14型OLED×2画面で実質20型相当のビックサイズ! ASUSの2画面モバイルディスプレイ「ZenScreen Duo OLED MQ149CD」を試す

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2025年10月31日 16:11  ITmedia PC USER

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ASUS JAPANの「ZenScreen Duo OLED MQ149CD」を縦向きに設置した状態。

 ASUS JAPANの「ZenScreen Duo OLED MQ149CD」は、14型の画面を上下に2つ連結した構造を持つ折り畳み式のモバイルディスプレイだ。最近各社から続々と登場しつつある2画面ディスプレイの1つだが、モバイルディスプレイの大手であるASUSTeK Computerの製品であり、かつ有機EL(OLED)を採用するなど要注目のモデルだ。メーカーから機材を借用したので、レビューをお届けする。


【その他の画像】


●色再現性の高い有機ELパネル×2を搭載 合わせて20型相当の大画面


 まずは基本的な仕様をざっと押さえておこう。1画面あたりのサイズは14型、解像度は1920×1200ピクセルで、アスペクト比は16:10だ。視野角は水平/垂直ともに176度、応答速度はGTG時で1ms、リフレッシュレートは60Hzとなっている。


 有機ELパネルを採用しており、画面はグレア調でやや映り込みが目立つ。タッチ操作には非対応だ。


 本製品の売りは色再現性の高さで、有機ELパネル向けのDisplayHDR 400 True Black認証を取得しているのに加え、Delta E


 そんな本製品の最大の特徴は、14型のパネルが上下に連なったデュアルスクリーンを搭載していることだ。これら2画面をまとめて1画面として用いる場合、サイズは20型相当となるので、大きな画面を必要とする用途に最適だ。その他の表示モードについては後述する。


 プレート状のスタンドは背面に折り畳む構造で、縦置き/横置きでの設置も可能だ。また背面には三脚などを取り付けられる4分の1サイズのネジ穴も搭載しており、同社製スタンド(別売)に取り付けるためのソケットも付属するなど、多彩な設置方法に対応している。


●デバイスとの接続はHDMIとUSB Type-Cを利用


 接続方式はHDMIおよびUSB Type-Cとなる。USB Type-Cポートは通常用が2基、さらに電源供給用に1基と計3ポートを備える。スピーカーは内蔵していない、さらにイヤフォンジャックも省かれているなど、音声出力には対応していない。同社のモバイルディスプレイは音声出力をあまり重視しない傾向があり、本製品もその例に漏れないようだ。


 重量は公称で約1.07kg、実測では1047gだった。以前紹介したサンコーの同じ14型モデル「DMAC24HBK」が実測1231gだったので、スマホ約1台分軽いことになる。


 シャシーにアルミニウムを採用していることなどが影響していると推測されるが、手に持った時も他社製品と比べて明らかに軽く感じる。持ち歩く機会が多い人にはプラスだろう。


 付属品はUSB Type-Cケーブル×2とHDMIケーブル、最大30W出力の給電アダプター、同社スタンドに取り付けるためのソケットもセットになる。さらに、前述の保護ケースとクリーニングクロスも付属する。2画面タイプのモバイルディスプレイは持ち歩きを前提としていないのか保護ケース類が付属しないことも多く、本製品のコンセプトが垣間見える。


●4つの表示モードを利用可能 切り替えも簡単


 では実際に使ってみよう。本製品はHDMIおよびUSB Type-C接続に対応するが、USB Type-Cポートは合計3基も搭載している。このうち1基は電源供給専用で、残り2基はディスプレイ信号の伝送に対応するが、表示モードによっては接続先ポートが限定される場合もある。ひとまず2番目のポートを優先的に使うとよさそうだ。


 本製品は2画面を活用するために、4つの表示モードを備えている。製品ページでの表記とOSDメニュー上の呼び名、さらに取り扱い説明書での呼び名がそれぞれ微妙に異なるため、併記する形で紹介する。


 まずはMirror (複製)モードだ。2つの画面に同じ内容を表示するモードで、本製品を山折りにして前後で同じ内容を表示することで、プレゼン用途などで活用できる。PCの画面と本製品の画面をミラーするのではなく、本製品の2画面をミラーするという意味なので注意したい。


 続いてはExtend(拡張)モードだ。1本のケーブル接続で2つの画面に異なる内容を表示するモードで、ノートPCと合わせてトリプルディスプレイ環境を手軽に構築できる。このモードについてのみ接続方法はUSB Type-C限定となり、HDMIでは利用できない。


