職務上知り得た情報を知人に漏らしたとして、大阪府警は22日、府警羽曳野署の警部補、草川亮(あき)央(お)容疑者(56)を地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕した。
草川容疑者は府警OBの知人男性から情報提供を依頼されたとみられ、捜査に必要な情報を収集する手続き「捜査関係事項照会」を悪用し、銀行の口座情報を不正に入手した疑いがある。
府警は草川容疑者に漏えいをそそのかしたとして、府警OBで行政書士の道沢正克容疑者(68)も地公法違反の疑いで逮捕した。
府警監察室によると、草川容疑者は羽曳野署で経済犯罪などを担当する刑事課の知能犯係に所属していた。2025年1月下旬、道沢容疑者から第三者の法人や法人代表の銀行口座の預金残高を調べるよう依頼され、翌月に捜査関係事項照会で入手した口座情報を教えた疑いがある。漏えい疑惑が浮上した後に、直接の捜査に関わらない署内の別の課に異動していた。
草川容疑者は「道沢容疑者から話があり、情報を伝えたことに間違いない」と容疑を認め、道沢容疑者は「口座の照会を依頼して教えてもらったが、そそのかしたという言葉が納得いかない」と一部否認している。
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捜査関係事項照会は刑事訴訟法に定められた手続きで、警察や検察が捜査に必要な情報について、自治体や企業に提出を求めることができる。裁判所の許可が必要な令状とは違い強制力はないが、警察内の決裁で照会をかけられる。
道沢容疑者から頼まれた草川容疑者が、捜査上必要な情報と装って関係書類を作成。上司に気づかれぬように照会手続きを進め、口座情報を入手していたとみられる。府警は不正に入手した情報を、道沢容疑者が行政書士の業務に利用していた可能性があるとみて調べる。
25年1月に草川容疑者が捜査情報を外部に流出させているとの情報提供があり、府警が捜査していた。
関係者によると、道沢容疑者は府警在職時、汚職事件などを手がける本部捜査2課の経験が長かったという。退職後は行政書士として活動する傍ら、調査会社を設立。事件の被害者から相談を受けて警察への告訴・告発を仲介するなどしていた。
草川容疑者も道沢容疑者と同じ時期に2課で働いていたことがあり、道沢容疑者の退職後も仕事の相談をするなど関係が続いていたとされる。府警は他の情報漏えいや、見返りに2人の間で金品の受け取りなどがなかったかどうかも慎重に調べる。
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府警の國井栄次監察室長は「警察官としてあるまじき行為で言語道断。今後の捜査結果を踏まえて、厳正に対処する」とコメントした。【木島諒子、斉藤朋恵】
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