
この記事は伊藤羊一(著)、 清水めりぃ(マンガ)の書籍『マンガですぐ読める 1分で話せ』(SBクリエイティブ、2023年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
プレゼンする際には、何を最初に言うかはめちゃめちゃ重要です。相手によって、コミュニケーション全体を考えていかなければなりません。
例えば、料理のコースを想像してみてください。もしかしたら通常のコースの流れは、前菜、サラダ、スープ、メインという流れになっていたとしても、ものすごく寒い日には最初に温かいスープを出した方が喜ばれるかもしれません。僕は音楽をやるので、ライブでどんな順番で演奏するか、いつも妄想しています。
プレゼンも同じです。相手が忙しい人なら最初に結論を話して短めにまとめるとか、相手がサッカーが好きならその例えから入ってみようとか、単にロジカルに話すのではなく、相手のことを想像して設計していくのです。
|
|
|
|
想像力とは何かというと、愛なんです。だから、プレゼンも愛の告白みたいなものです。
愛の告白はどうしたらうまくいくかというと、相手のことを考えに考えに考えたから、うまくいく。だからこそ、演出であってもうれしいと思ってくれるわけです。
●ジョブズも間違えたスピーチの順番
プレゼンの名手と呼ばれるスティーブ・ジョブズもスピーチの順番を間違えたことがあります。
2007年、初めてiPhoneの発表をした時のことです。
|
|
|
|
まずジョブズは「革命的な3つの商品を説明します」と言います(※)。これは聞き手の頭の中に枠組みをつくる重要なテクニックです。
「1つは、タッチスクリーンのiPod」だと言います。ここで大きな拍手と歓声が起こります。
「2番目に革命的なモバイル・フォン」だと言っています。観客は興奮して、さらに大きな拍手と歓声で会場が埋め尽くされます。ジョブズは歓声が収まるのを待って、満を持してこう言います。
「3番目に、これはインターネット・コミュニケーターとしてのブレイク・スルーだ」
しかし、YouTubeなどで公開されている動画を見ると、3番目の時の拍手は明らかに少ないのです。
|
|
|
|
おそらくジョブズにしてみれば「インターネット・コミュニケーターのブレイク・スルー」を実現することこそ重要だったため、この話を最後に持っていったのでしょうが、聴衆の理解がそこまで追い付いていなかったのだと思います。
※最終的にジョブズは、「これらは別々の3つのデバイスではなく、1つのデバイスです」と言って、「iPhone」を紹介しています。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。