
日テレ・東京ヴェルディベレーザ
眞城美春インタビュー(後編)
前編◆ベレーザの「若きエース」眞城美春 WEリーグでの躍動の理由>>
昨季WEリーグでベストヤングプレーヤー賞に輝いた日テレ・東京ヴェルディベレーザの眞城美春。今年4月には、コロンビアとの国際親善試合において、なでしこジャパンに追加招集された。余りにも急なことだったため、公式戦出場はならなかったが、同チームとのトレーニングマッチでは、晴れてなでしこジャパンの一員としてプレー。1ゴールをマークした。
U−20世代の主力にあって、次世代のなでしこジャパンを担う存在として期待されるニューカマー。はたして、若干18歳の彼女が見据えるこの先のビジョンとは? それは意外にも、リアルかつ、細かく設定されていた――。
――眞城選手は2022年、2024年とU−17女子ワールドカップに2度出場。飛び級という形で出場した2022年大会、初めて触れた"世界"の印象はいかがでしたか。
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眞城美春(以下、眞城)高校1年生の時に経験した最初のU−17は、コロナ禍にあってアジア予選がなくて、いきなりワールドカップだったので、結構"デカい世界"だなって思いました(笑)。2度目のU−17の時は(自分も)高校3年生になっていて、もうそんなに"デカい"とは感じなかったです。
最初の大会では、守備のところで課題を感じながら、先輩たちについていくといった感じで。2度目はキャプテンだったので、(チームを)引っ張っていくというふうになっていて、(自らの)メンタルの部分で違いがありましたね。
――キャプテンを任された経験は大きかったですか。
眞城 大きかったですね。わりと自由にサッカーをやらせてもらっていたからこそ、自分が(チームを)まとめなきゃいけなくて。それを、痛感させられる時がありました。
(当時所属の日テレ・東京ヴェルディ)メニーナでは、監督がこういう形でやっていこうって示してくれるけど、代表ではそれを自分たちでやらなきゃいけなくて。しかも、(選手それぞれの所属)チームがバラバラだから、サッカーの部分では苦労した記憶があります。自分のなかにある当たり前のものというか、共通認識が周りとは違って、ギャップを感じていました。
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でもみんな、いろいろと意見を言ってくれたので、よかったです。それをまとめないといけない、というところで難しさはありましたが(苦笑)。
――来年は、眞城選手も目標としているU−20女子ワールドカップ(ポーランド)があります。まずは、その出場権を争うU20女子アジアカップの予選が8月にタイで行なわれました。蒸し暑い地域で中1日の3連戦。結果は3戦全勝でしたが、合計32得点無失点という、ある意味ハードな大会でした。
眞城 なんか......90分間が長かったです。それでも、相手が格下だったというのもありますが、このチームは自分が楽しめるサッカーができそうな感じがしました。自分はボールをしっかり保持してっていうスペインのサッカーが好きなんですが、それがやれていたんで。でも(本番では)スペインより質が高い!っていうサッカーをしたいです。チームとして多彩な攻撃ができたことはよかった部分だと思います。
――もちろん、これから出場権を獲得しなければいけませんが、U−20女子ワールドカップへ向けて、どんなチームにしていきたいですか。
眞城 U−17の時は「自分がやろう!」って感じで、全部のところで顔を出してプレーしていたんですけど、今回のチームでは、自分が最後に空間で受けて前を向くとか、任せるところは任せて、自分だけじゃなくて全員でサッカーを作りたいです。
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――では、最終予選となるU20アジアカップでは、周りを生かしながら自分も生かしてもらっている眞城選手が見られる、ということですね。
眞城 そうありたいです。みんな(所属する)チームは違うけど、同世代なので、しっかりコミュニケーションを取って、いいチームを作っていきたいです。
――ところで、4月にはなでしこジャパンに初招集されました。
眞城 楽しかった!
――あの時は、なでしこジャパンに「まだ呼ばれるとは思っていなかった」と言っていました。
眞城 自分ではまだ(トップレベルでは)全然できていないと思っていたので......。ですが、コロンビアが控えベースだったことはありますけど、(出場した)トレーニングマッチでは何もできなかったわけではなくて、それほど差は感じませんでした。
ただ、あのトレーニングマッチの自分のプレーは、あまりうまくいかなかったなって思っています。65%くらいかな......でも(自分は)まだまだ伸びしろはあります(笑)。
――親善試合やトレーニングマッチではなく、ワールドカップやオリンピックといった"本気"のなでしこジャパンに入るためには、何が必要でしょうか。
眞城 技術!
――その答えは、ちょっとズルいですよ(笑)。
眞城 やっぱりダメですよね(苦笑)。技術はもちろんですが、連係。誰とでも合わせられるコンビネーション力とか?
――さすが! 今度は難しいところにいきましたね。
眞城 ですよね......それは、ちょっとやめておこうかな(笑)。
――引くのが早いですね(笑)。ここはひとまず、コンビネーション力で話を進めましょう。
眞城 コンビネーションで言うと、最初に相手がビルドアップの際に何枚で来ているかチェックして、中盤の構成を見ながら、中で(勝負)できるか確認するんですが、中でできるなら、中でやりたい。でも自分は、たぶん感覚派なので......。
――そういうところは、長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)と似ている気がします。眞城選手から見て、長谷川選手のどこがすごいと思っていますか。
眞城 守備力!
――即答ですね。
眞城 あれはすごいです、本当に。唯さんのすごいところは、インターセプトのパスをあえて(相手に)出させて取るんですよね。あと、ドリブルで1個運ばせておいて取るとか......真似したいです!
――眞城選手も相手を自分の間合いにハメていくのが好きそうに見えます。
眞城 はい! そのためにも、五分五分のボールを奪える一歩の強さがほしいです。瞬発力みたいな、(相手やボールに対して)グッと行けるヤツ。
――今季のベレーザの目標は四冠達成です。個人としては、今後のビジョンをどう考えていますか。最終目標は、バロンドールですよね。
眞城 まずは、来年のU−20女子ワールドカップに出場して、そこで結果を残す。そうして、なでしこジャパンに呼ばれて、2027年の女子ワールドカップでは(メンバーに)選ばれたい!
――具体的なビジョンを描いていて驚きました。ちなみに、U−20女子ワールドカップで個人的に求めている結果はありますか。
眞城 個人としては、やっぱり得点。得点を取れば、注目してもらえるので。
――確認ですけど、それは"得点王"ですか。
眞城 いえ、得点"を"です。"王"はちょっとやめておきます。(笑)。大事なところで点を取る! という存在になりたいです。
――そしてその先にあるのが、なでしこジャパン。長谷川選手と一緒にプレーする日も近いかもしれませんね。
眞城(一緒にプレーできたら)ひたすら、パス交換したいです(笑)。相手を引きつけまくって、引きつけまくって、永遠にやっていたい。絶対楽しい!
――そうなると試合が進まないので、パス交換はできれば数十秒程度でお願いします(笑)。
眞城 ですね(笑)。とにかく(自分が描いているビジョンを)実現させられるように進んでいきます。
眞城美春(しんじょう・みはる)
2007年2月5日生まれ。東京都出身。日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属のMF。大田クラブ、バディーSCを経て、中学1年生の時に日テレ・東京ヴェルディメニーナ入り。2024−2025シーズン、2種登録ながらWEリーグに出場。2025年2月、トップチームに昇格。チームのWEリーグ初優勝に貢献し、自身はベストヤングプレーヤー賞を受賞。各世代別の代表でも活躍し、2022年U−17女子ワールドカップ、2024年U−17女子ワールドカップに出場。
