実現し、ジョイスティックを格納するリミットリングやガイドリングも、ジョイスティックの動作を妨げない設計にした。


 トリガーボタンの深さを2段階で調整するトグル式背面ボタンを搭載し、FPS(ファーストパーソンシューター)などのシューティングゲームや格闘ゲーム、レースゲームなどで最適な操作感を得られるようにしたという。


 さらにUSB 3.2 Gen 2 Standard-A×3基、ギガビットイーサネットポート、HDMI出力、専用バッテリー充電用USB Type-Cを備えるスマートドックを別売りで用意しており、接続すればGPD WIN 5をデスクトップPCのように使える。専用バッテリーは、AC電源を接続したGPD WIN 5に装着している間、または電源を接続したスマートドックにセットしている間のみ充電できる仕様になっている。


 GPD WIN 5の本体サイズは約267(幅)×111.6(奥行き)×24.21(高さ)mm、質量は約590gだ。着脱式バッテリーのサイズは約110.76(幅)×110.3(奥行き)×18.1(高さ)mmで、重さは約350g、スマートドックのサイズは約190.07(幅)×169.5(奥行き)×38(高さ)mm、重さは現時点で非公表だ。


●展示機をじっくりチェック


 GPD WIN 5本体を片手で持ったところ、7型ディスプレイを搭載する機種にしては軽いと感じた。バッテリーを着脱式にしたおかげだろう。


 下部にはUSB 3.2 Gen 2 Type-CポートとMini SSDスロット、右側面にはmicroSDメモリーカードスロット、上部には左からUSB4、DCポート、USB 3.2 Gen 2 Standard-Aポート、3.5mmヘッドセットジャックが並ぶ。ところ狭しと並んだ排気口が特徴的だ。


 背面には給気口の他、トリガーボタンの押し込みの深さを切り替えられる背面ボタンや、着脱式バッテリーを装着するスロットが見える。


 GPD WIN 5をデスクトップに変えてくれるのが、このスマートドックだ。フットプリントがあるので、デスクスペースをかなり取られそうだ。


 スマートドックがあれば、予備の着脱式バッテリーを充電しておくのにも役立つ。GPD WIN 5に1台付属するが、2台目、3台目と購入しておけば、外出先でバッテリー切れを起こすことはないだろう。なお、バッテリー着脱時には、本体への給電が途切れるため、必ずシャットダウンしてから行おう。


 プレイ中の画面は滑らかでカクツキなどか見られず、快適そうだ。DTS:Xオーディオを採用した2Wのウルトラリニアスピーカーユニットを2基搭載しており、音質も優れていた。


 山田社長は「(本体価格が)30万円超ということで、高いと感じるかもしれないが、外付けGPUを買わずに済むこと、処理能力が高いプロセッサや大容量ストレージを搭載していること、デスクトップとポータブルで使えるという付加価値の高さを考えると、妥当性があるのではないか」と語っていた。



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