
パナソニックが10月24日、ネットワークレコーダー「miyotto」(みよっと/UN-ST20A-H)を発表し、11月下旬から販売を開始する。市場想定価格は5万5000円前後だ。
miyottoは新たな「生活スタイル」に対応し、「新たな視聴体験を提案」する製品と位置付けており、専用アプリを通じて、スマートフォンやタブレット、ストリーミング端末、スマートプロジェクターといったさまざまなデバイスで、リアルタイムのTV番組や録画番組を視聴できるのが特徴だ。
●DIGAから機能をそぎ落として多彩なデバイスでの視聴をサポート
miyottoの本体サイズは、約55(幅)×147(高さ)×214.5(奥行き)mmのコンパクト設計で、TVアンテナとつなぐだけで各種デバイスと無線LAN接続が可能になる。ディスクドライブがないため、縦置きにすれば設置幅はレコーダーの約8分の1にすることができる。
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本体をアンテナに接続しやすい場所や目立たない場所に置き、視聴のためのデバイスは使いたい場所に設置して利用したり、外出先のスマホなどでもアプリを通じて活用したりできる。
本体に2TBのHDDを内蔵しており、最大175時間の録画が可能だ。「15倍録」にも対応し、内蔵の3チューナーにより1台で3番組の同時録画も行える。「ドラマ・アニメ1クール自動録画」機能を搭載しており、指定したドラマやアニメ、特定の時間帯の番組を、約90日間自動録画および自動消去できる。
動画配信サービスではカバーされない番組や、リアルタイムで視聴できない番組も録画可能なのに加え、自動録画機能により新シーズンのドラマやアニメ、番組改編期のスペシャルドラマの見逃しも防ぐ。また、録画および視聴の同時動作にも対応し、家族で別々の番組を視聴するといった使い方も可能だ。
miyottoは、TV用とスマホ用にそれぞれアプリを用意している。
TV用は新規に開発され、ネット配信サービスのようなGUIと高速動作を実現する。TVなどのリモコンはそのまま利用できるのに加え、アプリから音声入力での検索も可能だ。「TV用アプリでは、動画読み出し時間を最大で約40%短縮でき、動画配信に慣れた世代でも快適に使用できる」という。
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また、スマホ用アプリでは実績がある「どこでもディーガ」をベースに、一部の機能を改善、変更している。
Miyottoのアプリが対応しているのは、Fire OSやGoogle TV、Android TV、iOS、Androidを採用したデバイスで、PC用ディスプレイの場合には、HDMIポートにAmazon Fire TV Stickなどを接続し、miyottoとつなげることで録画コンテンツなどを視聴できるようになる。
WindowsやmacOSについては、DiXiMを通じて対応する。専用アプリのDiXiMPlayをPCにインストールすることで、録画した番組や放送中の番組を視聴可能だ。自宅の書斎だけでなく、出張先のホテルなどでも楽しめる(DiXiM Playは別途ライセンス購入が必要になる)。
miyottoでは、HDMIポートを搭載していない。ここが同社のレコーダー「DIGA」との大きな違いであり、ネットワークレコーダーと位置付ける意味がある。
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション コミュニケーションネットワーク事業部国内マーケティング部の落合洋介氏は、「レコーダーにおいて、国内トップシェアを持つ全自動ディーガではTVでの視聴を中心に、見やすさや使いやすさを追求しているが、miyottoでは時間や場所を選ばない視聴スタイルを実現するために、多様なデバイスへの対応を図っている。録画の基本機能はDIGA並みとしながら、アプリでの録画/視聴に特化し、あり余る部分は削ぎ落した製品としている」という。
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全自動ディーガとは異なり、光学ドライブを省いており、Blu-ray Discの再生やダビングができないこと、写真や動画、音楽再生にも非対応であること、HDMIポートを持たないといったように、まさに機能を削ぎ落したモノ作りをしている。
●視聴環境の大きな変化に対応しネット動画に対する不満の解消も目指す
同社がネットワークレコーダーという新たな領域に進出した背景にあるのは、視聴環境の大きな変化があるとし、いくつかの市場変化を指摘する。
1つめはレコーダー需要の大幅な減少だ。電子情報技術産業協会(JEITA)の調べによると、2020年には年間187万台だったレコーダーの国内出荷台数は2024年には76万8000台と約6割も減少しており、レコーダー離れが進んでいる。
それと共に映像ソフト市場では、BDやDVDのレンタルやセルが大幅に減少しており、配信比率が8割に迫ろうとしている。
また、ネット動画の普及に伴って、コンテンツを視聴するデバイスが多様化し、TVだけでなく、タブレットやスマホ、プロジェクター、PCディスプレイなどでの視聴への広がりが見られており、AmazonのFire TV StickやGoogleのChromecastなどのストリーミングデバイスの接続率は36%に、モバイルプロジェクターの市場は7年間で1.7倍に拡大しているという市場変化も指摘する。
その一方で、ネット動画に対する不満も増加中だ。見逃し無料配信動画サービスで「TVer」の利用率は59.7%に達し、5年で3倍に増加している。また、AmazonやHulu、Abemaといった動画配信サービス、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サービスにおいても、TVコンテンツの視聴割合が半分以上に達しているという結果が出ている。
しかし、TVコンテンツの配信期間が短ったり、CMがスキップできなかったり、UIが使いづらかったりといった不満の声も出ており、こういった課題を、レコーダーの機能や使い勝手をベースにしたネットワークレコーダーが解決しようというわけだ。
もう1つ見逃せないのが、Z世代においても、TVコンテンツのリアルタイム視聴や録画番組を楽しんでいるという実態があることだ。ネット動画が隆盛となり、TVコテンンツの衰退や、若者のTV離れが指摘されていたりするが、実態としてはTVコンテンツの視聴機会は多い。
同社の調べによると、TV番組をリアルタイムで見たいという回答は、10代〜20代では全世代平均よりもむしろ高く、特に10代では77%に達している。「TV番組をリアルタイムで見て、SNSで乾燥や感情を共有したいというニーズがある」という。
同時に「推し活においても、レコーダーの役割は重要である」と指摘する。推し活をする際には、TV番組を視聴する活動が79.5%と最も多くを占め、映像視聴ではYouTubeが77.5%、次いでTV(地上波/BS/CS)が72%%と続いている。「推し活にも、ネットワークレコーダーが貢献できる」とも述べた。
このように、映像コンテンツの多様化/視聴場所の多様化に加えて、視聴デバイスの多様化といった視聴環境の変化に適応したのが今回のネットワークレコーダーのmiyottoということになる。
月産販売台数は1000台とし、全自動ディーガの1機種の販売台数と同等規模の目標を掲げている。
この分野では先行する製品としては、バッファローの「nasune」があるが、シングルチューナーであるなどの課題があり、miyottoでは昨今の多様化する視聴ニーズに対応した製品になっていることを強調する。
miyottoによるネットワークレコーダーという新たな提案が、市場に受け入れられるのかが注目される。
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