
10月12日(日)の放送では、株式会社中山建設に注目。代表取締役の中山英朗(なかやま・ひであき)さんをゲストに招き、企業DXの取り組みや今後の展望について伺いました。
(左から)クラフトバンク・中辻景子、中山建設・中山英朗代表取締役
◆多岐にわたって事業を展開する中山企業
株式会社中山建設は、熊本県八代市を拠点に、地域に密着した建設事業を展開しています。中山建設の主軸は「土木一式工事」。道路や橋梁などのインフラ整備を中心に、舗装工事、しゅんせつ工事(河川や港湾の水底に堆積した土砂やヘドロなどを取り除き、水深を確保する工事)など幅広い事業を手がけています。地域の生活を支えるインフラ整備を通じ、八代のまちづくりに深く関わってきました。
同社のルーツは、昭和35年(1960年)に設立された「中山砂利商会」にあります。「もともとは前川で川砂利を採取する会社で、その4年後、戦後の復興期に建設部を立ち上げ、土木を始めました。株式会社中山建設という名前になって、今年でちょうど50年目です」と中山さんは説明します。
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番組では、中山さんが「砂利」と「砕石」の違いを解説する場面もありました。砂利とは、「河川を流れるうちに角が取れた丸い石」のこと。河口に近づくほど丸みを帯び、硬い性質を持つといいます。一方、砕石は山から採掘した岩石を発破で砕き、用途に合わせて機械で細かく砕いたもの。「生コンクリートや舗装工事など、使う目的によってサイズを変えて作ります」と説明します。
砕石業は資源を扱う産業でもあり、採取する土地そのものを自社で所有しているケースがほとんど。中山さんも「だいたい50年くらいは採れる場所を選んで手をつけていきます」と話します。ただし、近年は環境保全の観点から新規の採掘許可が難しくなっており、持続可能な資源利用が課題になっています。
◆現場の声を聞きながらデジタル環境を整備
中山建設では時代の変化に合わせて、現場の効率化や働きやすい環境づくりにも力を入れています。近年は建設業界でも急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応を進めており、現場のデジタル化を通じて次の世代につながるものづくりを模索しています。
中山さんは「本人がアナログなもので……」と笑いつつも、デジタルへの取り組みは早くから進めてきたと語ります。30年ほど前から社員に個人用パソコンを支給し、早期にIT環境を整備。現在では「i-Construction(アイコンストラクション)」と呼ばれるICT土木の導入を進め、トータルステーションなどの最新機器を活用しています。「現場の具体的な声を聞きながら、管理しやすい環境を整えているところです」と話すように、実際の現場に即したデジタル化を進めています。
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一方で、技術の進化がもたらす現場の変化も実感しているといいます。「昔は何度も丁張りをかけて位置を確認していましたが、今は必要ないんですよね。法線さえ間違えなければ、機械が正確に仕上げてくれる」と中山さん。準備作業の外注化によりスピードも向上し、工事全体の効率化が進んでいるといいます。発注側の理解も進み、「かかった費用に見合う経費はきちんと支払われるようになってきた」とのこと。外注か内製か、そのバランスを見極めながら、より質の高い現場づくりを目指しています。
◆災害時の復旧では建設業が必要不可欠
中山建設では、ISOの方針に基づき「地域に信頼されるものづくり」と「安心して働ける職場づくり」を掲げています。「完全に達成できるものではないかもしれませんが、今後は次世代への継承や後継者育成にも力を入れていきたい」と中山さんは考えを示します。
さらに、「地域の人たちが『あの会社で働きたい』と思ってくれるような会社にしたい」とも語ります。中山建設では近年10代や20代の若手社員も増え、なかには未経験から入社して技術者として成長する社員もいます。「何も恐れずに飛び込んできてほしい。建設業はたくさんの可能性のある業界だと思います」と未来を見据えます。
中山さんが語る建設業の使命には、地域に根ざした誇りがにじみます。「私たちはインフラを整えるだけでなく、地域の人々が安心して暮らせる環境づくりの一端を担っているんです」と言葉に力を込めます。災害時には、いち早く現場へ駆けつけるのも建設業の役目です。「消防や自衛隊が入る前に、まず道をつくるのが私たちの仕事。もっとその役割が広く知られれば、若い人たちも誇りを持って働けると思います」と語る言葉には、地域を支えてきた者としての確かな自負が込められていました。
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番組名:デジタル建設ジャーナル
放送日時:毎週日曜日 15:00-15:55
パーソナリティ:中辻景子・田久保彰太
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