
ドラフトについて語った山本キャスター
今週は海外取材の真っただ中ですが、そのご報告は来週にして、今回は先日のドラフト会議を振り返りたいと思います。
予想通り複数球団の競合の末、阪神が交渉権を獲得した創価大の立石正広選手、アメリカのスタンフォード大学で活躍する佐々木麟太郎選手のサプライズ指名などもありました(ソフトバンクが交渉権を獲得しましたね)。1位指名で佐々木選手の名前が読み上げられた瞬間、私は仕事のメイク中でしたが、メイクさんやスタイリストさんにびっくりされるくらい大声を出してしまいました。
佐々木選手と同様、アメリカのジョージア大学に在学する石川ケニー選手もオリックスに6位指名されましたね。佐々木選手の進路の決断は、MLBのドラフト後の来年7月になるとの報道がありましたが、さまざまな選択肢があることをあらためて学びました(プロ志願届を出してなくてもドラフトにかかるなど、システム的なことも含めて)。佐々木選手と石川選手の動向によって、NPB入りへの新たな道ができる可能性もありますね。
|
|
|
|
各球団の1位は、やはりスター候補揃いでした。中でも私が注目したのは、中日から指名された中西聖輝投手です。昨年は金丸夢斗投手を獲りましたし、中日の来年の躍進が今から期待されます。神宮で行なわれた大学日本代表戦を見に行った際、攻守において存在感と安定感が抜群だった立石正広選手に関しても、阪神の強力内野陣にどう食い込んでいくのか、注目は尽きません。
さて、今年も各球団の思惑がしっかりと反映されたドラフトでしたね。我がヤクルトは、個人的には非常にバランスがよく、素晴らしいドラフトだったと思っています。
何より急務だったのは、MLBに挑戦する村上宗隆選手が抜けた穴を埋める野手の獲得でしたから、東京六大学で活躍した法政大の松下歩叶選手を一本釣りできたのは大きかったと思います。指名後の映像では、法政大の仲間たちから大々的に祝福されているのを見て、かなり愛されているのがわかりました。主将を務めた彼のリーダーシップにも期待したいと思います。
ワールドシリーズ出張についてはまた来週! お待ちいただけたら嬉しいです。
2位の城西大・松川玲央選手は大型内野手で、高い身体能力の持ち主です。個人的に注目しているのは、3位の山崎太陽投手(創価大)。「手の大きさは誰にも負けない」と豪語しており、足のサイズも30cmあるとか。将来、大化けする可能性が最も高いと見ています。
|
|
|
|
4位の増居翔太投手(トヨタ自動車)は木澤尚文投手と同じ慶應義塾大学。大学で指名漏れ→トヨタ自動車からの指名といえば、あの古田敦也さんと一緒ですし期待が高まります。5位の鈴木蓮吾投手(東海大甲府高)は素晴らしい左腕ですし、6位の石井巧選手(NTT東日本)も即戦力として期待できる内野手です。
今年は、山崎選手以外にも、フィジカルが強そうな選手が多くて面白いと思いました。7位の飯田琉斗投手(ENEOS)も190cm近くあります。ヤクルトはこれまで、特に野手は、どちらかというと俊足・巧打やコンタクトがうまい選手が多かったイメージもあるので、神宮球場という"ヒッターズパーク"でどう生かされるのか、そして、チームがどう変わっていくのかにも注目です。
さらに、育成1位の小宮悠瞳投手(川崎総合科学高)は、素質は高校生でも指折りの左腕という評判もありますし、大きな期待を寄せています。今年も野手から指名していきましたが、これから何年か、ヤクルトのドラフトは野手の指名が中心になるかもしれません。これからは"打ち勝つチーム"を目指すのかも。
ヤクルトが7巡目以降まで指名するのは2018年以来のこと。その本気度がファンにも伝わったと思います。育成でもう少し、投手と野手を指名するかなとも思いましたが、「ヤクルトは投手の強化が急務」と言われる時代は、ひとつ区切りがついたのかもしれません。
私は、ドラフト中はずっと現場だったのですが、いろんな部屋からスタッフさんの歓声とか盛り上がる声が聞こえてきました。野球ファンにとってのビッグイベント、山本家のLINEも大盛り上がりでした。
|
|
|
|
開始前の中継映像で、長めに息をついて天を仰ぐ池山隆寛新監督の姿も印象的でした。初の大仕事、緊張もあったことでしょう。誰にとっても本当に長い1日でした。
そして、これまで毎年楽しみにしていたドラフトですが、私も30歳を目前にして、なんだか親のような気持ちで見てしまっていることに気がつきました。誰かの人生が大きく動く瞬間が見られるってすごく素敵ですよね。若さというキラキラの武器を手に、思いっきりプレーして欲しいなと思います。
それでは、また来週。
構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

