
「とにかく泣いていて……」
現場宅に駆けつけた警察官は、母親の状態を同僚にそう説明し、落ち着くのを待つしかない様子だったという。
春に長男が生まれて3人暮らしに
10月14日午後6時ごろ、埼玉県上尾市の2階建て賃貸住宅に帰宅した40代の父親から119番通報が入った。
「生後5か月になる長男の救急要請でした。自宅2階で仰向けのまま動かない長男を見つけたというのです。意識や呼吸がない状態で病院に搬送された後、警察が父母から事情を聴いたところなどによると、母親が1階浴室の浴槽にお湯を張り、長男を落として沈めたことがわかってきたのです。父親が帰宅する約15分前の犯行でした」
と全国紙社会部記者。
|
|
|
|
埼玉県警上尾署は翌15日、長男に対する殺人未遂容疑で母親の個人事業主・大内路子容疑者(41)を逮捕した。「殺害しようとしたことに間違いありません」と容疑を認めている。
長男は意識不明の重体が続いていたが、16日未明に死亡。容疑は殺人に切り替わる見通しで、警察は事件の背景やいきさつを調べている。
容疑者と夫が引っ越してきたのは約1年前。今春、長男が生まれて3人暮らしになったばかり。近隣住民によると、大内容疑者は黒髪の落ち着いた雰囲気で年相応に見えたという。
「化粧っ気はありませんでした。赤ちゃんを抱いた大内容疑者と路上ですれ違ったとき“カワイイわね、生まれてどのくらいなの?”と尋ねたら“1か月です”と教えてくれました。首がすわっていないので縦に抱けず、寝かせるように両腕で抱きかかえていました。赤ちゃんは眠っていたので小声で“男の子?”と聞いたら“男の子です”って。顔つきが男の子っぽかったんです」(近所の女性)
容疑者宅からは朝方や夜中など、赤ちゃんの泣き声がよく聞こえてきたという。近所の男性は「そんなに激しくはないけど、また泣いてるなって」と振り返る。
|
|
|
|
前出の近所の女性は、
「赤ちゃんは泣くのが仕事ですからね……。最近、人間っぽい泣き方になってきて“成長したなあ”と思っていたんです。これからかわいい盛りなのに」
と、やりきれない表情だった。
近所の40代主婦は、大内容疑者が男児をベビーカーに乗せて朝方に散歩に出かけるのを何度か見かけている。
「泣きやまない赤ちゃんをあやす目的で散歩しているようでした。悩んでいるようには見えませんでしたが、いま思い返すと、笑顔はなかったかもしれません」(同・主婦)
|
|
|
|
インターホン越しに夫が…
上尾市こども保健センターによると、大内容疑者が育児に悩む様子はみられなかった。産院で「1か月健診」を受け、市の「4か月健診」を9月にきちんと受診している。
「乳児の身長、体重、頭囲を測定し、整形外科と内科・小児科の医師による診察を受けています。発達状態に問題はなく、順調に成育していました。生後5か月くらいで離乳食になるため保健師や栄養士も参加します。育児や授乳の悩み、ご自身の体調不良などがあれば相談に乗れるのですが、申し出はありませんでした」(同センターの担当者)
健診時、長男の身体にアザなどは確認されていない。
夫は、容疑者の異変や悩みに気づかなかったのか。話を聞くため自宅を訪ねると、夫はインターホン越しに、
「すみません、お断りしております。申し訳ありません。あのー、いっさいお答えしませんので。失礼します」
と、落ち着いた低い声で答えるだけだった……。
