シースルーデザインが美しいNothingのヘッドフォン「Headphone (1)」を試す こだわりの部分はUIにあり

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2025年10月28日 15:10  ITmedia PC USER

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「Nothing Headphone (1)」

 Nothingが8月28日に日本でも発売した「Headphone (1)」は、同社初のオーバーイヤー型ヘッドフォンだ。価格は3万9800円で、ホワイトとブラックの2色展開だ。


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 Nothingの製品と言えば、特徴的なデザインも大きな魅力となっているが、Headphone(1)もその例にもれず、一目でNothing製品だと分かるシースルーデザインを採用している。とはいえ、もちろん見た目のインパクトだけではなく、実用性や音質にもこだわった製品となっているという。


●シースルーデザインのオーバーイヤー型ヘッドフォン


 オーバーイヤー型ヘッドフォンでは珍しい四角いデザインのイヤーカップはアルミニウム製だ。Nothing製品の代名詞ともいえるシースルーデザインは、実際に中身が見えているわけではなく、デザイン要素として取り入れられている。大きな2つの丸は、内部の大容量チャンバーを表現しているという。


 右側ユニットには赤いマークがあり、デザイン上のアクセントになっていると同時に、すぐに左右を判別できる機能的な役割も果している。


 イヤーパッドは縦長の楕円形になっていて、ポリウレタン素材のクッションは非常に柔らかく肌触りも良い。ただし、交換は不可となっているのが残念なポイントだ。油分やメイクなどの汚れにも強いというが、長持ちさせるためにも、小まめに手入れをした方が良さそうだ。


●物理操作にこだわったUI


 操作関連は全て本体の右側に集約している。最近のイヤフォンやヘッドフォンではタッチセンサーによる操作が主流となっているが、Headphone(1)ではあえて物理キーによる操作を採用している。


 タッチインタフェースにありがちな誤操作や複雑な操作を覚える必要がなく、直感的に使えることが採用の理由だ。物理キーも単なるボタンではなく、ローラーやパドルスイッチが採用されているのが面白い。


 ローラーは、回転させて音量調整できる。押し込むことでメディアの再生/停止を行える。長押しするとANC(アクティブノイズキャンセリング)と外部音取り込みの切り替えになる。パドル操作は楽曲の曲送り/曲戻しに対応している。長押しすると早送り/早戻しになる。


 表面にもボタンを搭載している。このボタンはショートカットとして機能し、Nothingスマートフォンと連携させている場合、最近使用したオーディオアプリやお気に入りアプリの起動に割り当てられる。


 例えば、Nothing Phone(3)とペアリングしている場合、ボタン押下で音声メモを即座に録音でき、録音したメモはEssential Spaceで管理できる。


 その他のAndroidやiOSデバイスと接続している場合は、GeminiやSiriといったスマートアシスタント機能の起動に割り当てられている。この機能は、Nothing Xアプリで変更も可能だ。


●有線/無線に両対応


 インタフェースも右側ユニットにあり、USB Type-Cポートの他、3.5mmジャックも搭載している。Bluetoothや有線接続でも利用できる。BluetoothはSBCとAAC、LDACをサポートしている。


 ハイレゾワイヤレスの認証も受けており、対応するデバイスと組み合わせれば高音質なサウンドを楽しめる。iPhoneはLDACに対応していないが、最近は後付けでaptXやLDACが使えるアダプターも登場しているので、そういうものを活用するのもいいだろう。Headphone(1)のデザイン的には、Apple製品とも親和性が高そうだ。


●KEF共同開発による高品質サウンド


 Headphone(1)は、英国の老舗Hi-FiオーディオブランドのKEFと共同開発されている。カスタム設計の40mmドライバーを搭載し、原音に忠実なサウンドを目指した。音質チューニングなどは、KEFの専用リスニングルームで行われたとのことだ。


 音質に関してはイコライザーの設定次第ではあるが、実際に聞いてみると低音から高音まで非常にフラット、そしてクリアな印象を受けた。ボーカルなどの中音域も、デフォルトの状態でも非常に聞き取りやすい。


 マイク性能も優秀で、AIを使用したクリアボイステクノロジーで周囲の騒音や風切り音などを抑えながら、装着者の音声のみを分離して送信することができる。


 こちらは自分の声をボイスレコーダーで録音する形で確認したが、扇風機の前で録音しても風の音が気になることはなかった。周囲の騒音も全く気にならないレベルなので、外出先でのオンライン会議などでも問題なく利用できそうだ。


●4段階のノイズキャンセリングとアプリ設定


 Headphone(1)はANCに対応しており、アプリから弱/中/強/アダプティブの4段階で切り替えられる。アダプティブは周囲の騒音レベルに合わせて自動で強度を調整してくれるモードだ。外部音取り込みにも対応しているが、こちらは調整できない。


 ANCはそれほど強力という印象ではないが、その分、ANC特有の圧迫感もない。エアコンなどの低音は「低」でも十分に打ち消すことができ、「強」モードなら人の話し声もほぼ聞こえなくなる。


 アプリ「Nothing X」では他にも、空間オーディオやイコライザーの設定を行える。イコライザーは「バランス」「低音を強調」「高音を強調」「音声」の4つのプリセットに加え、自分好みにカスタム設定も可能だ。帯域ごとにスライダーを調整する一般的なイコライザーはなかなか調整が難しいものだが、これは低音/中音/高音を調整するだけなので簡単だ。


 詳細設定からは、一般的なイコライザーと同様の調整も行えるが、その場合には空間オーディオが利用できなくなるので注意してほしい。


●デザインと実用性のバランスに優れたヘッドフォン


 Headphone (1)は、Nothingらしい唯一無二のデザインと、KEFとの共同開発による高品質なサウンド、そして直感的な物理操作など、実用面でも高い完成度を誇っている。約4万円という価格は、デザイン性も重視したいユーザーにとって非常に魅力的な選択肢といえるだろう。


 イヤーパッドの交換ができず、イヤーパッドの劣化がそのまま製品寿命となってしまうのは残念だが、それを補って余りある個性と性能を持っている。特に、タッチ操作が苦手な人や、他の人とは違うヘッドフォンを探している人には、ぜひ試して欲しい製品だ。



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