東京高裁=東京都千代田区(AFP時事) ホテル室内で大量の薬を飲んで昏睡(こんすい)状態となった女性=当時(38)=を放置したとして、保護責任者遺棄罪に問われ、一審で無罪とされた医師の男性被告(51)の控訴審判決が28日、東京高裁であった。田辺三保子裁判長は「必要な検討を尽くさず不合理な判断をした」として一審判決を破棄し、審理を東京地裁に差し戻した。
一審は被告の退室後に撮影された動画などから女性が当時、昏睡状態だったとは認められないなどとして無罪を言い渡し、検察側が控訴していた。
田辺裁判長は「救急車を呼んで(他の)医師による診察を受けさせるべき状況にあったかという観点からの検討が不十分」と指摘。保護の必要性について改めて審理を尽くすべきだと結論付けた。
被告は2021年6月10日夜、東京都内のホテルで女性ら4人と市販のせき止め薬などを過剰摂取。翌朝、女性が声掛けなどに反応しなくなったのに部屋を後にしたとして起訴された。女性は同12日に死亡した。