
<日本シリーズ:阪神2−3ソフトバンク>◇第4戦◇29日◇甲子園
ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2025」第4戦を3−2で制して3連勝、5年ぶり12度目の日本一へ王手をかけた。2回に山川穂高内野手(33)がシリーズタイ記録となる3戦連発のソロで先制。2点リードで迎えた6回は代打近藤健介外野手(32)の適時打で3点目を奪うなど終始優位に進めた。先発大津亮介投手(26)が5回0封、野村勇内野手(28)が再三好守を見せるなど投打がっちり。きょう30日は中4日で先発に有原航平投手(33)を立て、敵地甲子園で一気に決める意気込みだ。
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痛烈な打球が一、二塁間を抜けていく。ソフトバンク近藤の視線の先で二塁走者の牧原大がホームを駆け抜けた。生還を見届け、一塁ベース上で右こぶしを甲子園の夜空へ高々と突き上げる。ひと仕事を果たした表情は満足げだった。
「代打での一振りで絶対に仕事をしようと。起用に結果で応えることができてよかった」
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1打席にすべてを懸けた。2−0で迎えた6回2死二塁。1点がほしい場面で、満を持して代打で送り込まれた。カウント1ボールからの2球目だ。左腕桐敷の内角低め、145キロのツーシームに反応した。見逃せばボール球でもお構いなし。コンパクトに振り抜き、右前にリードを3点に広げる貴重なタイムリーを運んだ。左脇腹痛の影響のため、守備に就くことはできない。DH制のないセ本拠地開催では打撃に専念する背番号3がここ一番で勝負強さを発揮。手負いも、なんの。小久保監督の勝負手にひと振りで応えた。
「勝負どころの(小久保監督の)決断で、プレッシャーはありましたけど、いい結果になった」
開幕直後に腰を手術するなど、今季は度重なる故障離脱に苦しんだ。出場75試合は、移籍後最少だった。日本ハムとのCSファイナルも欠場したが、阪神との頂上決戦に間に合わせた。本拠地開催の第1戦、第2戦は「4番DH」でスタメン出場し、2試合連続タイムリーを放つなど、高い打力で鷹の日本シリーズを引っ張っている。
懐も深い。リハビリ期間中だった5月、SGLでの2軍遠征期間中のこと。打撃不振で苦しんでいた阪神前川からアポなしで教えを請われた。「お互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながらなので。前川くんは次の世代を担うバッターだと思う。そこには期待している」。面識はなかったが、惜しみなく技術を伝授。今回の日本シリーズでも再会すると、簡単な打撃レッスンを行った。
チームは黒星発進後の3連勝で、5年ぶりの日本一に王手をかけた。「まだまだ簡単には終わらないと思うので。自分たちのやることを徹底したい」。圧倒的に優位な状況だが油断は一切ない。足元を見つめ、ホークス移籍後初の日本一に力を尽くす。【佐藤究】
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