大阪高裁の判決後、「是正義務付合憲」などと書かれた紙を掲げる升永英俊弁護士(右)ら=24日午後、大阪市北区 「1票の格差」が最大3.13倍だった7月の参院選は投票価値の平等に反して違憲だとして、升永英俊弁護士らのグループが選挙無効を求めた訴訟の判決が24日、大阪高裁であった。川畑正文裁判長は「合憲」と判断し、請求を棄却した。原告側は上告する方針。
二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部に起こした計16件の訴訟で初めての判決。最高裁が「合憲」とした2022年の前回参院選から制度の見直しはなく、格差が最大3.03倍からやや拡大したことをどう評価するかが焦点だった。各地の判決は11月までに出そろい、上告されれば最高裁が統一判断を示す見通し。
川畑裁判長は、3.13倍となった格差について「有意な拡大が生じたとまでは言えない」と指摘。選挙区を統合する「合区」対象となった4県で投票率が低下していることなどから、国会が格差是正に向けた取り組みを進めるには国民の理解を得る必要があるとして、「本件選挙までに成案に達しなかったことには、やむを得ない面がある」と判断する一方、「喫緊の課題がさらに切迫したものとなった」とくぎを刺した。
判決後に記者会見した升永弁護士は「今のままではいいわけがないという裁判所の警告だ」としたが、「憲法は明らかに人口比例選挙を要求している」と強調した。

参院選「1票の格差」訴訟の判決を前に、大阪高裁に入る弁護士ら=24日午後、大阪市

大阪高裁の判決後、記者会見する升永英俊弁護士(左)ら=24日午後、大阪市北区

大阪高裁=大阪市北区