 そして本命となるのがSplit(画面分割)モードだ。2つの画面を1つの画面として扱うモードで、ケーブルはUSB Type-Cの2番目に接続する必要がある。間にベゼルは挟むものの、実質的に20型相当のディスプレイとして扱える。縦置きではなく横置きでの利用も可能だ。


 最後に紹介するIndependent(独立)モードは、2つの画面をそれぞれ別のデバイスと接続するモードで、例えば上画面はiPadと、下画面はWindows PCと組み合わせるといった具合に使える。筆者には適した用途が思いつかないのだが、前回紹介したEHOMEWEI「XQ-160PF」にも搭載されていたので、人によっては使い道があるのかもしれない。


 これら4つの表示モードは、できること自体は既存の2画面モデルとほぼ同じで、本製品ならではという特徴は見受けられないが、押さえるべきところをしっかり押さえている印象だ。表示モードの切り替えも、OSDメニューから簡単に行える。


●実際に使って気になったところ


 気になるのはこの各モードの呼び名で、2画面をつなげた状態が「画面分割モード」、2画面をそれぞれ別デバイスと組み合わせるモードが「単一モード/独立モード」と、呼び名から想起されるイメージとは逆になっている。


 翻訳の問題かと思いきや、英語でも前者が「Split(分割)」、後者が「Independent(独立)」なので当初からこうした呼称のようだ。直感的な利用を妨げかねず、もったいないと感じてしまう。


 一方で画面表示そのものは非常に美しく、OLEDの面目躍如といったところだ。以前取り上げた同社のMB169CKは斜め方向からだと暗く見えるのが弱点だったが、本製品はそのようなこともない。付属のUSB Type-CケーブルがL字型コネクターを採用していることもあって、狭い場所での取り回しも容易だ。


 OSDメニューについても見ていこう。OSDメニューは、本体右側面にあるジョグダイヤルと2つのボタンを組み合わせて操作する。同社製モバイルディスプレイのOSDメニューは、MB169CKのように本体前面のワンボタンで操作する製品もあるなど千差万別だが、本製品は従来のモバイルディスプレイで採用例の多いジョグダイヤルで行う仕組みを採用している。


 操作手順はごく一般的で、ジョグダイヤルを1度押すと選択肢が表示され、もう1度押すとメインメニューが、上下に倒すと明るさ調整および表示モード切り替えのショートカットが表示される。UIは分かりやすく、操作性も良好でストレスはない。ジョグダイヤルによくある、硬すぎて押すと指が痛いということもない。


 この他、MB169CKと同様、Windows環境では専用ユーティリティーの「ASUS DisplayWidget Center」を用いての自動回転などの設定が行える。USB Type-C接続限定で、動作するのはUSB Type-C接続でミラーモード、もしくは画面分割モードを利用した場合だけと細かい条件が付くのだが、設置方法がたびたび変わる場合は、使い道があるかもしれない。


 なお、このユーティリティーだが日本語に設定していたはずが、次の起動時には別の言語にランダムに変わってしまうことがたびたびあった。筆者の利用環境に起因している可能性もないわけではないが、未知の言語ともなると「OK」「キャンセル」に相当するボタンすら意味が理解できなくなって困ってしまうので、修正されることを期待したい。


●良いものを長く使いたい人向けの製品


 以上、これまでに紹介した2画面モデルと比較しつつ試用してみたが、元のディスプレイの性能が高いことに加え、縦/横どちらでも使えるスタンドや、表示モードを切り替えやすいメニューなど、各所が洗練されており完成度は高い。ベゼル幅は極端にスリムというわけではないが、画面がつながっている側が太くなっているといったおかしな設計もない。


 一方で、スピーカーやイヤフォンジャックなど音声出力系の機能はない他、以前紹介したMB169CKと同じくパススルー充電にも対応しない。後者については、複数のUSB Type-Cポートを搭載する他社製品では標準装備となりつつあるので、比較した場合に同社製品は不利になることは、買う側としては織り込んでおく必要がある。


 それさえ許容できればお勧めできる製品なのだが、実売価格はほぼ9万円(8万9820円)と、先行メーカーの2画面モデルを大きく上回る。これは有機ELパネルを採用しているという事情もあるだろうが、いかに3年の長期保証が付いてくるとはいえ、予算的においそれと手が出ないケースもあるだろう。現状では、良いものを長く使いたい人に向いた製品、という評価になりそうだ。



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