セクシー女優は“事務所が倒産”したら転職できる?元女優が語る「次の居場所を見つけるまでの現実」

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2025年10月25日 16:00  日刊SPA!

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※画像はイメージです。 
画像生成にAIを利用しています
 演者にとって在籍プロダクションがなくなってしまうことは大問題である。吸収合併でも困るが「倒産」となれば、職場を失うのと同じことだ。
 実際、大手プロダクションが閉鎖する事件は昨年末に発生した。数々の有名モデルを抱えていたオールプロモーションは、グループが巨大化した末、突然解散することに。急なことに在籍者はパニック状態へと陥ったようだ。なお、未だギャラが全て支払われていない女優もいるらしい。

◆プロダクションがなくなった女優の「転職先」は

 プロダクションの閉鎖は突如聞かされるケースが大半で「売れっ子しか危ない予兆を嗅ぎ取れなかった」パターンもよくあること。メインの戦力でないと会社との接点が薄いため、遅れを取る可能性も高い。

 昨日まで普通に稼働をしていたのに突然職場がなくなったら、演者は「転職活動」せざるを得なくなる。活動中にプロダクションがなくなった場合、女優に残された道は大きく分けて以下の3つ。

・別の事務所に行く(移籍)
・きっぱり女優を引退する
・フリー女優へ転向する

 一度消えたものが元に戻る可能性は極めて低い。仮に戻ったとしても同じ形で復活するとは限らず、じっとしていても始まらないことから、女優は何らかのアクションを起こさなければならないのだ。

 それぞれがどのように転職活動をしていくか、ケース別に解説していこう。

◆他事務所に移籍が王道だが…

 今後も業界に残りたいのであれば、他事務所へ移るのが王道パターンである。この際、新たな就職先をどう決めるかは人によりけりで、仲良しの女優から紹介を受けたり、自らアポを取って面接へ行くことも多い。

 会社が倒産した時点で、ある意味“自由の身”なのだから、どこと連絡を取ろうが演者の勝手である。余計な“しがらみ”がない状態で動けるのは気楽だが、希望するところに必ず入れるとは限らないのが難しいところ。経験者だからといって、必ずどこかに入れると甘く見ていたら大抵痛い目に遭う。

 過去の素行が悪いとか、カラーが合わない、数字を取れる見込みがないなど、様々な理由での不採用は実際にあるのだ。たまたま前のプロダクションがゆるくてラッキーを拾えていたタイプは、残念ながら“詰み”やすい。

 とはいえ、一般常識があって、オファーが継続的に取れていたのなら、受け入れ先は必ず見つかる。職場をなくした女優の過半数以上が新天地へ移り、活動を再開するケースがほとんどである。

◆キリの良いところで引退を決めるパターンも

 なにかがなくなる時を「良きタイミング」と判断する人の場合は、引退することも選択肢に入るはず。もともと長い活動を望んでいなかったり、大きな目標がなければプロダクション解散と共に職を手放すのはおかしな話ではないだろう。

 また、かつての在籍プロダクションに愛着があると「他のパートナーは考え難い」となり、きっぱりと活動を終了することも大いにあり得る。最近ではレアケースになりつつあるが、ひと昔前は個人事務所や小規模な会社も多かったため、自分の居場所とマネージャーに強いこだわりを持つ女優も一定数いたのだ。

 余談だが、もしメーカーと単体契約が残っていたとしても、プロダクション都合の引退であれば規約違反にはならないので、「辞めやすい状態」であることは確かだろう。

◆フリー女優として生き残る方法

 良い移籍先が見つからない、もしくは多数のファンを抱えている人なら、フリーへ転向する手もある。個人になると大手メーカーへの出演が限られるのは痛いけれど、ビデオ出演へのこだわりが薄いor同人やファンクラブ運営中心に動きたいのなら、後ろ盾がなくとも活動を十分に続けられるだろう。

 プロダクションとはある意味「囲いの中」なので、そこに所属する限りはルールに従わなければならない。これが良かったり悪かったりで、合わない女優はせっかく能力値が高くても、持て余してしまう。

 ただ、タイプによっては「囲いの外」に出た方が輝ける、なんてケースも多い。それにより、フリーになることで今まで取れなかったオファーを獲得し、大きく飛躍する可能性が出てくるのだ。

◆女優生命が延びていることによる影響

 大手でも小規模でも、プロダクションが1つ消えたところで業界は傾かない。今回の件も騒ぎになったが、1年経てば風化するため、特に第三者には「まぁセクシー業界だし、こんなことも多いだろう」なんて思われてしまう。

 しかし、プロダクションがなくなるのはそこまで“あるある話”でもない。今は出演すれば即数百万円が手に入る世界ではなく、売れる演者も限られている。全体的な女優生命が延びているゆえに、持久走のようなイメージへと変化し、「サッと稼いでサッとやめる」風潮が薄れてしまった。

 これが運営側にも影響している。つまり会社としても、簡単に会社を潰して別事業を始めるような時代ではなくなっているのだ。

◆AV新法の導入による影響は…

 最近はAV新法の導入により、プロダクションは連盟に加入しなければ「適正プロダクション」として扱われず、大々的な行動が不可能だ。新設のハードルが高い分、どこもやるからには本気である。プロダクションの乱立もなく、みんな慎重に事を進めているからこそ、解散は“あるある話”と言い難いという結論へ辿り着く。

 たとえ儲かっていたとしても、何らかの事情でプロダクションが倒産すれば、演者は振り回されてしまう。どこも“倒れる予兆”は確かにあるものの、それを嗅ぎ取って動ける人などごく一部だ。

 しばらくはセクシー業界もこの手の事件が起きないとは思うけれど、先のことは誰にもわからない。本当に人気商売とは足場が安定しない世界だと、今回の出来事を振り返って改めて思う私がいた。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

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