限定120台の完全受注生産となる炊飯器「JRX-MC型」と「JRX-BC型」を特別販売 メーカーとして事業収益を上げるには、「量産モデル」をつくらなければならない。しかし、「量産性」という制約を取り払って、職人の技を思う存分注ぎ込んだ理想のものづくりをしたらどうなるか。今まで見たことのない景色が見てみたい――。そうした思いから誕生したのが、TIGERリミテッドモデル「土鍋ご泡火(ほうび)炊き JRX-MC型」と「土鍋ご泡火炊き JRX-BC型」だ。完全受注生産で120台限定の販売。11月4日から同社の直販サイトで受付を開始する。
その他の画像はこちら ●量産品では得られない感動を届ける
JRX-MC型とJRX-BC型の開発は、タイガー土鍋炊飯器の20年目を機に「タイガー魔法瓶の技術を詰め込んだ理想とする炊飯器を届けたい」「業界の常識を超える、新しい時代の炊飯器を作れないか?」との思いからスタートした。
企画・開発は、社内公募制度の「シャイニング制度」を活用した。社内で思い切ったチャレンジや今までにない新しい取り組みを促すことで、社員の自主性を育み、イノベーションが生まれやすい組織風土を醸成する狙いで生まれた制度だ。
ソリューショングループ 商品企画第1チームの辻本篤史マネージャーは「量産品ではなかなか実現しえない、数量限定品だからこそ実現しえる、もっと心地よく、感動できるものを実現したいという思いから製品化しました。世界で最もおいしいごはんを家庭で味わえる感動体験そのものをお届けしたい」と企画背景について語る。
●極限の精度まで追求した三つの技術
技術でこだわったのは大きく三つ。内鍋の切削と職人技による組立精度、質感の異なる装飾技術だ。
一つめの切削では、土鍋の内鍋を削りだすときの内径誤差0.09mm以下を追求した。通常の土鍋は3mmもの誤差が生じるが、タイガーの量産モデルでは1.0mm以下に抑えている。量産モデルでも技術力の高さを実現しているのだが、今回はさらに0.09mm以下という限りなく厳密な寸法精度で仕上げる。
内鍋一つに約20〜24時間かけて丁寧に削っていくため、1日当たり1個の生産となる。通常ではありえない半導体製造装置に使われている特殊な機械を使い、それと熟練の職人技を融合して数ミクロン単位で切削していく。
商品開発グループ 炊飯器商品開発担当の藤原武志氏は「愛知県のセラミックを削る業者さんにお願いして、特殊な機械で削りました。輸出できないほど高性能な機械で、民生品を削るのは初めてとのことでした。内径誤差0.09mm以下の土鍋で炊くごはんは、お客様にとっても初めての体験になります」と語る。
二つめは、一人の職人が最終組み立てで蓋の開閉や圧力を最高峰の精度で調整しながら全数を確認する。組み立て工程もライン生産ではなく、専用のラインを確保。専門性の高い技術者が1つひとつを手作業で組み立てる。そのため、1日で仕上げられる台数は最大でも2台ほどだ。
三つめの質感の異なる装飾技術では、熟練の職人が6層にわたって「手吹き」塗装で仕上げる。見る角度によって色が変わったり、光沢や深みの違い、ステンレスフレームにも特別な着色技術を採用した。
色味においては、黒や白といった炊飯器業界での画一的なカラーリングからは一線を画した。型番にも反映されているように、JRX-MC型はラグジュアリーな質感を表現する「Material Color Series(マテリアルカラーシリーズ)」とし、JRX-BC型は食卓に新たな風を吹き込む鮮やかな「Bright Color Series(ブライトカラーシリーズ)」としている。
JRX-MC型とJRX-BC型ともに5.5合炊きと3.5合炊きモデルの2種類を用意。カラーはJRX-MC型がムーンサーフェイス、アンドロメダ、タイタンの3色、JRX-BC型がオーロラホワイト、サンセットレッド、サンライズイエローの3色。
価格はRX-MC06型(3.5合炊き)が19万5000円、JRX-MC10(5.5合炊き)が20万円。JRX-BC06(3.5合炊き)が17万円、JRX-BC10(5.5合炊き)が17万5000円。
なお、注文が集中した場合は商品が届くまでに最大3カ月ほどかかる場合がある。購入者限定特典として、内鍋に使用する「四日市萬古焼」の制作過程に加えて、同製品だけの特別な製造工程の様子がメールで届く。
また、通常保証だけでなく、さらに1年間の安心サポートが付属するとともに、末永く愛用してもらえるよう特別な対応としてリフレッシュメンテナンスも提供される。(BCN・細田 立圭志)