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2020年6月、兵庫県宝塚市の自宅で家族ら4人をクロスボウ(ボーガン)で殺傷したとして殺人罪などに問われた野津英滉(ひであき)被告(28)に対する裁判員裁判の判決が31日、神戸地裁(松田道別裁判長)で言い渡される。検察側は死刑を求刑し、弁護側は心神耗弱だったとして懲役25年が相当とする。
公判は当初、22年に開かれる予定だったが、野津被告の心身の不調から延期されていた。事実関係に争いはなく、刑事責任能力が争点となっている。
検察側の主張では、野津被告は事件の半年前に母らの殺害を決意。5カ月前ごろからインターネットを検索し、殺傷能力の高いクロスボウを選んだ。事件当日は祖母、弟、伯母、母の順に頭や首を狙って矢を放っていた。
検察は、動機の形成過程は自然で理解可能だったと指摘。犯行は計画性が高く、目的達成のために合理的な行動を取っていたことなどから、完全責任能力があるとする。
一方、弁護側は被告は自閉スペクトラム症の影響を指摘した。発達障害の一つで、こだわりが強かったり、コミュニケーションが苦手だったりする一方、専門的な知識が豊富だったり、一つのことに集中できるといった特徴がある。周囲の適切な対応や支援で社会に適応し、成果を出す人もいる。
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弁護側は、当時の被告は強迫性障害の症状が悪化していたと主張。「家族全員を殺害して死刑になる」という動機の形成には自閉スペクトラム症の特性でもある極端な思考形式が強く働いたとして、「心神耗弱の状態だった」と訴えている。【木山友里亜】
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