【ドラフト】高校通算49本のスラッガー・櫻井ユウヤが振り返る昌平での日々 プロ野球への思いも語った

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2025年10月23日 07:01  webスポルティーバ

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 いよいよ当日を迎えたドラフト会議。上位指名が有力視されるひとりが、埼玉県の昌平で高校通算49本塁打を記録した櫻井ユウヤだ。

 昌平は2年連続で夏の県大会決勝で敗れて甲子園出場を逃すなど悔しさを味わったが、181センチ・91キロの体格を生かした打撃が注目されている内野手に現在の思いを聞いた。

【中学までは3つのポジションでプレー】

――夏の埼玉県予選でチームは準優勝。あと一歩で甲子園出場を逃しました。部活を引退して数カ月経ちますが、その後はどのように過ごしていましたか?

「目指してきた甲子園出場は果たせませんでしたが、もうひとつの夢であるプロ野球選手になるために、自分の課題と向き合いながら練習に取り組んでいます。特に県大会の決勝で敗れてしまったあとには、高校の先輩でもある吉野創士さん(楽天・2021年ドラフト1位)から連絡をいただいて。ドラフト会議の前にどんな練習をしていたのかをすごく丁寧に答えてくださったので、それも参考にさせてもらいました」

――具体的にどのような練習に取り組まれていますか?

「守備の練習に力を入れていて、後輩と一緒にノックを受けながら過ごしています。打撃に関しては『ゆくゆくはパワーヒッターとして勝負できたら』という思いもあるので、今は木製のバットの感触に慣れつつ、強いスイングをすることに重点を置いて練習に取り組んでいます」

――あらためて、原点に関しても伺えたらと思います。どのようなきっかけで野球を始めたんですか?

「最初はサッカーをやっていたのですが、先に野球を始めていた兄の楽しそうな姿を見ていると、だんだん『自分もやってみたいな』と思うようになって、小学校3年生の時に兄と同じチームに入り、野球を始めることにしたんです」

――当時のポジションは?

「入部当初のポジションは三塁手でしたが、小学5年生以降は、卒業した兄が任されていた投手や捕手としてもプレーすることが増えて。中学3年間も3つのポジションで試合に出続けていました」

――捕手と投手だったら、どちらが櫻井選手の性に合っていたと思いますか?

「僕のフルスイングで球場が沸き立つ瞬間が気持ちよくて、本塁打を打つことを楽しみにしながら日々の試合に臨んでいましたけど、バッテリーはより神経を研ぎ澄ますポジション。捕手は投手が打たれた時に怒られてしまうので、投手のほうが楽しかったかなと」

【昌平高校で1年時からAチーム入り】

――中学卒業後は埼玉県の昌平高校に入学し、寮生活をスタートさせました。

「当時は『寮のある学校で野球に打ち込みたい』という思いや、県外で活躍することへの漠然とした憧れを抱いていた時期でした。栃木県の高校を受験しようと思っていた時期もありますけどね。さまざまな選択肢を考えている時に、昌平高校のYouTube動画をたまたま見つけて。すごく雰囲気のよさそうな学校だったので、『行きたいな』と思うようになりました」

――入団当初は投手だったんですか?

「はい。最初は投手として入部しましたが、野手として試合に出場させてもらう機会があり、初戦でいきなり本塁打を打って、1年生のうちにAチームでプレーさせてもらうことができたんです。その後の公式戦でも本塁打を打てたので、この頃から『将来は長距離打者として活躍することを目指そう』と覚悟を決めて、野手としてプレーすることにしたんです」

――昌平高校の練習場にお邪魔させていただきましたが、岩崎優一監督の理論を交えながらわかりやすく指導されている姿が印象的でした。

「岩崎監督は『社会に貢献できる人物になろう』と僕らに声をかけてくださっています。卒業生の皆さんや、地域にお住まいの方々が熱心に昌平高校を応援してくださっている姿を見て、他人のために頑張ることの素晴らしさや、やりがいも実感できました。社会に出て、自分の力で生き抜く大人として過ごすことが楽しみです。これからも岩崎監督の教えを大切にしながら、歩んでいきたいと思っています」

――昌平高校は、昨年のインターハイで優勝を成し遂げたサッカー部をはじめ、スポーツが盛んな高校ですが、ほかのスポーツをしている同級生と話すこともありますか?

