
西武は27日、元山飛優内野手(26)に戦力外通告を行った。
複雑そうな表情でグラウンドを見つめていたが、しっかり足を踏み入れた。練習の合間を待って、あいさつして回った。
スーツ姿の元山を見つけて「飛優、どうしたの?」と遠目に不思議がる選手もいた。仲間も想像していないような通告だった。
成績以上の存在感があった。おとなしめの選手が多いチームでは貴重なムードメーカーでもあった。
1軍ベンチにいる時は、いつしか通称“クソデカネックレス”を本塁打を打った選手の首にかける係になった。
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「最初、あんなんあるって知らなかったんですよ。なんかベンチでたまたま僕の前に、クソデカが置いてあって。ゲンさん(源田)とかが『お前行け』って言うんで、そのまま係になっちゃった感じッスね」
でも嫌いじゃなかった。むしろ好きだった。
「目立ちたがり屋が根本にあるんですよね、僕。ちっちゃい時から、今でもですけど、テレビに出たいなって思ってるんですよ。昔は演技とかも興味あって。『やっちゃえ日産』のCMに出るのが人生の目標なんで」
クソデカネックレス担当になって、チームがサヨナラ勝利をした時に誰よりも早くヒーローのもとへ走り、水をぶっかける。
目立つのを嫌がる人もいるし、初陣を嫌がる人もたくさんいる。口火を切るファーストペンギンには勇気がいるけれど、その人しか得られないもの、見えない世界もたくさんある。
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「目立ちたいし、盛り上げたい。盛り上がったら楽しいじゃないですか。この性格、なんなんですかね。実はキャプテンとかもやりたいし」
その気質はチームにとって大事な“人財”だった。元山も含めた戦力外通告を、広池本部長は「どの選手もすごく貢献してくれたので、すごく心が痛いですけれど、編成の責任者としてそういう判断をして、前を向かないといけない」と自身を律する。
ただ元山は「でも活躍して、数字出してからこそ、のプロですからね」とこの通告を受け止める。開幕スタメンに抜てきされるも、19打席連続無安打。
「あれ、デカかったですね。19打席のうち4安打でも5安打でも打てていれば。でも、それも僕の人生なんですかね」
人生この先、数十年。野球への強烈な執着はない。「いろいろな世界を見てみたいんですよ」とかねて話していた。「アメリカに家建てるのもいいですね」と夢見たりしている。
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でもまだ26歳。「野球ができるうちは、やっぱりやりたいです。電話待ちます。今日はいろんな人に電話かけまくります」と前を向く。そして西武ファンにひと言。「クソデカ応援、ありがとうございました!!」。元山らしく自分で道を切り開く。【金子真仁】
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