
10月から「居住サポート住宅」の認定が始まりました。
居住サポート住宅は、大家と見守りを担当する「居住支援法人」が連携して、高齢者や障害者などの入居者をサポートする住宅です。
背景には「賃貸住宅が借りられない」と困る高齢者などの増加があります。いっぽう大家は、高齢者などの入居に孤独死や家賃滞納などの不安を抱えています。
こうした不安を軽減し、誰でも住宅が確保しやすくなる仕組みとして構築されたのが居住サポート住宅です。特徴は4つあります。
【1】1日1回以上通信機器などで安否を確認します。たとえば24時間オン・オフがないと異常とみなし通知する電球などを設置し、毎日確認します。
【2】1カ月に1回以上、居住支援法人が訪問などで見守りを行います。
【3】見守りで、生活や心身の不安定に気づいたら福祉サービスへつなぎます。健康状態の悪化などがあれば医療や介護サービスへ、経済的な困窮があれば就労支援や生活保護の利用につなぐなどです。
【4】入居者の家賃債務は、国土交通大臣が認定した家賃債務保証業者が請け負います。ですから、高齢者などは連帯保証人なしでも入居できますし、大家にとっても、家賃滞納への不安が解消されます。
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■まだ全国で16戸。国には制度のブラッシュアップやPRを
国としては空き部屋があるなら居住サポート住宅の認定を受け、高齢者などを受け入れる流れを作りたいのでしょう。ですが、10月から半月余りで認定を受けたのは全国で16戸です(10月17日現在)。
国には、大家向けの補助金などをもっと使いやすく整え、制度のブラッシュアップや認知度を上げる施策を進めていただきたいものです。高齢者や障害者などが住宅を借りられずに路頭に迷うことなどあってはなりません。
とはいえ、賃貸住宅に住めるのは、ある程度自立して生活できる人でしょう。持ち家で暮らす人も同様ですが、要介護度が上がり、たとえば寝たきりになると、施設入所が必要な場合もあります。
施設入所というと「特別養護老人ホーム(特養)」を思い浮かべる人が多いと思いますが、特養に入居できるのは原則要介護度3以上なのでハードルは高めです。また、都心部などは空きのない施設も多いので、ほかの選択肢も必要です。
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要介護度が低い人なら「ケアハウス(軽費老人ホーム)」も選択肢でしょう。食事や洗濯などの支援サービスを受けながら暮らせて、比較的安価で入居できます。
また「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の介護型なら、施設のスタッフから介護サービスが受けられます。ただ料金は高めになることも。さらに、「有料老人ホーム」や「ケア付きマンション」などの民間施設にも、比較的リーズナブルな料金設定の施設もあります。
「子どもに面倒をかけたくない」なら、60〜70代のまだ働いているうちに、自分が暮らしたい“終のすみか”を探しておきましょう。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
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家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数
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