エネルジコ(撮影:下野雄規) 競馬は今週も引き続き「東京・京都・新潟」の3場開催。
重賞はふたつ。まず土曜日に、2歳のGIII戦・アルテミスS(東京・芝1600m)。そして日曜日に3歳クラシック三冠目となる長距離GI菊花賞(京都・芝3000m)が行われる。
今年は、皐月賞馬ミュージアムマイル、ダービー馬クロワデュノールともに不在。春の時点では頂点に届かなかった馬たちが、この長距離の舞台で、クラシック最後の一冠を競うことになる。
過去10年データを使って傾向を探るこのコーナー。今週は菊花賞にスポットを当て、馬券のヒントと狙い馬を探していこう(菊花賞は21・22年が阪神競馬場開催です)。
1.1番人気馬の関東馬は勝てない?
まずはいつものように上位人気馬の成績チェックから。
菊花賞の1番人気馬は過去10年で3勝。20年コントレイル、17年キセキ、16年サトノダイヤモンドと、いずれも名馬として名を残せるレベルの馬たちが勝っている。3頭はいずれも「関西馬」「前走・神戸新聞杯1着か2着」という共通点がある。
関東馬で1番人気になっていた18年ブラストワンピースは4着、23年ソールオリエンスは3着。関東馬の1番人気での勝利はない。昨年勝ったアーバンシックは関東馬。しかし最終的に2番人気となっていた。ということで1番人気の関東馬は依然として勝っていないというジンクスが続いている。1番人気馬勢の過去10年の成績は[3-0-3-4]。馬券圏内率60パーセント、しかし2着がない。
ちなみに「前走ダービーから直行」というタイプで馬券圏内になっている馬は、23年2着となったダービー馬・タスティエーラしかいない。昨年のダービー馬ダノンデサイルもこのパターンを踏んでいたが6着。やはり勝つことはできなかった。今年は日本ダービーからの直行パターンの馬はいなそうだが、来年以降、このジンクスも忘れないでおきたい。
一方、2番人気馬は2勝、成績は[2-3-0-5]馬券圏内50パーセントでまずまずの好成績。3番人気馬は1勝、成績は[1-1-0-8]でこちらは馬券圏内20パーセントで今ひとつ。上位3番人気以外の4勝分は、4番人気2回・5番人気・7番人気が各1勝ずつとなる。8番人気以降の勝ち馬はなし。
2.馬連で勝ってはいけないパターンがある?
過去10年「1・2・3番人気が揃って連対を外す」という事例は起きていない。
3番人気までのどれかが「必ず連対をしている」わけだ。一方で「上位3頭での馬連決着パターン」もない。堅く獲ろうと思って、1・2番人気、1・3番、2・3番人気という組み合わせで買う馬連馬券は、過去ことごとく失敗に終わっているのだ。
昨年もこれを指摘したが、やはり馬連の決着は「2番人気&4番人気」だった。堅くいこうとし過ぎると馬券は獲れない。人気馬、並び立たずというのが菊花賞なのかも…。
3.今年、狙いたい枠はどれ?
22年時点の過去データからは「菊花賞は異様なまでに2枠が強いレース」だった。しかし近2年では2枠馬は馬券圏内にまったく絡まず、そのパターンはやや薄まった。
とはいえ、今年時点の過去10年データでも、2枠は4勝・2着2回で依然強しということはできる。昨年はその2枠に1番人気ダノンデサイルが入りながら、6着に敗退しているのだから、旬は過ぎたと見ることもできるわけだが…。
一方で、出目として多くなっているのが外枠の7枠&8枠。
7枠はここ3年で2勝、3着1回。8枠はここ4年で5頭が馬券圏内に入っている。過去10年の馬券圏内30頭データとしても、7枠の馬がいちばん多く8頭が圏内。次に多いのが2枠と8枠でそれぞれ6頭ずつ入っている。菊花賞の外枠は決して不利な枠ではないのだ。
そして2枠優勢ではあるものの、内枠1・3・4枠は極端に不振状態となっている。特に1枠は過去10年で1頭も馬券圏内になっていない死に目。馬番でも1番・2番ともにすべて凡走している。2枠以外の内枠に入るのはあまりプラスではない。
4.狙える前走ローテーションはどれだ?
菊花賞では、前走「神戸新聞杯」組と「セントライト記念」組が強いのはご存知のとおり。過去10年、馬券圏内30頭中、この2つのレースでなんと20頭を占めている。
特に1着馬は、前走「神戸新聞杯」が4頭(すべて前走3着以内)。前走「セントライト記念」が4頭となっている。
例外の2頭は18年のフィエールマン(前走GIIIラジオNIKKEI賞2着)と23年のドゥレッツァ(前走3勝クラス・日本海S1着)。今後も例外は増えるかもしれないが、現時点での軸馬は前走「神戸新聞杯」か「セントライト記念」組から選ぶのが正攻法だ。
一方、前走「神戸新聞杯&セントライト記念&日本ダービー」以外で1・2・3着になっているのは合計9頭。これらの前走ローテは以下の通り。
24年2着ヘデントール(4番人気) 前走・日本海S(3勝クラス)1着
24年3着アドマイヤテラ(7番人気) 前走・茶臼山高原特別(2勝クラス)1着
23年1着ドゥレッツァ(4番人気) 前走・日本海S(3勝クラス)1着
21年3着ディヴァインラヴ(6番人気) 前走・木曽川特別(2勝クラス)1着
20年2着アリストテレス(4番人気) 前走・小牧特別(2勝クラス)1着
18年1着フィエールマン(7番人気) 前走・ラジオNIKKEI賞(GIII)2着
18年3着ユーキャンスマイル(10番人気) 前走・阿賀野川特別(2勝クラス)1着
17年3着ポポカテペトル(13番人気) 前走・阿賀野川特別(2勝クラス)1着
16年2着レインボーライン(9番人気) 前走・札幌記念(GII)3着
ということで、ヒモ選びにおいては、「前走3勝クラス(2勝クラスでも可)1着」タイプ、もしくは「前走重賞での馬券圏内」ということになる。昨年はこのパターンでヘデントールの名前を挙げたが、キッチリと2着になってくれた。今年はゲルチュタール、アマキヒなど、前走条件クラス1着馬が多いので注意はしておきたい。
5.困った時はルメール騎手?
最後は騎手。過去10年菊花賞では最多勝がルメール騎手で4勝もあげている。
過去10年で9回の騎乗。成績は[4-2-1-2]という驚異的な高相性ぶりをみせている。しかも1番人気で勝っているのは16年のサトノダイヤモンドだけ。ほかは2・4・7番人気馬を勝たせているわけだ。先週の秋華賞でも1番人気ではないエンブロイダリーを勝たせていたルメール騎手。今年のエネルジコの結果は気になる。