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プロ野球の先発投手に贈られる「沢村賞」の選考基準が、来季から一部見直されることになった。沢村賞選考委員会の堀内恒夫委員長(77)は27日、「来年、沢村賞の創設80周年を迎えるにあたり、沢村栄治さんの名前を汚すことなく、野球の形態に沿った形で一部の基準を見直すことになった」と話した。
変更されるのは完投数と投球回数の2項目。完投数は現行の10から8に、投球回数は200イニングから180イニングに引き下げられる。
15勝以上、150奪三振以上、防御率2・50以下、登板25以上、勝率6割以上の5項目は維持される。18年から参考基準とされている「日本版クオリティー・スタート(7回以上、自責3以下)」の達成率も引き続き考慮される。
近年は救援陣との分業化が進み、完投や長いイニングを投げる投手が減少している。直近10年間(15〜24年)で10完投を記録したのは菅野智之(巨人)と大野雄大(中日)の2人だけ。200イニングを超えたのも前田健太(広島)、大野、菅野の3人。双方クリアしたのは18年の菅野のみで、現行基準の達成は極めて難しくなっていた。
6月に開催した沢村賞検討会議では「伝統を守るべきだ」との意見もあったが、最終的に「時代の流れに合わせ、現実的な目標を示すことも重要」との考えで一致した。沢村賞の理念を損なわず、挑戦意欲を促す基準として改定を決めた。
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堀内委員長は「完投を目指す投手が増え、チーム全体で支える文化が根付いてほしい」と話す。選考委員会は今後、達成状況を継続的に検証し、5年後をめどに再び見直しを検討する。【鳥谷越直子】
◆沢村賞 故沢村栄治氏の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定。同賞受賞者または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた5人を中心とする選考委員会で決定。当初はセ・リーグ投手を対象にしたが、89年から両リーグが対象。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。
原則的な選考基準は以下の7項目。
(1)15勝以上
(2)150奪三振以上
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(3)10完投以上
(4)防御率2・50以下
(5)投球回200以上
(6)登板25試合以上
(7)勝率6割以上
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投手分業制を鑑み、「日本版クオリティー・スタート(仮称=QS)の達成率」も考慮の対象になる。
◆沢村賞選考委員(敬称略、就任順) 平松政次、堀内恒夫、山田久志、工藤公康、斎藤雅樹
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