
通販大手のアスクルにサイバー攻撃がありました。医療現場にも影響が広がっています。
【写真を見る】「アスクル」サイバー攻撃で医療現場にも影響「なぜ日本企業が狙われる?」専門家は【ひるおび】
アスクルにサイバー攻撃 無印・ロフトも販売停止「アスクル」は、オフィス向け事務用品や家具、個人向けの日用品などを扱う通販大手です。
サイバー攻撃でウイルスに感染し、システム障害が発生しました。商品の受注と出荷を停止しています。(10/21時点)
アスクルを襲ったのは、身代金要求型のコンピュータウイルス「ランサムウェア」です。アスクルは、個人情報や顧客情報などが外部に流出したかどうかは現在調査中とし、復旧のめどは立っていません。
影響は他の会社のサービスへも広がっています。
アスクルの子会社に配送の一部を委託している無印良品やロフトなどは、物流に障害が出たとして、ネットストアでの販売を一時停止。
そごう・西武でもネット通販で一部商品の販売を停止しています。
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アスクルでは、病院や介護施設用に医療用品・生活用品も販売しています。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤院長に聞くと、注射針・メス・マスク・処方箋用のコピー用紙など、備品の約8割をアスクルで注文しており、「注文できなくても1日2日だったら特に問題はないが、1週間を超えると大きな影響が出てしまう」と話しています。
恵俊彰:
インフルエンザが流行っているという情報もありますからね、ワクチンを打ちにいきたい方もいらっしゃるかもしれませんけど、長引けば影響が出てくるかもしれないということですね。
恵俊彰:
これは長引きそうですか?
ITジャーナリスト 三上洋氏:
はい。今までの例ですと、ランサムウェアの感染で1か月〜3か月以上かかる場合もあるんですよね。そのぐらい長くなる可能性があると覚悟した方がいいかもしれません。
というのも、この「ランサムウェア」は、暗号化してシステムが全部使えなくなっちゃうんです。
最近の企業は合理化やIT化を進めていて、全てのシステムを一つのシステムにする。
出荷から工場生産から人事から給与まで全部一つにして合理的な企業の運営をしている。ランサムウェアに感染すると企業のシステム全部がドカーンとやられてしまうので止まってしまうんですね。結構深刻な事態です。
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コメンテーター 高橋ユウ:
1か月から3か月続いちゃうと、医療で使われている注射針やメスなど、どうなってしまうんでしょうね。無印だったら直接買いに行こうとかできますけど、医療現場はすごく大変ですよね。
警視庁によると、ランサムウェアによる被害の件数は今年上半期で116件。
企業・団体の規模別でみるとー
・大企業・・・35件
・中小企業・・・77件
・団体等・・・4件
三上氏は「犯罪グループが日本の大企業を狙っているのではないか」と見ています。
なぜ日本企業で被害が相次いでいるのでしょうか?
三上氏によると、以前は“日本語の壁”と言われ、英語圏よりもサイバー攻撃に遭いにくい状況があったが、AIによってそれが“突破”されていると言います。
ITジャーナリスト 三上洋氏:
ランサムウェアの原因は必ずしもメールではありません。ただ、いろいろなサイバー攻撃はメールやSNSの場合があります。
その時、日本語が難しいために、なかなか海外からの攻撃が通らなかったんですよ。
でも、最近では生成AIで自然な日本語ができるので、メールやSNSなどのメッセージ経由で騙される、ウイルス感染することも増えています。
弁護士 八代英輝:
いよいよ英語圏と変わらないようなセキュリティ対策、特に私用のパソコンを使わないとか、USBを挿し込まないとか、不用意にURLをクリックしないとか、そういったことを
全社員が徹底していかないと、システムに入られてしまうと、損害が莫大なものになりますからね。
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恵俊彰:
これは大手の企業のお話ですけど、我々一般にもサイバー攻撃はあるんですか?
ITジャーナリスト 三上洋氏:
私たち個人、それから中小企業がやられてしまって、そこが足場となって大企業が狙われる場合があるんですね。なので、個人であっても、例えばテレビ局と取引があれば、私がウイルス感染してテレビ局を狙うみたいなやり方があります。
ですので、個人も警戒をしましょう。
セキュリティ対策ソフトを必ず入れることが重要です。
恵俊彰:
携帯も同じですか?
ITジャーナリスト 三上洋氏:
スマートフォンやタブレットは大丈夫です。Windowsのパソコンのときは、くっついてくる無料のウイルス対策ソフトがあるので、それを必ず有効にしていただくことが重要になります。
(ひるおび 2025年10月21日放送より)
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<プロフィール>
三上洋氏
スマートフォン事情に詳しいITジャーナリスト
近著に「深掘り!IT時事ニュース」