「日本語で言えよ!」アジェンダ、バイアス、ローンチ……。職場での“カタカナ語”にイラッ

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2025年10月30日 22:10  All About

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カタカナ語を使いたがる上司に困っているという30歳女性。思い込みで間違った使い方をするため、意思疎通を図るのが難しい。取引先に誤解をされたこともある。仕事の場では、カタカナ語の使用には気を付けた方がいいようだ。※サムネイル画像:PIXTA
仕事ではもちろん、いつの間にか日常でも「カタカナ語」は欠かせなくなっている。だが、一部の人には「分かりづらい」「知ってるふりしているだけ」と不評を買うこともあるようだ。

やたらとカタカナ語を使う上司

「私、10歳から親の仕事の関係でアメリカで育ったので英語はできるんですよ。だけど勤務先の上司がやたらと変なカタカナ語を使うので困ってて」

そう言って苦笑するチエさん(30歳)。彼女が帰国したのは25歳のとき。外資系企業に勤務しようと思ったのだが、アメリカで知り合い、非常に尊敬するようになった日本人の紹介で日本の企業に入ることになった。

「いい会社だと思うけど、つい先日、異動してきた直属の上司がちょっと……。いきなり『アジェンダはどうした?』と言われ、何のアジェンダですかと聞き返したら今日の会議のだという。会議のアジェンダならすでに共有しているはずですがと答えると、オレのとこには来てないという。

再度、メールしたら『これじゃないよ、アジェンダだってば』と。彼が言っているのは会議用の資料のことでした。でも、アジェンダって資料じゃないですよね。思わず『違いますよ』と言ったら、陰で『オレをバカにしている』と怒っていたようで」

「日本語で言え」と言いたい

この上司、英語は理解せず、ちょっとかっこいいからカタカナ語を使ってみましたという使用例が多すぎるのだとチエさんは言った。

ちゃんとフィードバックしてねと言われたので、終わりかけていた仕事を精査し、次へとつながる提言をまとめたところ、「なんだこれ」と言われた。フィードバックですと言ったら、彼はきょとんとしていた。どうやらフィードバックは「報告」程度の意味合いにとらえていたようだ。

「さらにひどかったのは来客があったあと、『彼女はスマートだね』というので、『そんなにキレ者ですか』と言ったら、『細身だからスカートが似合うよなあ』と最悪の発言。スマートは、プロポーションがいいという意味ではないし、女性の外見をとやかく言うのは今の時代、あり得ない」

分からないなら日本語で言えと言いたいのだが、表だって上司に突っかかることもよろしくないと自制した。代わりに直属の上司のさらに上の部長に、ことの次第を訴えておいた。

部長からたしなめられたようで、その後は相手に意味を確認しながらカタカナ語を使うようになった。そんなことなら「日本語で言ってくれた方がよっぽど分かりやすい」とチエさんは感じている。

意思疎通が図れないことも

やたらとカタカナ語を使う同僚がいて、意思疎通が図れないと困惑している人もいる。何かというと「バイアスかかってるね」とすぐに言ってくる。

「私の言葉のどこに偏見があるのか、あるいは先入観なのか、はっきり言ってほしいと言ったら、『バイアスはバイアスだよ』と逃げられて。本人もきちんと分かって言っているわけではないのかとがっかりしました」

アサミさん(35歳)はそう言った。この同僚は、自分の思い込みでカタカナ語を使うので、とにかくその言葉の意図を探るところから始めなければいけない。

「彼と一緒に取引先を訪れる約束になっていたんですが、急に『これはリスケだな』と。ドタキャンはやばいですよと言ったら、どうしても行かれないと。

だったら、別の日を提案しないとリスケにならないですよと言うと、『なんで?』って。リスケは、リスケジュールだからキャンセルとは違うと説明したら、『ほんと?』だって。嫌になりました」

仕事の場では危険

ちょっとブリーフィングしようと言われて会議室に行くと、上司や役員までいてがっちりミーティングが組まれていたこともある。

「どうしてミーティングだと言ってくれなかったんですか、ブリーフィングじゃないでしょうと言うと、『一緒じゃん』と。それ以来、彼がブリーフィングというときは誰が参加するのか事細かに聞きます。もはや意思疎通が図れてないなと思うことも多々ありますね」

彼が使う「ローンチ」も、アサミさんには分からない。何か始めるときに、いつも「ローンチする」と言うのだが、「それは単なる立ち上げですよね」と彼女は訂正するようにしている。

単純に計画を始めるなら「立ち上げ」でいいだろうと思うからだ。それでも彼は「ローンチ」を使いたがるので、社外の人には「新商品を市場に投入する」と誤解されたこともある。

「カタカナ語は危険だと思う。日常会話なら影響は少ないけど、特に仕事の場では、互いに考えていることが違うのに、カタカナ語で分かりあった気持ちになってしまう。カタカナ語を使った方が賢そうに見えると思っているんでしょうか」

アサミさんは、「最近、特にカタカナ語が横行していて、そのたびに苦労します」と肩をすくめた。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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  • 昔、浅田真央が現役を続ける確率としてハーフ&ハーフと言ってピザかよ!って突っ込んでしまった…(笑)。 50/50(フィフティフィフティ)でいいんでないの?
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