
<スポーツクライミング:IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025>◇26日◇最終日◇筑豊緑地公園/いいづかスポーツ・リゾートザ・リトリート(飯塚市)◇エキシビション
国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が新設した「IFSCクライミンググランドファイナルズ福岡2025」最終日に、斬新な「エキシビション」が開催された。
貴重なウオーミングアップエリアの公開や一般クライマーの挑戦、トラバース(横断)スピード勝負など行われた中、国内初の「健常者×障がい者」が実現した今大会の締めくくりにふさわしい、日本のエースの「パラ挑戦」もプログラムの目玉として実施された。
挑んだのは、世界選手権(9月、韓国)の男子ボルダーで初優勝した24年パリ五輪(オリンピック)複合の銀メダリスト安楽宙斗(18=JSOL)。視覚障害があるアスリートたちの「ブラインドクライミング」を初体験した。
眼帯を着けて、見えない状態になった安楽が高さ13メートルのリード壁を登っていく。「次、どこですか?」「マジ!?」「えー(笑)」などと苦戦しながらも、傾斜を登って行けたのは「声」があったから。
|
|
|
|
道しるべは、世界トップクラスのパラアスリートを支えるサイトガイド竹内麻未さんが務めた。「右手10時!(の方向)」「左足、もうちょっと先」「クロス」「そうそう、そこ!」などの的確な指示。その声を信じた安楽が、まさに手探りでホールド(突起物)をつかんで、踏んで、見事に頂点へたどり着いた。
会場は、良い意味で試合と同様と言っても差し支えなかったほどの大盛り上がり。安楽は“ヒーローインタビュー”で「いろいろ分からなかったけど、完登できて良かった」と笑顔を見せ、竹内さんに感謝した。
盛況のうちに幕を閉じたグランドファイナルズは、男女の個人種目やパラ競技の垣根を越えた総合大会。コンセプトは「−Team & Para Futures−」で、前日25日に日本が「初代王者」に輝いたボルダー決勝など初の国別対抗戦と、パラリンピックの28年ロサンゼルス大会で追加競技として初採用されるパラクライミングが、国内で初めて「一体」開催された。
その試みを象徴する安楽のブラインド完登に、大きな拍手や「ガンバ!」の声援が、最終日まで場内に響き渡っていた。【木下淳】
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。