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2025年10月30日 12:21 ITmedia PC USER

ワイヤレスのPC周辺機器は、ケーブルの取り回しという煩わしさからユーザーを解放してくれる一方で、バッテリー切れの不安が常に付きまとう。作業を始めようと重い腰を上げたのに、バッテリー残量がゼロで充電しなければならない、もしくは有線接続を強いられることになったら、せっかく取り戻した“やる気”がまた行方不明になってしまう。
その不便さを解消したのが、11月27日に発売されるロジクールの「Signature Slim SOLAR+ ワイヤレスキーボード K980」(以下、K980)だ。価格は1万6390円で、カラーバリエーションはオフホワイトとグラファイトだ。今回は発売に先立ちグラファイトを試す機会を得た。
製品発表会のようすはこちら。
●ソーラーパネルならぬ「ソーラーストリップ」搭載の長寿命ワイヤレスキーボード
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K980は、テンキー搭載のフルサイズキーボードだ。サイズは実測値で430(幅)×142.9(奥行き)×20(高さ)mm、重さは697g、キーピッチは公称値で約19mm、キーストロークは約1.8mmだ。
ノートPC内蔵のキーボードと同様のパンタグラフキーボードを採用し、軽い力でタイピングできるため長時間利用しても疲れにくい。静音性も高いのでオフィス利用にも適している。
接続はBluetooth、または独自ワイヤレス通信機能のレシーバー「Logi Bolt」(別売り、2420円)で行う。Bluetoothは3台までのマルチペアリングに対応しており、Easy-Switchボタンで即座に切り替えが可能だ。
最も特徴的なのは、Logi LightChargeテクノロジーと呼ぶソーラー発電機構だ。K980に搭載された吸光パネル(ソーラーストリップ)から取り込んだ、わずかな光で発電し、本体に充電できる。よってK980には充電用のUSBといったポート類が一切ない。
必要な照度は200ルクスとなる。光がある環境では常に充電状態が維持されるため、毎日8時間利用してもバッテリーが切れないという。なお、厚生労働省の労働衛生基準により、事務所では300ルクス以上の明るさを確保するよう企業に求めているので、一般的なオフィスで利用している間にバッテリー切れが生じるとは考えにくいだろう。
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バッテリーそのものも10年間の耐用年数がある上に、肝心のキーボードも1キーにつき約1000万回入力しても壊れない耐久性、シルク印刷とUV印刷の複合技術を用いた摩耗に強いキートップ刻印が施され、とにかく長期間に渡り利用できることに重きが置かれている印象だ。
専用のLogi Options+アプリを使えば、23のキーをカスタマイズすることも可能だ。では、実際に使っていこう。
●減らないバッテリーとLogi Options+が便利
K980を最大限活用するには、ロジクールが用意している専用ユーティリティー「Logi Options+」の利用が欠かせない。まずは同アプリを公式サイトからダウンロードしておこう。
K980の電源をオンにすると、自動的にペアリングモードに入るので、接続したいデバイスのBluetooth設定を開いてペアリングする。デフォルトではEasy-Switchの「1」に設定されるが、2台目以降は「2」や「3」を選ぶ。
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初めて接続して早速Logi Options+を確認したところ、既に満充電状態になっていた。そこで、試しにソーラーストリップにマスキングテープを貼り付け、さらにペンを載せて光量不足の状況を作り出し、光量をチェックしてみた。
試しにこの状態で使い続けたが、2週間経過してもほぼバッテリー残量は減ることなく、原稿納品時点で100%のままであった。4カ月間、暗闇で使い続けられるという仕様に偽りはなかった。
実際に、どれほどの光量で「照度OK」あるいは「照度不十分」と判定されるのだろうか。まず、上記の状態で不十分なのは確認できたので、マスキングテープのみの状態にしてみたところ、光量不足が確認できた。
マスキングテープを外した状態で、ペンなどの小物をソーラーストリップに置いてみても、やはり光量不足と表示された。
キーボードを使わないときに、デスク上のスペースを有効活用するためにディスプレイスタンドあるいはキーボードトレイなどを使ってキーボードを収納することがあるだろう。真っ暗ではないものの、かなりの光が遮断される。その状態でもやはり光量不足と表示された。
バッテリー切れの生じにくいキーボードではあるが、デスクから離れる際には光のよく当たる場所に置いておくのが基本的な使い方になるだろう。