「そうですね。僕は、全員が部活動に所属しているクラスで学校生活を送っていて、プロサッカー選手を夢見るクラスメイトと話していると、『自分も頑張らなきゃ』と励まされます。ほかの部活の意識レベルの高い仲間と一緒に過ごしていると、多くの刺激をもらえるような気がしますね」

――昌平高校野球部は2年連続で夏の県大会の決勝で敗れ、わずかなところで甲子園に届きませんでした。埼玉県には多くの有力校が揃いますが、熾烈な戦いを通じて学んだことはありますか?

「数日おきに負けられない試合が行なわれるトーナメント戦の戦い方や、最高のコンディションで試合に臨むために、毎日をどう過ごしていくか。あとは身体をケアする方法などは学ばせていただいたと思います」

【今年の県大会決勝で放った本塁打と、残った後悔】

――今年の決勝は叡明高校と対戦するも逆転負け(2対5)。櫻井選手はこの試合の5回に勝ち越し本塁打も放ちましたが、決勝を振り返ってみていかがでしょうか?

「僕は自分のことを『バッティングの選手だ』と思っていますが、決勝の第1打席は無死2塁、第2打席は1死1、3塁のチャンスで凡退してしまって......。せっかくみんなが4番の僕に回してくれたのに結果が出せず、本当に後悔しているんです。

 第3打席に放った本塁打が注目されて、前の打席に触れられることはあまりありませんが、自分としては今でも心残りです。4番に座る以上は、チャンスで勝負強さを発揮したり、1発を打てる技術が必要だと思っているので、『もっとこんな練習をしていればよかったかな』とか、今でも悔いが残っていますね」

――それでも、悔しさを感じながらの打席で、力まずに本塁打を打てたのは本当に素晴らしいと思います。どんな思いで打席に向かわれましたか?

「前の2打席はすごく焦ってしまったので、ベンチを出る時に岩崎監督に尋ねると、『投手の足元にしっかり打ち返してくればいいよ!』と言って送り出してくれて、その言葉を意識しながら打席に向かいました」

――左中間深くまで飛ばす見事な本塁打でしたが、何か修正できる秘訣はあるんでしょうか?

「実は、自分のなかにいくつも"モード"があって、それを切り替えながら試合に臨むようにしているんです。思わず気持ちが昂(たかぶ)ることもありますが、試合やチーム状況に応じて闘志を前面に出したほうがいいのか、もしくは落ち着いた表情でいたほうがいいのかを考えながら過ごすようにしています。だから、チームを盛り上げるために、あえて感情を出すこともありました」

――昨年は悔しさのあまり涙を見せていましたが、主将としてチームを牽引した今年は、泣いている仲間に手を差し伸べたり、支える姿が印象に残りました。

「それは僕が1年間主将を任されて、成長できた部分かなと思います。もちろん負けた悔しさはありますが、『チームメイトのみんなに弱い姿を見せられないな』という気持ちや、『最後までしっかりやりきろう』という思いがありました」

――今はドラフト指名候補として注目されています。

「これまで出会いに恵まれた野球人生を過ごしてきていて、母や兄をはじめ、地元の方など、応援してくれる人がたくさんいるので、皆さんの気持ちを思うと『恥ずかしいことはできないな』という思いです。ドラフトの当日はきっと緊張すると思いますが、実は『楽しみにしている』ところもあって、夢の一歩を踏み出せるように、ドキドキしながらその様子を見守りたいと思います」

――最後になりますが、応援してくれている方々へのメッセージをお願いします。

「将来はチームの看板を背負い、『この分野では櫻井ユウヤだよね』と言われるような選手になれたらなと思っています。もしプロの世界に進むことができたら、櫻井ユウヤの個性を発揮して、きちんと活躍できるように頑張っていくので、ぜひ応援よろしくお願いいたします」

(昌平の監督が選手に伝える情報の正しい受け取り方 2年連続で甲子園初出場まであと1勝>>)

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