ローソンの「よくばりスイーツ」20万個を突破、なぜ“週末だけ”販売するのか

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2025年10月29日 07:21  ITmedia ビジネスオンライン

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ローソンが10月から週末限定のスイーツを発売

 ローソンが10月3日から発売した「よくばりスイーツ」が好調だ。金〜日曜日のみ店頭に納品される週末限定のスイーツシリーズとして、累計20万個を販売している(10月24日現在)。毎日の品ぞろえを強みとするコンビニが、なぜ週末だけに絞って展開しているのか。


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 「よくばりスイーツ」は、ティラミス、クリームケーキ、モンブラン(いずれも538円)、カラフルケーキ(621円)の4商品を展開する。価格は通常のコンビニスイーツより高めで、いずれも12.8センチ×12.8センチの容器を使用し、ひと目で大きさが分かるサイズ感だ。


 販売を週末に絞った理由は、購買データの傾向にある。詳細の数字は非公開だったが、ローソンによると、週末におけるスイーツの売り上げは平日を上回るという。「自分へのご褒美」として、平日より付加価値の高い商品を選ぶ心理が働きやすいようだ。


 毎日の納品が当たり前のコンビニで「週末限定」の制約をかけることは、機会損失にもつながりかねない。しかし、平日とは異なる購買心理が働く週末に最適化した商品を投入することで、より大きな需要を取り込めると判断した。


●手に持った瞬間の「重さ」が決め手


 よくばりスイーツを開発したローソンの久常真さんは「1週間がんばったご褒美として、週末に思いきりスイーツを食べたいというニーズが強い。たっぷりのスイーツでリフレッシュしてもらうために開発した」と語る。


 週末のご褒美需要に応えるには、満足感の高いボリュームが不可欠と考え、開発では重量感にこだわった。加えて、ローソンのスイーツは女性の購入比率が高く、男性客の取り込みが十分ではなかったことから、ボリュームを求める男性顧客層を開拓する狙いもあった。


 「男性でも満足できる食べ応えのあるサイズと、商品を手に持ったときにボリュームを感じられる重さを意識した」と、久常さんは説明する。


 店頭で商品を手に取り、ずっしりとした重みを感じることで、「これなら満足できる」という期待感が生まれる。視覚的な大きさだけでなく、実際に持ったときの体験で購買意欲を高める仕組みだ。


 手に取った瞬間の重さが、購買を後押しする要因になっている。4商品の売り上げを見ると(10月24日時点)、1位が「よくばりティラミス」、2位が「よくばりモンブラン」となっており、4品の中で最も重量がある商品が上位を占めた。「重さから食べ応えのある商品だと判断されたのでは」と久常さんは分析する。


 平日であれば高単価かつ大容量の商品は敬遠されるかもしれないが、週末のご褒美というシーンでは、むしろボリューム感が商品の価値となる。定番スイーツと明確にすみ分けることで、週末という時間軸に最適化した商品として受け入れられた。


●時間軸で需要を創造


 よくばりスイーツの売り上げは、直近で発売した期間限定スイーツ(クリスマスケーキを除く)の中で、上位にランクインしている。男性客を中心に好評で、重量感を重視した商品設計が評価されている。


 久常さんは「今回の販売動向を踏まえ、男性にも支持されるスイーツの開発・発売を続けていく」と語る。週末限定スイーツについても、今後の発売を検討しているという。


 先日発表された決算によると、ローソンは2025年3〜8月期の純利益が383億円と、3年連続で過去最高を更新した。また、1店舗当たりの売上高(全店平均日販)は60万3000円で、初めて60万円を超えるなど好調だ。要因の一つに、増量キャンペーンの「盛りすぎチャレンジ」の取り組みも挙げられる。


 よくばりスイーツと盛りすぎチャレンジは、一見すると同じボリューム訴求ではあるが、アプローチが異なる。盛りすぎチャレンジが価格据え置きでの増量施策であるのに対し、よくばりスイーツは時間軸を意識した需要創造という切り口だ。週末に最適な商品を投入することで、新たな需要を掘り起こす戦略といえる。


 「何を売るか」だけでなく、「いつ売るか」。よくばりスイーツの取り組みは、時間軸に最適化した商品を投入することで、週末の需要をキャッチしている。曜日や時間帯ごとの購買データを読み解き、それぞれに最適な商品を提供する流れは、今後も広がるだろうか。


(カワブチカズキ)



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