Logi Options+で行えるのは、バッテリー残量や光量の確認だけではない。前述したように、23のキーをカスタマイズすることができる。
筆者の場合は、「デバイスに体を慣れさせろ」を信条としているのだが、K980使用中に何度も誤作動を引き起こす事故が生じたため、カスタマイズしなければならない事案が発生した。
それは、メーカーの自信作である「AI起動キー」の無効化だ。このAI起動キーは、キーを押すだけでCopilotやGemini、Perplexity、ChatGPTといったAIツールを起動させられるというものなのだが、筆者はAIツールアプリを使っていない。必要なときにはWebブラウザで新しいタブを開いてその中で利用している。
そこで、左カーソルキーと隣接しているAI起動キーを無効化することにした。方法は非常に簡単で、K980を接続した状態でLogi Options+を立ち上げ、「キー」画面に表示されているK980のAI起動キーをクリックし、「アクション」から「何もしない」を選ぶだけだ。これで、AI起動キーを無効化できた。
K980の操作に慣れ、AI起動キーを押し間違えることがなくなってきたら、復活させるかもしれない。
●アプリケーションごとにキーカスタマイズできる
フルキーをカスタマイズできるキーボードは市場で珍しくないが、K980は23個のキーしかカスタマイズできない。物足りなく感じるかもしれないが、Logi Options+では、開いているアプリケーションごとにそれらのキーをカスタマイズ可能だ。
例えば、K980の「ロック」キーを押し込むと、通常はPCがロックされスリープに入るが、Zoom起動中であれば録画アプリを一発で起動するといった設定が行える。
このアプリケーション別カスタム設定は、デフォルトで「グローバル設定」の他、「Microsoft Teams」と「Zoom」が登録されているが、アプリケーションを追加することもできる。
試しに筆者が追加したのは「Chrome」で、「Insert」キーを押すことで、「Shift」+「D」のショートカットが実行されるようにした。よく使うGoogleフォトのショートカットキー「ダウンロード」を1つのキーで行えるようにした。
一体、いくつのカスタム設定アプリケーションを登録できるのだろうかと試したところ、“いくつでも”追加登録できた。PCにインストール済みのアプリケーションほとんど全て、少なくとも51個まで確認できた。
カスタム設定アプリケーションを削除するには、Logi Options+上で削除したいアプリケーションにマウスオーバーして、表示される「×(削除)」ボタンをクリックするだけだ。追加登録時と異なり、1つずつ削除していくのが地味に手間だが、必要な設定まで誤って削除することのないようにという配慮なのだろう。
時短設定をキーボードで!
Logi Options+には、仕事を始めやすくする機能がある。それが「Smart Actions」だ。これは複数のタスクを自動化するもので、K980との組み合わせではキーのいずれかをトリガーとして利用する。
例えば、PCを立ち上げた後にChromeを立ち上げて、仕事用のメール、Googleカレンダー、Gmail、Googleドライブを各タブで開く、といったことが、たった1つのキーを押すだけで行える。仕事前のルーティンを自動化できるのは愉快だし、これだけで「さぁ、作業しようかな」という気持ちにさせられる。
Smart Actionsの利用にはLogi IDの作成とログインが必要だ。これにより、他のデバイスとK980を接続した際にもSmart Actionsを“持ち運ぶ”ことができる(要設定)。なお、IDで連携できるのはSmart Actionsのみで、アプリケーション用カスタム設定は端末ごとに行う必要があるので注意したい。
●接続性やチャタリングは?
Bluetoothキーボードでありがちな悩みが、PCをスリープから復帰できない、PC立ち上げ直後の復帰が遅い、チャタリングが生じる、入力が遅れるといったものだろう。
筆者のケースでは試用期間中にこれらが生じなかったこともあり、快適であった。PCがスリープ状態に入っていても、K980のキーのどれかを1度押せば復帰してロック解除画面まで表示できたし、何度もキーを押す必要もなかった。
職業柄、比較的タイピングスピードは早い方だが、タイピングしていて画面への文字の表示が遅れるまたは漏れるということはなく、よく追随し、さらにチャタリングが生じるといった不具合も見られなかった。
ワイヤレスキーボードなのに、バッテリー切れを心配する必要のない解放感、しっかり確保されたキーピッチによるタイピングのしやすさ、遅延もチャタリングもないスムーズさに加え、柔軟なカスタマイズ性をK980は備えている。
Logi Options+を使って自分色に染めていけば、愛着のわく1台になることだろう。
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