写真 日本の風物詩となりつつあるハロウィン。しかし、楽しい仮装の裏ではセクハラや不同意性交が横行……。SPA! は、きたる10月31日に向けて、被害女性たちの悲痛な叫びを送り警鐘を鳴らす――!
◆混入お菓子、清掃員仮装、街に潜む“性加害者”
例年、痴漢や破壊行為といったトラブルが相次いでいることを受け、渋谷区はハロウィン期間中にハチ公前広場の閉鎖や酒類販売の自粛を要請。今年も“迷惑ハロウィン”を全力阻止する構えだ。さらに新宿区でも、10月31日から11月1日早朝まで路上飲酒を制限する方針を発表した。
だが、こうした行政の対応にもかかわらず、街の喧騒がやむ気配はない。仮面やコスプレで顔を隠した人々の渦の中で、女性たちが思いもよらぬ形で被害に遭うケースが後を絶たないのだ。
◆悪質ローアングラーはハロウィンにも出没
「一昨年の川崎のハロウィンでは、みんなコスプレにかなり力を入れていて、私もお気に入りのアニメキャラの仮装をしていたんです。胸元が大きく開いたボディスーツに網タイツ、太ももまで出していて……正直、少しやりすぎたかもって思いました」
そう話すのは、学生の沙耶香さん(仮名・22歳)。
「“露出が多いから狙われても仕方ない”なんて言われたら悔しいけど、あの夜は気分が高揚していて、自分も少し浮かれてたんだと思います。そんなときに、40代くらいの小綺麗な“カメコおじさん”に『撮影してもいいですか?』と声をかけられて、『撮られるだけならいっか』と応じたんです。でも、レンズの向きが明らかにおかしい。顔ではなく下半身ばかりを執拗に狙って、舐めるようなしぐさでシャッターを切っていて……本当に気持ち悪かった。もはやどうしようもないですが、彼が撮った写真データが今、私の知らないうちにネットの海を漂っているかも……と考えると後悔しかありません」
これは序の口だ。さらに悪質な事態が発生していた。
◆「トリックオアトリート!」混入お菓子の恐怖
ハロウィンでは、路上で飲食物を配る人も多いが、その中には“悪意あるお菓子”が紛れ込んでいることもある。
「去年、通りすがりの男から『トリックオアトリート!』とクッキーをもらったんです。子どもの頃から“知らない人からものをもらうな”と教わってきたのに、イベント気分でつい食べてしまって……」
そう語るのは都内の女子大に通う谷桜さん(仮名・21歳)。
「すぐに悪酔いしたような気持ち悪さに襲われ、足がふらついて歩けなくなりました。しゃがみ込んでいたら、心配するふりをした男が『大丈夫?』と声をかけてきて、肩を支えながら……体を触ってきたんです。痴漢だ、と必死で手を振り払ったけど、すぐに別の男たちも寄ってきて、通りすがりのようにお尻を撫でていった。囲まれるような形になって、声を出そうにも体が思うように動かなくて……。ようやく友人が見つけて助け出してくれたんです。あのクッキーには何か混ぜられていたと思います。あんなに酔ったような感覚になったのは初めてだったので……」
◆一気に酩酊するピンク色のカクテル
都内OLの木下奈々美さん(仮名・29歳)も、昨年、ハロウィン当日の夜、友人と街を歩いていたときにもらった“一杯”で被害に遭った。
「通りすがりの男たちが、『せっかくだから一杯どう?』と差し出してきたんです。プラスチックカップに入ったピンク色のカクテルで、見た目もかわいくて。アルコール度数も低そうだったので、つい受け取って飲んでしまいました。ところが、軽いお酒のはずなのに、一気に酔いが回って、足がふらついてしまって……」
そのまま男たちに支えられるようにして近くの地下バーへと抵抗虚しく運ばれた。
「『休んでいきなよ』と言われ、正直その時点では、どこに入っているのかもよくわかっていませんでした。次に気づいたときには、知らないタワーマンションの一室で裸にされて行為の最中だったんです」
◆寝ゲロさえしてなおレイプを否定
全力で振りほどこうとしたが、男に力強く押さえられ、行為が続いたという。
「終わって呆然としていたら、『そろそろ帰ったら?』と数万円を渡してこようと。隣で倒れていた友人は裸で寝ゲロしてて……。レイプと言ったら、『一緒に酒飲んで、盛り上がってエッチなことしている証拠動画あるよ』と……。友人を連れて、帰りました。酒を飲んで意識がフラついたときに、相手と流れで連絡先も交換していたので、後日、抗議のためにあの夜のことを問い詰めるメッセージを送ったのですが、案の定相手から返信は返ってこず。ハロウィンにおいしい思いをできたらあとは用済みとブロックされているのでしょう。本当に悔しさしかありません。自分にも腹立たしいです……」
一瞬の気の緩みが、地獄のような夜へと変えたのだ。
◆善意のボランティアに見せかけて…
そして深夜、街で目につくのがゴミの山。数少ないゴミ箱は溢れ、あちこちでポイ捨てが散見される。そんな混乱の中、“清掃員”を装う男に襲われかけた女性もいた。
会社員の橘麻衣さん(仮名・26歳)は沈んだ表情で語る。
「2年前くらいに空き缶を捨てたくてゴミ箱を探していたら、オレンジ色のベストを着た清掃ボランティア風の人が『ゴミ箱探していますか? ステーションあるんで案内しますよ!』と声をかけてきたんです。ありがたく思ってついていったら、路地裏でその人がいきなりズボンを下ろして……。手に握ってたのはゴミ拾いトングじゃなく、露出した陰茎。一目散に逃げました」
“清掃員の仮装”をした、ただの変質者だったのだ。
「友人も似たように清掃員に痴漢された、って言ってました。人混みに紛れれば、誰でも“それっぽく”見えてしまうのがハロウィンの怖さです。仕掛けてくる側も、自分の欲を満たすためなら平気でだまし討ちのようなやり口で近づいてくる。モラルなんてお構いなしです」
誰でも、仮装できるお祭り感に浮き足立ちやすい一方、仮面の下に悪意を忍ばせる者も多い。年に一度のお祭騒ぎが、これ以上“性犯罪の温床”とならないよう、社会全体での警戒が求められている。
取材・文/田中 慧(清談社) 取材/吉沢さりぃ イラスト/板垣雅也 写真/産経ビジュアル
―[被害女性が告発[ハロウィン性被害]事件簿]―